
「肘が下がってる!」「肘を上げて!」——野球でいちばんよく聞く注意なのに、いちばん直らない。そんな経験はありませんか? じつは、肘だけを直そうとするほど直りにくいと言われています。原因は腕ではなく、体の動く「順番」にあるからです。
この記事では、肘が下がる・肘が抜ける投げ方(肘抜き)の仕組みと、家でできる直し方のドリルを図解つきで紹介します。動画版はこちらです。
肘抜きとは?なぜ起きる?
肘が外へ開く・肩より下がる投げ方

肘抜きとは、投げるときに肘が体の外へ開いたり、肩の線より下がったりしたまま腕を振る投げ方のことです。腕だけでパッと投げる形になりやすく、一見きれいな縦回転のボールになることもありますが、体の力が伝わらないため球は弱くなりがちで、肩や肘への負担も大きいと言われています。
原因は、腕が「先に」動いてしまうこと

肘が下がる原因で多いのは、体幹の回転より先に腕が動き出してしまうケースです。下からの力が伝わる前に腕だけで投げるので、肘が近道をして下がってしまいます。お腹の力が使えていないことや、テークバックで肘から先に引き上げる癖も原因になると言われています。つまり、肘の位置は「結果」で、原因は体の使い方にあるのです。
放っておくとどうなる?

肘が下がったまま投げ続けると、肩や肘に負担が集中し、故障の原因になると言われています。体全体で投げられないぶんボールも弱く遅くなり、ボールを離す位置も不安定になって抜け球や引っ掛けが増えます。すでに肘や肩に痛みがあるときは、無理をせず、先にお医者さんなど専門家に相談してください。
直す2つのポイント
ポイント① 体から動かし、腕は最後

1つめは順番です。下半身で前に進み、体幹が回って、腕は最後。体の回転が終わる前に腕を動かさず、腕は「振る」より「振られる」感覚が理想と言われています。投げ急いで腕が先に出てしまうときは、投げる前に小さな予備動作を入れてタイミングを取ると、体と腕がつながりやすくなります。
ポイント② 肘は肩の高さ・体から上げる

2つめは肘の通り道です。目安は、ボールを離す瞬間に肘が肩の線の高さにあること。テークバックは肘から引き上げるのではなく、胸や肩甲骨など体の大きな部分から動かして上げます。投げにいくとき、ボールを持つ手をなるべく頭より後ろに保つと、腕だけが先に出る肘抜きの動きを防ぎやすいと言われています。
家でできる直し方ドリル
ドリル① 大きいボールを投げる

ドッジボールやミニバスケットボールなど、大きめのボールを投げる練習です。大きいボールは腕だけでは上手に投げられないため、自然と体全体でボールを運ぶ形になり、肘が抜けにくい状態で正しいフォームを覚えられると言われています。近い距離にやさしく10球が目安です。
ドリル② 手首を固定して「体で運ぶ」

手首を固定するサポーターやテーピングを使い、手先に頼れない状態で近い距離をやさしく投げる練習です。手首が使えないと、体で運ぶしかなくなります。肘抜きや引っ掛けの癖を抑えて、体全体でボールを運ぶ感覚を養えると言われています。近い距離で5〜10球、フォーム確認のつもりで行いましょう。
まとめ:肘は結果。体の順番から直そう

肘が下がる・肘が抜けるのは腕だけの問題ではなく、体より先に腕が動く「順番」の問題です。
- 原因は腕ではなく、体の動く順番にある
- 目安は、肘が肩の線の高さにあること
- 大きいボール投げ・手首固定のドリルで、体に自然に覚えさせる
注意の言葉を増やすより、ドリルで体に覚えさせるのが近道です。「肘を上げて」と言いたくなったら、代わりに大きいボールを1つ用意してみてください。
動画では、スライドの図解とナレーションでさらに分かりやすく解説しています。ぜひご覧ください。








