【中学校】2学期のテストを成長に変える3つの指導 ― テスト前・中・後で担任がやること

はじめに

二学期が始まると、すぐにテストがやってきます。
夏休みの課題テスト、そして十月の中間テスト。
準備の時間は、思っているより短いです。
気がつくと、テスト週間に入っていた、ということもあります。

テスト週間に「しっかり勉強しよう」と声をかける。
当日は教科の先生に任せる。
返ってきた日は、点数を配って終わる。
担任がやっていたのは、この三つだけになっていませんか。

私も、若いころはずっとそうでした。
テストは教科の先生の仕事だと思っていたからです。
でも、テストは行事とまったく同じで、子どもを成長させるための節目です。
この記事では、テストを点数だけで終わらせない三つの指導をお伝えします。

2学期のテスト指導 3つの手順

先に結論からお伝えします。
担任が関われるのは、テスト前、テスト中、テスト後の三つの場面です。
ひとつ目は、テスト前に、何のためにやるのかと、どれだけやればいいのかを渡すこと。
ふたつ目は、テストの受け方そのものを教えること。
みっつ目は、返却の日を、点数を配る日から振り返りの日に変えることです。
どれも、次のテスト週間からそのまま試せます。
この三つがそろうと、テストは点数を出す装置ではなく、自分を変える節目になります。

3つの手順
  • 手順1:テスト前に、目的と数字を渡す:目的と目標を分けて語り、勉強時間の目安を数字で示す。
  • 手順2:テスト中の受け方を教える:前日に所作を確認し、「もう一度やり直すつもりの見直し」を伝える。
  • 手順3:返し方を変える:点数ではなく向き合い方を名前つきで価値づけ、次に変えることを一つ決める。

ポイント1:テスト前に「目的」と「数字」を渡す

テスト前の指導というと、勉強の仕方を教えることだと思われがちです。
けれど担任が渡すのは、勉強法ではありません。
何のためにやるのかという目的と、どれだけやればいいのかという数字の二つです。

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テスト前に渡すもののポイントを紹介します

「頑張れ」では、子どもは動けません

テスト週間に入る前、多くの学級で「しっかり勉強しよう」と声をかけます。
けれど、この言葉だけでは、子どもはほとんど動けません。
どれくらいやれば足りているのか、その基準を持っていないからです。
基準がないと、三十分やった子も、三時間やった子も、同じように「やった」と言います。
そして結果が出なかったときに、自分は頭が悪いのだと結論づけてしまう。
本当は、量が足りていなかっただけなのにです。
中学校のテストは、能力ではなく努力で差が出ます。
だからこそ、先生が渡すべきなのは励ましではなく、どれだけやればいいのかという具体的な数字のほうなんです。

テスト前に語る3つ
  • 目的と目標を分ける:目標は順位や点数、目的は自分と向き合い心を育てること。
  • 目標は本気で取りに行く:点数はどうでもいい、とは言わない。本気で追うから目的が達成される。
  • 日常が土台になる:テスト前だけ頑張る子より、掃除も係も続けてきた子が力を出す。

休日8時間、平日4時間という目安

私が生徒に伝えていたのは、休日は八時間、平日は四時間という数字でした。
かなり多いと感じるかもしれません。
けれど、ここまでやれば点数は取れる、と言い切れる量でもあります。
大事なのは、数字が多いことではなく、自分が今どこにいるかを子どもが測れることです。
四時間という目安があるから、二時間しかできなかった日に「足りない」と自分で気づけます。
逆に、六時間やった日には、自分をきちんとほめられます。
目安は、追い詰めるための線ではありません。
自分の努力を自分で測るための、ものさしとして渡します。

