
はじめに
せっかく寸法どおりに切って、ていねいに削ったのに、組み立てたらぐらぐらする。
木工の製作で、いちばん悔しい瞬間ですよね。
その原因は、切り方でも削り方でもなく、たいてい「接合」にあります。
中学校の技術で出てくる接合の方法は、大きく三つ。
突き付け、相欠き、ほぞです。
名前だけを覚えると、テストで「どれがいちばん丈夫か」と聞かれたときに迷ってしまいます。
けれども、強さが何で決まっているのかが分かれば、答えは自分で導けるようになるんです。
この記事では、まず三つの接合の形と、それぞれの得意・不得意を並べます。
次に、強さを決めているしくみを、接着面の広さと木の繊維の向きから読み解きます。
最後に、実習でそのまま使える手順と、失敗したときの直し方を確かめます。
授業を休んでしまった人も、テスト前にもう一度確かめたい人も、この記事だけで追いつけるように書きました。
途中に例題も置いてありますので、ぜひ手を止めて、ノートに書きながら読んでみてくださいね。
木材の接合を3つの視点で読み解く
接合の学習は、「三つの型」「強さのしくみ」「仕上げる手順」の3つに分けると迷わなくなります。
三つの型は、突き付け・相欠き・ほぞの形と、加工の手間の違いです。
強さのしくみは、接着面の広さと木の繊維の向きという二つの物差しで説明できます。
手順は、けがきと下穴、仮固定、そして失敗したときの直し方です。
この順番で追いかけると、作品づくりでもテストでも、迷わず選べるようになりますよ。
- ポイント1:接合には三つの型がある:突き付け・相欠き・ほぞの順に丈夫になり、手間も増えます。
- ポイント2:強さは面積と繊維の向きで決まる:接着面が広いほど強く、木口は接着剤が効きません。
- ポイント3:手順どおりなら強さは出る:下穴で割れを防ぎ、仮固定で直角を出してから締めます。
ポイント1:木材の接合には三つの型がある
まずは形からおさえます。
三つを並べて見ると、共通するきまりが浮かび上がってきますよ。
加工の手間が増えるほど、接合は丈夫になる。これが三つを貫く原則です。
三つの接合の形と特徴を紹介します
突き付け接合は、いちばん簡単でいちばん弱い
まずは突き付け接合です。
切ったままの面どうしをそのまま突き合わせて、釘や接着剤でとめます。
特別な加工が要らないので、時間がないときに助かる方法ですね。
ただし、接する面は板の厚みの分しかありません。
厚さ十五ミリの板なら、その細長い面だけで力を受けることになります。
しかもその面は、繊維を輪切りにした木口であることが多く、接着剤が吸いこまれて効きにくいんです。
本棚の側板のように重さがかかる所へ突き付けだけを使うと、いずれぐらついてきます。
使うなら力のかからない所か、補強と組み合わせてくださいね。
相欠き接合は、かみ合わせでずれを止める
二つ目は相欠き接合です。
つなぐ二枚の材料を、それぞれ厚みの半分だけ欠き取って、その段どうしをかみ合わせます。
上から見ると十文字や角の形にぴたりと収まって、見た目もすっきりしますよ。
強い理由は二つあります。
一つは、接着する面が突き付けよりずっと広くなること。
もう一つは、欠き取った段が横方向のずれを止めてくれることです。
接着剤や釘が力を受け持つ前に、形そのものが動きを押さえてくれるんですね。
棚の仕切りや脚の交差など、ねじれる力がかかる所で頼りになる接合です。
テストでも、図を見て名前を答える問題がよく出ますよ。
- 突き付け:加工はいちばん楽。接着面は板の厚み分だけで、強さはいちばん弱い。
- 相欠き:半分ずつ欠いてかみ合わせる。面が広がり、横のずれとねじれに強い。
- ほぞ:ほぞとほぞ穴で組む。接着面が四方に広がり、最も丈夫。手間もいちばん。
ほぞ接合は、接着面が四方に広がる
三つ目がほぞ接合です。
片方の材料に突起であるほぞを作り、もう片方にほぞ穴を掘って差しこみます。
日本の伝統的な建物にも長く使われてきた、継ぎ手の代表格ですね。
丈夫な理由は、接着面が四方に広がるからです。
ほぞの表と裏、そして左右の面が、すべてほぞ穴の内側と接します。
突き付けが一つの細い面で受けていたのに比べると、受け止める面積がまるで違いますよね。
そのぶん、けがきの精度と穴掘りの手間はいちばんかかります。
作品の中でいちばん力がかかる所へ、集中して使うのがこつなんです。
ポイント2:強さは「面積」と「繊維の向き」で決まる
形が分かったら、次はなぜ差が出るのかです。
ここが分かると、習っていない接合が出てきても強さを見当づけられますよ。
接着面が広いほど強く、木口では接着剤が効かない。物差しはこの二つです。
強さが決まるしくみのポイントを紹介します
接着面の広さが、そのまま強さになる
一つ目の物差しは、接着面の広さです。
同じ大きさの力がかかっても、受け止める面が広ければ、一か所あたりの負担は小さくなります。
逆に面がせまいと、そこに力が集中して、はがれの起点ができてしまうんですね。
突き付けの接着面は板の厚み分しかありませんが、相欠きは板の幅の分まで広がります。
ほぞになると、四方の面で受けることになります。
数字にすると、何倍もの差になるわけです。
接合を選ぶときは、まず接着面がどれだけ取れるかを見る。
