2学期の授業参観、特別な授業は要りません|担任が押さえる3つのこと【中学校】

はじめに

2学期は、授業参観と学級懇談会のある学校が多い時期です。
予定表にその日が近づいてくると、何を見せようかと落ち着かなくなる。
そんな経験は、ないでしょうか。

私も若いころ、参観の日だけ、いつもと違う授業を組んでいました。
班で話し合わせて、発表までさせて。
けれど、子どもは慣れていない形だと固まります。
結局、ふだんより静かな45分になってしまいました。

あとになって気づいたのですが、保護者は授業の腕前を見に来ているわけではありません。
見に来ているのは、わが子ひとりです。
この記事では、2学期の授業参観と学級懇談会について、担任が押さえておきたい3つのことをお伝えします。

参観と懇談会でやる 3つのこと

保護者にとって、学校は中の見えない場所です。
子どもに聞いても、普通、としか返ってきません。
中学生にもなれば、学校のことを家でほとんど話さなくなります。
見えないからこそ、保護者は不安になります。

つまり参観の日にすることは、うまい授業を見せることではありません。
わが子がここで安心して過ごしている、と分かってもらうことです。
これから挙げる3つは、どれも準備がほとんど要りません。
紙1枚と、前の日のひとことで足ります。

2学期の参観・懇談会の前に決めておく3つ(9月)
  • その1:いつもの授業を、いつもどおりに:新しい進め方は持ち込まない。前の日に「いつもどおりでいい」と伝えておく。
  • その2:全員に、一度は出番をつくる:45分の中に、全員の声が出る場面を一つ。座席表を廊下に貼る。
  • その3:懇談会は、担任が話す会にしない:机を前に集め、最初の5分を保護者どうしに渡す。

ポイント1:いつもの授業を、いつもどおりに

一つ目は、参観当日の授業の組み方です。
特別なことをしないほうが、うまくいきます。
見てもらうのは腕前ではなく、この教室の空気のほうです。

HeatKeep

いつもの授業を、いつもどおりにのポイントを紹介します

参観の日だけ、特別な授業をしない

参観の日が近づくと、いつもと違う授業を組みたくなります。
私も若いころは、班で話し合わせて発表までさせる形を用意していました。
けれど、子どもは慣れていない進め方だと固まります。
手順の説明に時間がかかり、発表も声が小さくなる。
結局、いつもの授業よりも静かな45分になってしまいました。
子どもが動けないのは、やる気の問題ではありません。
その形を、まだ身体で覚えていないだけです。
参観の日は、いちばん慣れている型でやるほうが、ふだんの姿がそのまま伝わります。
新しいことは、参観の翌週から試せば十分です。

前の日に、ひとこと伝えておく

参観の日にいちばん効くのは、前の日のひとことです。
明日は見に来る人がいるよ、と先に伝えておきます。
知らされていないと、当日いきなり教室の後ろや廊下に大人が並ぶことになります。
中学生は、その状況に驚いて動けなくなります。
ふざけて見える子も、照れ隠しでそうしていることがほとんどです。
そのうえで、いつもどおりでいいからね、と言い切ります。
がんばれ、と言うと、がんばらなければいけない日になってしまいます。
いつもどおりでいい、と言われた子は、肩の力を抜いて座れます。
かかる時間は10秒ほどです。
この10秒があるかないかで、当日の教室の空気はずいぶん変わります。

前の日に子どもたちへ短く伝えている先生

見せるのは、腕前ではなく教室の空気

参観で見てもらうのは、授業の腕前ではありません。
この教室がどんな空気なのか、というほうです。
子どもが分からないときに、手を挙げられるか。
間違えた子を笑う声が出ないか。
先生が全体に向かって話すとき、顔が上がっているか。
保護者はそういうところを、言葉にしないまま見ています。
だから、板書がきれいかどうかは気にしなくて大丈夫です。
むしろ、ふだんやっている呼びかけや返し方を、いつもより少し丁寧にやる。
それだけで、教室の空気は十分に伝わります。
見せるものを変えるのではなく、いつものものを見せる、と決めておきましょう。

参観の前の日にやること
  • 授業の型を決める:新しい進め方は持ち込まない。いちばん慣れている型を選ぶ。
  • ひとこと伝える:明日は見に来る人がいるよ。いつもどおりでいいからね。
  • 「がんばれ」は言わない:がんばらなければいけない日にしない。

準備するものは、ほとんどありません。
いつもの型でやる、と決めてしまうだけです。
前の日の10秒を、忘れないようにしましょう。

ポイント2:保護者が見ているのは、わが子ひとり

二つ目は、45分の中の出番のつくり方です。
全体がうまく回っていても、それだけでは届きません。
わが子が一度も声を出さなければ、保護者の中には何も残りません。

HeatKeep

保護者が見ているのは、わが子ひとりのポイントを紹介します

45分に一度は、全員の声が出る場面を

授業全体がうまく回っていても、わが子が一度も声を出さなければ、保護者の中には何も残りません。
うちの子は何もしていなかった、という印象だけが持ち帰られます。
だから、45分の中に全員の声が出る場面をひとつ入れておきます。
といっても、全員を指名する必要はありません。
隣どうしで1分だけ話す時間をとる。
全員で音読する。
書いたものを、机の上に出しておく。
どれもふだんやっていることばかりです。
新しい活動を足すのではなく、いつもの中から一つ選んで、その日に必ず入れる。
それだけで、どの家庭にもわが子の姿が残ります。