テスト週間の勉強時間の目安を示す先生

目標は、子ども自身の字で書かせる

数字の目安を出したら、次は目標を書かせます。
学級全体で「頑張ろう」と確認するだけでは、自分のこととして残りません。
何位以内、何点以上、と具体的な数字を、子ども自身の字で書かせます。
そうすると、その数字に届くために何時間必要なのかを、自分で逆算し始めます。
書いた紙は、机の中でもロッカーの扉の裏でもかまいません。
毎日目に入る場所に置かせておきます。
このとき先生は、目標が高すぎるとか低すぎるとかは言いません。
目標を人に決められた子は、うまくいかなかったときに人のせいにできてしまいます。
決めたのは自分だという事実のほうが、あとで効いてくるからです。

目標を書かせるときの3つ
  • 数字で書かせる:「頑張る」ではなく、何位以内・何点以上まで落とす。
  • 毎日見える場所へ:机の中、ロッカーの扉の裏など、必ず目に入るところに置く。
  • 高い低いを言わない:自分で決めたという事実が、テスト後の振り返りで効いてくる。

手順1でやるのは、この二つだけです。
何のためかを語って、時間の目安を数字で渡す。
それだけで、テスト週間の教室の空気が変わります。

ポイント2:テスト中の「受け方」を教える

テスト当日は、担任の出番がないように思えます。
けれど、前日にもう一つだけ時間を取る価値があります。
テストの受け方は、点数のためではなく、真剣な場での所作を身につけるための指導です。

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テストの受け方を教えるポイントを紹介します

定期テストは、受け方から指導する

テスト当日の朝、先生の仕事はもう終わっていると思っていませんか。
私は、テスト前日にもう一つだけ時間を取ります。
テストの受け方を、細かく確認する時間です。
五分前には机の上に筆記用具だけを置く。
机の中は空にして、横には何もかけない。
筆記用具はキャラクターの絵が入っていないものを使う。
細かすぎると感じるかもしれません。
けれどこれは、テストのための決まりではありません。
真剣な場では、真剣な道具と姿勢で臨むという所作の練習です。
その所作は、三年後の高校入試の日にそのまま出てきます。
定期テストは、入試本番の練習の場でもあるんです。

前日に確認する3つ
  • 机の上と中:5分前には筆記用具だけ。机の中は空、横には何もかけない。
  • 身なりと道具:服装を整え、絵柄のないシンプルな筆記用具を使う。
  • 始まりと終わりの一言:先生へのあいさつ、氏名を丁寧に書く、最後は「お願いします」。

「もう一度やり直すつもりの見直しを」

テスト中の指導で、いちばん伝えたいのが見直しです。
解き終わった子に「見直しなさい」と言っても、たいていはぼんやり眺めて終わります。
なんとなく眺めていても、自分のミスは見逃してしまうからです。
だから、言い方を変えます。
もう一度やり直すつもりで見直そう、と伝えます。
最初から解き直すつもりで手を動かせば、計算の途中や書き写しのずれに自分で気づけます。
この見直しの習慣は、テストの点数のためだけのものではありません。
提出物でも、行事の準備でも、仕上げの前にもう一度確かめる力になります。
念入りさは、教えれば身につきます。

テスト用紙に一人で向き合って見直しをする生徒

終わりの合図まで、姿勢を崩さない

早く解き終わった子が、机に伏せて寝てしまう。
テスト中によく見る光景です。
ここも、そのままにしません。
やめの合図で筆記用具を置き、口を開かずに待つ。
解答用紙は、お願いします、と一言添えて先生に渡す。
最後まで姿勢を崩さない、というところまでが受け方です。
なぜここまで言うのかというと、テストは先生と自分の対決ではないからです。
問題を作った人がいて、採点する人がいる。
その相手への敬意を、目に見える形で表すのが所作です。
入試の日に、解き終わったからと眠ってしまう子にしないための、三年がかりの準備でもあります。

