はじめに
「学級経営がうまくいかない…」
「行き当たりばったりの指導になってしまう…」
とお困りの先生はいらっしゃいませんか?
私も以前は、同じような悩みを抱えていました。
生徒と関わることは楽しいものの、生徒をしっかりと育てられているかどうか、不安や心配がつきまとっていました。
しかし、1年間の学級経営の流れを意識するようになってから、4月に立てた目標に生徒を近づけることができるようになりました。
学級経営は教員の重要な役割の一つであり、その成功は生徒の学習成果や教室の雰囲気に大きな影響を与えます。
しかし、学級経営は決して簡単なものではありません。
教員のスキル、知識、経験、そして何よりも心のこもった努力が必要とされるのです。
この記事を通じて、学級経営に対する新たな視点を提供し、先生方が自分のクラスで成功を収めるための具体的なステップを手に入れていただけることを願っています。
それでは、一緒に学級経営の旅を始めましょう。
クリックできる目次
1年間の学級経営の流れ
「安心」「規律」「成長」「感謝」の4つをキーワードに1年間の流れをつくる
まずは、学級経営の基盤となる流れを紹介します。
担当する生徒に合わせて目標を設定しますが、1年間の大まかな流れは、毎年同じです。
1年間を4分割して段階ごとに手立てを変えていきます。
下記の表をご覧ください。
この流れが、基盤となります。
この後、教師の目標と生徒の目標を決めていきますが、1年間の学級経営の流れは、変えることはありません。
2.目標設定
まず、4月に学年、学級が決まったら目標を設定します。
目標設定は、学級経営の成功に向けた最初の一歩となります。
目標なくして、生徒の意図的成長はありません。
教師の目標と生徒の目標の2つを作りましょう!
それでは、新学年の目標設定についての具体的なステップをお伝えします。
教師の目標の明確化
新学年の始まりには、まず教師の目標を明確にします。
これは、生徒が一年間で何を学び、どのような姿に成長することを期待するかを定義するものです。
担当学年・学級が決まったら、真っ先に目標づくりに専念します。
どのような生徒に育てたいのかを、ノート1ページ以上になるくらいまで書きなぐります。
そして、自分自身が大切にしたい1年間を通して大切にしたい言葉を定めます。
その言葉が、一年間学級経営をする上での指針となるキーワードになります。
キーワードが決まったら、その言葉を学級通信のタイトルに私はします。
そして、学級通信第1号で、タイトルに込めた思いを綴り、出会いの日に伝えます。
生徒自身に目標を決めさせる
次に、生徒自身が「どんな学級にしたいか」目標を定めます。
そして、生徒の思いを基にしたものを、級訓に決めます。
級訓の決め方の流れを簡単に説明します。
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生徒一人一人に級訓と級訓に込めた思いをワークシートへ書かせる
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全員に発表させる
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共感者の少ない級訓を削り、2種類に絞る
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議論させる
級訓決め方の詳しい方法は、以下の記事をご覧ください。
3.段階に応じた学級経営のポイント
学年始まりの戦略:安心と規律
学級開きの最優先事項は安心感です。
そのため、必要な手立てを紹介していきます。
なお、黄金の3日間についての学級経営は、以下の投稿に詳しい内容が掲載してありますので、合わせてご覧ください。
生徒との信頼関係の構築
4月は、とにかく生徒に話しかけます。
毎日、全員に声をかけることを目標に過ごします。
生徒を褒めて、褒めて、褒めて。
認めて、認めて、認めることに力を注ぎます。
教員と生徒との間に信頼関係を築くことができれば、生徒は、安心して学校へ通うことができるようになります。
安心の基盤なしに成長はありません。
まずは、教員から積極的に話しかけ、生徒の緊張をほぐしていきましょう。
年度当初の学級通信は、生徒の頑張りを数多く掲載します。
生徒自身の自己肯定感にもつながりますし、保護者の安心にもつながります。
仲間同士での信頼関係の構築
教師との信頼関係を高めていくことと同時に行っていきたいのが、仲間同士での信頼関係の構築です。
まずは、気軽に話すことができる友達を一人でも作ってあげることに力を注ぎましょう。
1人でも気軽に話すことができる友達ができれば、生徒の「安心感」はハネ上がります。
そのために、近くの仲間とかかわることができる活動を増やしましょう。
例えば、自己紹介や掲示物づくり、レクリエーションです。
年度初めのレクリエーションのおすすめについては以下の投稿を参照してください。
4月は、学級全員の仲間とかかわることは困難です。