授業の中で手を挙げている生徒

廊下からでも、わが子を見つけられるように

中学校の参観は、教室に入らず廊下から見ている保護者がかなりいます。
後ろのドアの近くに立って、少しだけのぞいて帰る方もいます。
そのとき困るのが、わが子がどこに座っているか分からないことです。
中学生になると背丈もそろってきて、後ろ姿では見分けがつきません。
座席表を1枚、廊下側のドアに貼っておきましょう。
名前は小さくてかまいません。
班活動をする日なら、班の番号札を机に立てておくのも効きます。
探す時間が減れば、その分わが子を見ていられます。
前の日の放課後に貼っておけば、当日はあわてずにすみます。
紙1枚の手間で、来てくれた保護者の時間が変わります。

来られなかった家庭の分を、3行だけ残す

中学校の参観は、来られない家庭のほうが多いこともあります。
仕事の都合で動けない方がほとんどで、関心がないわけではありません。
来なかった家庭を責める気持ちは、こちらも持たないでおきたいところです。
そのかわりに、その日の教室の様子を3行だけ、どこかに残します。
今日は何の授業で、子どもたちがどんな顔をしていたか。
学級通信でも、連絡アプリの一言でもかまいません。
長い文章は要りませんし、毎回でなくても大丈夫です。
来られなかった家庭にも、教室が見えている状態をつくっておく。
参観に来た人だけが安心する日にしない、という意味です。

参観当日、担任がやること
  • 全員の声が出る場面を一つ:ペアで1分/全員で音読/書いたものを机に出す。
  • 座席表を廊下に貼る:廊下から見ている保護者が、わが子を探さずにすむ。
  • 来られなかった家庭へ3行:その日の様子を短く残し、教室を見える状態にしておく。

どれも、その日に思いつくと間に合いません。
前の日のうちに決めておきましょう。
座席表は、放課後に1枚貼るだけです。

ポイント3:懇談会は、担任が話す会にしない

三つ目は、参観のあとの学級懇談会です。
ここを担任の説明で埋めると、もったいない時間になります。
保護者どうしがつながると、担任が答えなくても解決していきます。

HeatKeep

懇談会は、担任が話す会にしないのポイントを紹介します

人数は気にしない。机を前に集める

参観のあとの学級懇談会は、残る保護者が数人ということも珍しくありません。
席が空いていると、こちらも気持ちが沈みます。
けれど、人数の少なさは失敗ではありません。
むしろ少ないほうが、一人ひとりと深い話ができます。
やることは一つで、机を前に集めてしまうことです。
離れた席に点々と座ったままだと、話しかけにくい形が最後まで続きます。
前の2列に集まってもらうか、いっそ輪にする。
移動をお願いするのは気が引けますが、席が近づくだけで空気はやわらぎます。
残ってくれた方に向き合う会だと決めてしまえば、人数は気にならなくなります。

最初の5分は、保護者どうしに渡す

懇談会を担任の説明から始めると、最後まで一方通行のまま終わります。
質問はありますか、と聞いても、しんとしたままです。
そこで、最初の5分を保護者どうしに渡します。
2学期に入ってからのお子さんの様子を、隣の方と1分ずつ話してみてください、とお願いします。
家での話でかまいません、と添えると、話し始めやすくなります。
一度声を出したあとの教室は、驚くほど雰囲気が変わります。
そのあとで質問を受けると、今度は手が挙がります。
担任が答えなくても、保護者どうしで解決してしまうこともあります。
同じ悩みを持つ人が隣にいた、と分かるだけで、安心して帰れるものです。

資料を手に懇談会の進行を案内している先生

担任が話すのは、学級の事実3つだけ

担任が話すのは、学級経営の方針ではありません。
立派なことを言おうとすると、かえって何も残らないものです。
持っていくのは、この2週間に教室であった場面を3つだけ。
誰かが誰かを助けた場面、みんなで笑った場面、静かに集中していた場面。
話し方には順番があって、まず起きた事実を伝えます。
次に、その行動のどこがよかったのかを言葉にします。
最後に、こういう子が信頼される人になります、とひとこと添える。
この順で話すと、成績や順位の話をしなくても、うちの子を見てくれていると伝わります。
そして、困ったら早めに教えてください、と一言だけ置いて終わります。

学級懇談会の15分の使い方
  • 机を前に集める:人数は気にしない。前の2列に集まるか、輪にする。
  • 最初の5分は保護者へ:隣の方と1分ずつ、2学期のお子さんの様子を話してもらう。
  • 担任は事実を3つ:この2週間の場面を、事実→価値づけ→ひとこと、の順で。

資料をそろえる必要はありません。
持っていくのは、教室であった場面3つだけです。
あとは、保護者に話してもらいましょう。

おわりに

参観と懇談会は、乗り切る行事ではありません。
いつもの授業を、いつもどおりにやること。
45分に一度は、全員の声が出る場面をつくること。
懇談会の最初の5分を、保護者どうしに渡すこと。
この3つで、その日の意味は変わります。

全部をそろえようとしなくて大丈夫ですよ。
次の参観でやることは、一つだけで十分です。
前の日に「明日は見に来る人がいるよ、いつもどおりでいいからね」と伝えてみてください。
10秒で終わります。

保護者の不安は、教室が見えないところから生まれます。
逆に言えば、見えている家庭は、何かあっても相談のかたちで連絡してくれます。
信頼は、事が起きてからでは積めません。
参観と懇談会は、その残高を積める数少ない日です。

2学期の授業参観と学級懇談会で担任が押さえる3つのことのまとめ

ご視聴ありがとうございました。
この記事の内容を動画でも解説しています。
ぜひご覧ください。

学級経営のヒントを受け取る

LINEで「学級通信100号」を無料プレゼント中。
登録後の7日間で学級づくりの土台をお届けし、その後もときどき役立つ情報を配信します。

生徒との絆を深め、理想の学級を実現させませんか?