これが最初の判断基準になりますよ。
見た目の形よりも、面積で考えるくせをつけておきましょう。
- 接着面の広さ:面が広いほど力が分散します。相欠き・ほぞが強いいちばんの理由です。
- 繊維の向き:木口は接着剤が吸いこまれて効きません。板の側面どうしはよく効きます。
- 釘と接着剤:釘は横ずれと抜けを止め、接着剤は面全体で受ける。役割が違います。
木口には、接着剤が効きにくい
二つ目の物差しは、木の繊維の向きです。
木材はストローの束のような構造をしていて、その束を輪切りにした面を木口と呼びます。
木口に接着剤を塗ると、細い管の中へどんどん吸いこまれてしまい、表面に接着の層が残りません。
見た目には十分塗ったつもりでも、実際の強さはほとんど出ないんです。
いっぽう板の側面や平らな面どうしは、繊維が横に走っているので接着剤がとどまり、しっかり効きます。
木口をつなぐときは、接着剤だけに頼らないこと。
釘やねじ、補強板を必ず組み合わせてくださいね。
釘と接着剤は、役割が違う
三つ目は、釘と接着剤の組み合わせです。
この二つは同じ仕事をしているようで、役割が違います。
接着剤は面の全体で力を受け止めますが、固まるまでに時間がかかります。
釘は点で支えるかわりに、打った瞬間から効き、横へのずれと抜けを止めてくれるんです。
つまり、接着剤が固まるまで材料を押さえておくのも、釘の大切な役目なんですね。
釘の長さは、打ちこむ側の板の厚さの二倍半から三倍が目安です。
一直線に並べず千鳥に散らして打つと、繊維に沿った割れを防げますよ。
どちらか一方ではなく、組み合わせて使うものだと覚えておいてくださいね。
ポイント3:手順どおりに進めれば、強さは出る
最後は実習の手順です。
難しい技ではなく、順番を守るだけで仕上がりが変わります。
下穴で割れを防ぎ、仮固定で直角を出してから締める。この順番が命です。
実習でそのまま使える手順を紹介します
けがきと下穴で、割れとずれを防ぐ
手順の一つ目は、けがきと下穴です。
けがきは必ず基準面から寸法をとります。
あちこちの面を基準にすると、その都度の誤差が積み重なって、組んだときに角が合わなくなるんですね。
位置が決まったら、釘を打つ場所に下穴をあけます。
太さの目安は、釘の直径のおよそ八割。
これだけで、材料が割れる失敗がぐっと減ります。
もう一つ大切なのが、端からの距離です。
木材の端の近くは割れやすいので、十五ミリほどは離しておきましょう。
細い材料や硬い材料ほど、下穴の効果は大きくなりますよ。
急がば回れ、の一手間だと思ってください。
仮固定してから、締める
手順の二つ目は仮固定です。
接着剤を塗ったらすぐ釘を打ちたくなりますが、その前にクランプや万力で押さえます。
押さえた状態で直角定規を当てて、角を確かめてください。
ここで直角が出ていないと、組み上がってから直すのはほとんど無理になります。
クランプの当たる所に当て木をはさむと、材料に締めあとが残りません。
仮固定ができたら、はみ出した接着剤をぬれた布ですぐ拭き取ります。
乾いてから削ろうとすると、その部分だけ塗料がのらず、仕上げで目立ってしまうんです。
押さえてから打つ。この順番だけは守ってくださいね。
失敗しても、直し方を知っていれば大丈夫
手順の三つ目は、失敗したときの直し方です。
釘が曲がったら、無理に打ち続けないでください。
曲がったまま入った釘は材料の中で暴れて、割れの原因になります。
いったん釘抜きで抜いて、新しい釘に替えるのが結局いちばん早いんです。
抜くときは、釘抜きの下に当て木をはさみます。
てこの支点が高くなって力が入りやすくなるうえ、材料もへこみません。
残った穴は、同じ木のやすりくずと接着剤を混ぜて詰めれば、ほとんど目立たなくなります。
直し方を知っていると、思いきって作業できるようになりますよ。
- けがき:基準面から寸法をとる。端から十五ミリ以上あける。
- 下穴:釘の直径のおよそ八割の太さであける。細い材料ほど効果が大きい。
- 仮固定:接着剤を薄く塗り、クランプで押さえて直角を確認してから打つ。
おわりに
今日たどってきたのは、三つの型、強さのしくみ、仕上げる手順の3つでした。
接合は突き付け、相欠き、ほぞの順に丈夫になり、加工の手間もその順に増えていきます。
強さを決めているのは、接着面の広さと木の繊維の向き。
そして、下穴と仮固定という地味な一手間が、仕上がりを大きく変えるんでしたね。
最後に一つだけお願いです。
記事の中に出てきた例題を、もう一度ノートに書いて解き直してみてください。
突き付けに釘二本と、相欠きに接着剤と釘。
どちらが強くて、その理由を二つ挙げられるでしょうか。
読んで分かった気になるのと、自分の手で説明できるのとでは、テストでの手ごたえが大きく変わりますよ。
ご視聴ありがとうございました。
この記事の内容を動画でも解説しています。
ぜひご覧ください。
中学技術【木材の接合】突き付け・相欠き・ほぞの強さの違いをわかりやすく解説
中学技術の授業でつまずきやすいところを、一つずつ動画にしています。
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