小人数でよいので、生徒の居場所を作ってあげましょう。
最初は、小集団の形成からスタートです。
生徒に仲間のよいところを日記に書かせるように促します。
そして、その日記を学級通信に掲載したり、朝の会や帰りの会で生徒に伝えたりします。
年度当初に、これらのことを行うことで、1年間を通して、仲間のよさを日記に綴るようになります。
クラスルールの確立
年度当初のルール作り
年度初めは、頑張っている生徒を認め、ルールを確立していきます。
なるべく、生徒を直接指導しなくてもよいように、あらかじめ教員が準備をしておきます。
褒める準備をしておくと考えればよいと思います。
生徒に安心感を与えるためにも、褒める布石をいくつも用意しておきましょう。
慣れ始めたときのルール作り
5月に入ると、生徒はだんだんと慣れていき、素が出始めます。
年度当初伝えたルールもだんだんといい加減になっていきます。
そのため、1年間を通して徹底したいルールは、生徒が慣れ始めたときに何度も伝え、ルールを定着させましょう。
年度当初は、学級の基盤づくりと合わせてリーダーの育成をしていきましょう。
リーダーが育っていくと、学級に自浄作用が身に付きます。
そして、リーダーを中心に、学級の基盤が向上していきます。
中間部の学級経営:成長
ルールが定着していけば、学級は落ち着いて動いていきます。
しかし、学校の目指すところは、さらなる成長です。
壁を乗り越えさせる
生徒の成長に必要な場が、行事です。
多くの学校で、10月や11月に学校行事が組み込まれています。
行事は、生徒の成長のためにあるもので、勝って喜び、負けて悔しがるだけのものではありません。
成長が伴ってこそ、学校行事に価値が生まれます。
学校行事では、あえて生徒に壁をつくってもよいでしょう。
合唱コンクール時に生徒が書いた日記です。
今日まで、合唱コンの練習が続いてきていて、本番までの時間も徐々にちかづいてきて、まだ10月で合唱コンは11月だけど、その中での油断やちょっとした気の緩みで、結果が落ちると思います。
練習している時間、日にちはクラス、学年、学級、いっしょです。
その中で、どれだけ練習できるかだと思います。
I女さんやA男くんや他のパートリーダーがしっかりと声も出して、アドバイスや練習するための準備をやってくれたりなど、たぶん僕たちが見ていない違うところでも時間をつくって話し合ったりしてくれていると思います。
当たり前だけど、僕たちよりI女さんたちの方が時間がないと思っていると思います。
でも、その中で僕たちがどう動くかでI女さんたちの時間がスムーズになったりすると思います。
今僕たちはYouTubeで歌を聴いたりするなどそういうことをしているけど、パートリーダーとか以外の人でもアドバイスなどをして、助け合いながらお互いを支え合いながらちょこちょこ前に進んだりした方がいいと思います。
あと、前に進むだけではなくて、ちょっと立ち止まったりすることも大事だと思います。
みんながどう思っているかわからないけど、でも最終的な目標はみんな一緒だと思うので、個人だけで頑張らずに一人一人が自信をもって、みんながまとまった練習をして、本番で今よりもっとまとまった状態で本番を迎えたいし、誰もが終わった後に、ぐちぐち言わない納得した終わり方で終わりたいです。
また、合唱コンのことでクラスの話し合いがたぶんあると思うので、そのときに、みんなが思っていることをぶつけて不満などがないように練習から納得したことをこつこつやっていったり、練習がなくても一人で歌ったりして、小さなことでもやっていけばもっと目標の最優秀賞がとれると自分は信じたいです。生徒の日記
最優秀賞がとりたい。
やるからには一番をとりたい。
それがぼくの思いです。
このままでは絶対に最優秀賞なんかとれない。
そう感じます。
しかし、今日たった一つみんなの心が一つになったときがありました。
朝、「今日は10分休み時間の練習はしません」とI女さんが言いました。
1時間目は音程がとれていない子が歌っているだけで、周りは思い思いに自由にしていました。
ぼくはラジカセの前に立って歌っていたのですが、アルトも練習している人としていない人でまちまちでした。
ああ、やっぱりみんな自分のことがあるんだなと思い、少し早めに練習を終わりました。
2時間目は家庭科で、授業が終わる前に●●先生がポツンと「他のクラスはラジカセをもってきてここで練習してたよ」と言われました。
休み時間になって、みんな練習したいのかしたくないような気持ち悪そうな気持ちがあったと思います。
3分くらいたったら、パートリーダーや女子たちが集まっているのを見たら、一台のラジカセがありました。
それを見た全員は練習を始めました。
初めはほんの少しの人がやっていた練習を周りがどんどん続けて(つないで)いきました。
学級通信に「動いていくことを意識することが大切です」と書いてありましたが、クラスのために率先してラジカセをとってきてくれた人がいたことにとても感謝しています。
