
はじめに
私の息子は、プロ野球選手になるという大きな夢を抱いています。
その夢を実現するためには、どれほどの努力と練習が必要なのでしょうか。
調べたところ、明確な情報は見つかりませんでした。
そこで、息子の成長記録を基に、プロ野球選手になるためには、どのような練習が必要で、どのくらいの練習量が必要かを紹介したいと思います。
この記録が、同じ夢を持つ他の方々の参考になれば幸いです。
もし息子がプロ野球選手になることができなかった場合、それ以上の練習量が必要であると考え、参考にしていただきたいです。
一日のスケジュール
| 6時 | 起床 |
| 7時 | バッティング練習 |
| 7時30分 | 登校 |
| 16時 | 宿題 |
| 17時 | 野球の練習 |
| 18時 | 入浴 |
| 19時 | ストレッチ |
| 19時10分 | 休憩 |
| 20時 | 就寝 |
毎日、上記のような生活をしています。
「もっと体を前に倒せ」——球速を上げたい子に、つい言ってしまう言葉です。ところが、この言い方には落とし穴があります。リリースでの前傾は、自分で倒して作るものではないからです。自分から倒しにいくと、多くの場合それは「突っ込み」になります。
この記事では、投手の体が実際にどれくらい傾いているのかという数字から始めて、前傾が球速とボールの角度を生む仕組み、突っ込みとの見分け方、倒しすぎたときの肘への負担、そして家でできるドリル3つまでを紹介します。動画版はこちらです。
ボールを離す瞬間、体はどれくらい傾いているのか
前へ36度、グラブ側へ23度

投球動作を三次元で計測した研究では、ボールリリースの瞬間の体幹の傾きは、おおよそ次のように報告されています。
- 前傾(前方への倒れ)……およそ36度(± 7度)。研究や計測の定義によって32〜55度と幅があります
- 側屈(グラブ側への倒れ)……およそ23度(± 10度)。20度前後とする報告もあります
- 前傾の速さ……最大で毎秒300〜450度。リリース付近でピークになります
「36度」と聞くとゆるやかに感じるかもしれませんが、これはおじぎ1回ぶんの角度が、投球の最後の一瞬で一気に起きているということです。指導の現場では「リリースで45度以上」と言われることもあり、数字は幅で捉えておくのがよさそうです。
大事なのは「倒す」ではなく「倒れる」

ここが今日いちばんの結論です。リリースでの前傾は、上体を倒す意識で作るものではありません。踏み出した足で体を止めたときに、下から上がってきた勢いが上体に回り、その結果として体が前へ倒れます。
順番が逆になり、自分から上体を前へ倒しにいくと、頭が先に出ていく「突っ込み」になります。見た目は同じ「前傾した投球フォーム」でも、中身はまったくの別物です。この違いは後半で詳しく見ていきます。
前傾が球速を生む仕組み
前傾がなぜ球速につながるのか。理由は大きく2つあります。
理由1・ボールを加速させる距離が伸びる

上体が立ったままだと、手が動く道すじは短いままで終わります。一方、上体が前へ倒れると、手は体の前へより長く運ばれます。同じ腕の振りでも、ボールを加速させられる距離が伸びるということです。
もう1つ、倒れる動きそのものが、腕を前へ送り出す最後の一押しになります。腕を「振る」力だけでなく、体幹が倒れる勢いがボールに乗る。ここが、腕の力任せで投げるフォームとの差になります。
数字も出ています。大学生投手を対象にした研究では、前傾が28度を超えてから10度増えるごとに、球速がおよそ秒速0.7メートル(時速にしておよそ2.5キロ)速くなると報告されています。上体の角度は、そのままボールの速さにつながっているわけです。
理由2・ボールに「角度」がつく

前傾がつくるのは、球速だけではありません。上体が前へ倒れると、ボールを離す位置が打者に近づき、しかも高い位置から出ていきます。そのぶん、ボールには下向きの角度がつきます。
低めが垂れてしまう、あるいは低めに集められない投手ほど、手首で下へ押し込もうとしがちです。けれども低めは、手で作るものではありません。体幹の前傾によって、軌道ごと下げる——これが本来の順番です。手首で調整しようとすると、リリースのばらつきが増えるという副作用まで付いてきます。
もうひとつ。まっすぐ立った姿勢のまま体を回旋させると、腰椎(腰の背骨)に負担が集中します。前傾した姿勢で回ることには、力を分散させて腰を守るという意味もあります。
「突っ込み」と、よい前傾の違い
見分け方は、着地の瞬間の頭の位置

