
はじめに
合唱コンクールは、担任の関わり方で結果も、クラスの空気も大きく変わる行事です。
ところが、曲決めから本番のあとまで、やることは2〜3か月にわたって続きます。
「いま、何をすればいいのか」が分からなくなる先生も多いのではないでしょうか。
私は中学校の担任として、毎年このコンクールに向き合ってきました。
うまくいった年とそうでない年を比べると、差が出たのは歌の技術よりも、「その時期にやるべきことを、先に手を打っていたか」でした。
この記事では、合唱コンクールで担任がやることを、時期ごとに7つの段階に分けてまとめました。
それぞれの段階に、くわしく書いた記事へのリンクを置いています。
今の時期の見出しから読み始めてください。
- 合唱コンクールの準備から本番後までの、担任がやることの全体の流れ
- 指揮者・伴奏者の決め方、練習がだれたときの立て直し方
- 本番前日の声かけと、本番後にリーダーを支える方法
1. 曲決めの前に、合唱コンクールの目的を決める
最初にやるのは、練習計画ではなく「何のためにやるのか」をクラスで決めることです。
金賞は目標であって、目的ではありません。
目的が「全員で一つのものをつくる」「最後まであきらめない」のように決まっていると、練習がうまくいかない時期に、立ち返る場所ができます。
目的は、一度伝えて終わりにしないことが大切です。
曲決めのあと、練習の始まり、だれてきた時期と、節目ごとに語り直すと、言葉が少しずつクラスに根づいていきます。
2. 指揮者・伴奏者・パートリーダーを決める
指揮者と伴奏者の決め方は、もめやすい場面の一つです。
立候補が重なったり、逆に誰も手を挙げなかったりします。
決める前に、仕事の中身と大変さ、そしてやりがいを先に見せておくと、「やりたい」だけでなく「やれる」子が手を挙げるようになります。
決まったあとは、選ばれた子がひとりで抱え込まないように、担任がどう支えるかを本人に伝えておきます。
この一言があるかないかで、練習期間の折れにくさが変わります。
3. 練習が始まる前に決めておく3つのこと
練習がだれるクラスの多くは、始まる前に決めておくことを決めていません。
練習の始め方と終わり方、パートごとの集まる場所、遅れて来た子への声のかけ方などです。
最初の1週間に決まりを作っておけば、担任がいない時間も練習が回ります。
また、合唱コンクールの前は、学級の日常の仕組みが揺らぎやすい時期でもあります。
係や当番、提出物の仕組みを先に整えておくと、行事に力を注ぐ余裕が生まれます。
4. 練習期間の指導|声の出し方とハーモニー
練習が始まったら、担任は音楽の専門家でなくても大丈夫です。
裏声の出し方や、口の開け方、パートで聴き合う練習など、基本の手順を知っておけば、生徒と一緒に練習を組み立てられます。
ハーモニーがそろわないときは、全体で何度も通すより、パートごとに短い区間を聴き合うほうが早く整います。
一か月の練習の組み立て方と合わせて、次の記事にまとめています。
5. 練習がだれる・やる気がないときの立て直し
練習の2週目、3週目になると、声が小さくなったり、練習に遅れてくる子が出てきたりします。
ここで叱って引き締めようとすると、空気がかえって重くなります。
だれは「荒れの前兆」であることも多く、早めに小さな手を打つのが一番です。
また、行事が続く時期は、教室に来づらい子や、係・当番の仕事が後回しになる子が出やすくなります。
練習の熱量の外にいる子を置き去りにしないことも、担任の大切な仕事です。
6. 本番前日と当日に担任がすること
本番前日は、新しいことを教える日ではありません。
ここまでの練習で積み上げたものを言葉にして返し、緊張している子を安心させる日です。
「結果より、ここまでの姿が誇らしい」と伝えると、当日の表情がやわらかくなります。
当日の朝は、学級通信で一言を届けるのもおすすめです。
声に出すと照れくさい言葉も、文字なら素直に受け取ってもらえます。
7. 本番のあと|ふり返りとリーダーへのケア
結果が出たあとこそ、担任の出番です。
賞を取れなかったクラスはもちろん、取れたクラスでも、指揮者やパートリーダーは疲れ切っています。
前に立った子の負担をねぎらい、クラス全員の前でその働きを言葉にして返してください。
ふり返りは、結果ではなく、目的に立ち返って行います。
最初に決めた目的に、どこまで近づけたか。
その言葉が、次の行事と、学級の日常につながっていきます。
その先へ|三年生を送る会で、もう一度歌う
合唱コンクールで育ったものは、学年末の三年生を送る会でもう一度生かせます。
秋に一つになった声で感謝を伝える経験は、生徒にとって一年の大きな締めくくりになります。
冬の準備に向けて、次の記事も参考にしてください。
よくある質問
担任が音楽の専門でなくても、合唱の指導はできますか
できます。
担任の役割は、歌い方を細かく教えることより、練習が回る仕組みと、クラスの空気を整えることです。
声の出し方などの基本は、音楽の先生や、合唱経験のある生徒に任せて構いません。
担任は、練習の始め方と終わり方を決め、がんばっている子の姿を言葉にして返すことに力を注いでください。
練習に参加しない生徒には、どう声をかければいいですか
まずは叱る前に、参加しない理由を一対一で聞いてみてください。
歌うことが苦手、友だち関係で居づらい、疲れているなど、理由はさまざまです。
全員が同じ形で参加しなくてもよいと伝え、口を動かすだけ、楽譜を持つ係を担うなど、その子が入れる入口を一緒に探すと、少しずつ輪に戻ってきます。
結果が悪かったとき、クラスにどう伝えればいいですか
結果ではなく、最初に決めた目的に立ち返って伝えてください。
「金賞は取れなかったけれど、全員で最後まで歌い切るという目的は達成できた」と、事実を具体的に挙げて認めます。
悔しい気持ちは否定せず、その悔しさを次の行事でどう生かすかを、クラスで話し合う時間を取ると、行事が成長の場になります。
おわりに
合唱コンクールは、担任にとって準備の長い行事です。
けれど、時期ごとにやることが分かっていれば、慌てずに一つずつ手を打てます。
目的を決める、リーダーを支える、だれたら早めに手当てする、終わったあとに言葉で返す。
この流れを意識するだけで、結果にかかわらず、クラスが一つ成長する行事になります。
まずは、いまの時期の見出しにある記事から読んでみてください。
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