通信には悪く言ってしまうが、1組はだめな(大変な)状態になっているという感じですが、クラスのために動いてくれる人がまだいます。
1組はまだ終わってはいません。
大きな波を乗り越えようとしているだけです。
今日みたいに少しのはずみで心を一つにするのではなく、日常からみんなで周りのことを思って行動すれば、その先に最優秀賞というものが待っていると思います。生徒の日記
今日、231号~270号までの一歩でも前への合唱コンにかかわる日記をすべて読み返しました。
姉に「プリント広げすぎ」と怒られるくらい真剣に2時間くらい読んでいました。
読み返そうと思った理由が5時間目の話し合いです。
I女が涙を流しました。
L女が本気で怒っていた。
半分ぐらいの人が自分の正直な意見を言うことができた。
とても大きなことだと私は感じたんです。
一つ取り上げるとしたら、名前が挙がった人たちです。
みんなに言われて、6時間目の様子を見ると感じてくれたことは少なからずあったと思います。
今日の話し合いで「それでも信じられない」という人がほとんどだったけど、私は今日帰り道に考えてみると、きっとこれから態度で示してくれることを信じることに決めました。
信じて裏切られるのではないかとか、みんなに何で信じるの?と言われることも考えるとやっぱり怖いけど、クラスの1人1人と向き合うことも大事だと思ったので、こういう結論を出しました。
今日もらった通信に私が書いた日記について書いてくれる人がたくさんいました。
私はあの日記に100パーセントの思いをのせました。
それに賛成してくれている人がいて、素直にうれしかったです。
クラスで進んでいくことがすごく大事でそれができたとき、団結できると言えると思います。
でも、一人で歩み始めることも大事なんだと今日思い出すことができました。
どこのクラスよりも35人の思いが強い合唱にしたいです。生徒の日記
学級が落ち着いてきたら、学校行事を利用して、生徒を向上させていきましょう。
行事指導については、以下の投稿をご覧ください。
合唱コンクールを成功に導くポイントについては、以下の投稿をご覧ください。
学期末の締め:感謝
1年の終わりのキーボードは、感謝と次なるステップです。
1年間を終えて
1年間の締めくくりは、担当してくれた先生や関わってきた仲間への感謝の気持ちを育みたいです。
そのために、感謝の手紙を書く場を、ぜひ作ってください。
すごく温かい時間になると思います。
年度末の生徒の日記
今日、入学説明会ということで6年生が●●中に来ました。
そのため、私たちは本当にあと少しで先輩になるのだなと思いました。
それと同時に私たちが説明会のために●●中に来たのは、もう1年も前のことなんだなと思います。
あと1ヶ月と少しで、私たちは2年生。つまり先輩になります。
私はこのクラスのままがよいです。
私はもともと学校とかはあまり好きではなかったのですが、このクラスになってからは、学校が好きになりました。
クラスが替わるのは嫌だし、先輩になるのもすごく心配で不安です。
しかし、この前私が書いた日記に●●先生が「きっとクラスが離れても今年つくった絆はなくならないよ」とコメントを書いてくださりました。
だから、そういうことを考えると安心します。
それに、先輩になったとしても、今の2年生の先輩はなんだかんだで楽しそうですし、心配することも不安に思うこともないのかなと思います。
だから、あと1ヶ月全員でたくさん思い出をつくっていけたらよいなと思います。生徒の日記
月ごとの目標と一年間の流れ
大まかな流れが決まったら、最後、月ごとの具体的な指導計画を考えます。
そして、1年間の流れを意識しながら、各月ごとにキーワードを定めていきましょう。
※気になる月を選択し、クリックすると、具体的な指導方法がまとめられた投稿へ移動します
学級通信で見る一年の流れ
長谷川博之先生の学級経営に魅力を感じ、日々の教育活動の参考にさせていただいております。
長谷川先生と生徒との深い関わりやその熱意あふれる指導方法は、私自身の指導にも大いに影響を与えています。
長谷川先生の実践はとても参考になるので、ぜひ一度ご覧いただくことをおすすめします。
学年別の学級経営の目標
生徒の発達段階に合わせた学級経営も大切です。
学年に合った経営になっているか、見直してみましょう。
学年別の学級経営のポイントは以下の通りです。
1年生 教える
2年生 ゆだねる
3年生 工夫させる
詳しくは以下の投稿をご覧ください。
おわりに
この記事では、「学級経営成功のための一年間の流れと戦略」について詳しく探求しました。
新学年の始まりから学期末まで、一年間の学級経営の流れを詳しく見てきました。
また、各段階での具体的な戦略とヒントも提供しました。
最後に、教員の皆様がこの記事を通じて、学級経営の成功に向けた新たな視点を得られたことを願っています。
そして、これらの知識が皆様の教室での成功につながることを心から願っています。
それでは、一緒に学級経営の成功に向けて進んでいきましょう。