同じ「前へ倒れる」でも、突っ込みとよい前傾はタイミングがまったく違います。
| 突っ込み | よい前傾 | |
|---|---|---|
| いつ倒れるか | 踏み出した足が着く前 | 着地のあと |
| 何が先に動くか | 上体(頭)が先に前へ流れる | 骨盤が止まり、その上で体幹が回る |
| 着地の瞬間の頭 | 前足より前に出ている | 前足の内側に残っている |
| 結果 | 下半身の力を待てず腕だけ出る。高めに抜けやすい | 加速距離が伸び、低めへ角度がつく |
家で確かめるなら、着地の瞬間に頭が前足より前に出ていないかだけ見れば十分です。ここさえ守れていれば、前傾は意識しなくても自然に出てきます。
よい前傾は、前足がつくる

よい前傾が起きるまでの順番は、こうです。
- 踏み出した足が地面に着く
- 前の膝で体を受け止める
- 骨盤の回転が止まる
- 行き場をなくした勢いが上へ伝わり、体幹が回りながら前へ倒れる
つまり、前傾の練習とは、上体を倒す練習ではなく「下で止める」練習だということです。歩幅を無理に広げて着地が体を受け止めきれないと、体は倒れきる前に前へ流れて終わります。前足のブレーキとストライド幅の話が、そのままここにつながります。
倒しすぎは、肘の負担になる

ここまで読むと「では思い切り倒せばいい」と考えたくなりますが、研究の結論は逆で、大きいほど良いのではなく最適な範囲があるというものです。
同じ研究では、前傾が28度を超えて10度増えるごとに、肘にかかる内反ストレスが2.9N・m増えると報告されています。たとえば前傾38度の投手の場合、球速の伸びが約2.1%なのに対し、肘のストレスは約3.3%増える計算です。得られるものより、支払うもののほうが大きい領域があるということです。
さらに注意したいのが、グラブ側への横倒し(側屈)です。こちらは10度増えるごとに肘の内反ストレスが4N・mほど増えるとされ、前傾よりも割に合いません。腕を高く見せようとして体を横に倒す形は、とくに成長期には避けたいところです。
だからこそ、角度は狙いにいかない。止まれる着地をつくった結果として出てくる範囲が、その子にとっての適量です。なお、投げていて痛みがあるときは無理をせず、専門家に相談してください。
前傾が出てくるドリル3つ

1・ヒップヒンジで「前傾の形」を覚える
お尻を後ろへ引きながら、背中はまっすぐのまま上体を前へ倒します。腰を丸めて倒すのとは別物だと、体で覚えるための練習です。骨盤が後傾したまま(お尻が落ちたまま)では、お尻の筋肉が働かず、力が地面に伝わりません。まずは手を壁について、お尻を後ろの壁に当てにいくイメージから始めるとわかりやすいです。
2・片足で跳んで、止まる
軸足で立ち、両腕を横に広げて前へ跳び、踏み出した足で止まります。目的は「止まれる範囲の歩幅を知ること」。止まれずによろけるなら、その歩幅は今の体には広すぎます。止まれる幅で投げるほうが、結果として前傾は出ます。
3・横から5球撮って、見比べる
スマートフォンを三脚(なければ荷物の上)に置いて、投球を真横から撮ります。見るのは、ボールを離す瞬間に胸がどれくらい前へ倒れているか、そして着地の瞬間に頭が前足より前へ出ていないか。自分のフォームは自分では見えません。5球撮って見比べるだけで、言葉で説明するより早く伝わります。
まとめ

- ボールを離す瞬間、上体は前へおよそ36度、グラブ側へおよそ23度倒れている
- 前傾が10度増えると球速はおよそ時速2.5キロ速くなり、ボールには下向きの角度がつく
- ただしその前傾は、自分で倒すものではなく、前足で止めた結果として起きるもの
- 倒しすぎ・横倒しは肘の負担が球速の伸びを上回る。狙うのは角度ではなく、止まれる着地
まずは横から5球だけ撮ってみてください。「倒せ」と言う前に、いま何度倒れているかを見るところからです。
▼動画はこちら(チャンネル登録も歓迎です)
https://www.youtube.com/watch?v=qH9BHoerJRI