見直しが変わる3つの言い換え
  • 「見直そう」→「やり直そう」:眺めるのではなく、もう一度解くつもりで手を動かす。
  • 「早く終わったら」→「終わってから」:終わりは解き終わりではなく、合図が鳴るまで。
  • 「集中しなさい」→「40分だけ」:時間を区切ると、集中は練習できるものになる。

手順2でやるのは、前日の十分だけです。
受け方をそろえた学級は、テスト中の空気そのものが変わります。
その空気は、そのまま入試の日まで続きます。

ポイント3:テスト後の「返し方」で決まる

テスト指導でいちばん手つかずなのが、返却の日です。
ここをどう扱うかで、次のテスト週間が決まります。
結果はもう変えられませんが、向き合い方は次のテストでもそのまま使えます。

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テストの返し方のポイントを紹介します

点数を返して終わると、何も残りません

テストが返ってくる日、教室の空気は独特です。
うれしそうな子と、うつむいたままの子に分かれます。
ここで先生が点数の話しかしないと、子どもに残るのは数字だけになります。
よかった子は次も同じやり方でいいと思い、悪かった子は自分には無理だと思う。
どちらも、次につながりません。
返却の日にやることは、点数の確認ではありません。
テスト週間の二週間、自分がどう向き合ったかを振り返らせることです。
結果は変えられませんが、向き合い方は次も使えます。
テスト指導がいちばん効くのは、実は終わったあとなんです。

返却日に見る3つ
  • どの問題ができなかったか:点数ではなく、間違いの中身を一緒に見る。
  • 勉強法のどこが効いたか:うまくいったやり方も、必ず言葉にして残す。
  • 乗り越えた経験として返す:つらかった二週間は、そのまま将来の支えになると伝える。

順位が上がった人より、努力した人を価値づける

返却のあと、私は必ず学級通信で何人か名前を挙げます。
けれど、挙げるのは順位が上がった子ではありません。
朝七時に登校して勉強していた子。
携帯を家の人に預けた子。
分からないところを、休み時間に何度も聞きに来ていた子。
点数ではなく、向き合い方のほうを名前つきで残します。
これを続けていると、学級の中の評価の基準が変わっていきます。
順位は学年で一つしかありませんが、努力した事実は全員分あります。
何点だったかではなく、どう向き合ったかで人を見るようになる。
その空気ができた学級は、次のテスト週間の入り方がまるで変わります。

返却されたテストを前に生徒へ声をかける先生

次までに変えることを、一つだけ決める

最後に、次のテストまでに変えることを一つだけ書かせます。
一つだけ、というのが大事です。
反省をたくさん書かせると、どれも実行されないまま終わります。
勉強を始める日を三日早める。
ワークを二回やる。
分からない問題は、その日のうちに誰かに聞く。
このくらい具体的で、一つだけにします。
そして、次のテスト週間の初日に、その紙をもう一度配ります。
自分で決めたことを、自分で読み直すところから始めるわけです。
たった一行でも、自分の字で決めたことは残ります。
テストが、点数を出す装置から、自分を変える節目に変わっていきます。

「一つだけ」の書かせ方
  • 行動で書く:「頑張る」ではなく「始める日を3日早める」まで具体化する。
  • 一つに絞る:反省を並べると、どれも実行されないまま終わる。
  • 次の初日に配り直す:自分で決めたことを読み直すところから、次の週間を始める。

手順3は、返却の日の十分の話です。
けれど、この十分があるかどうかで、次のテスト週間の入り方が変わります。
点数は変えられませんが、次の二週間は変えられます。

おわりに

三つの手順は、それぞれ独立したものではなく、つながっています。
何のためかが分かるから本気で受けられて、所作が身についているから力を出し切れて、振り返るから次が変わる。
ひとつでも欠けると、点数がよかった、悪かった、という記憶だけが残ってしまいます。

次のテスト週間でひとつだけやるなら、勉強時間の目安を数字で伝えてください。
休日八時間、平日四時間。
学校や学年の実情に合わせて構いません。
あわせて、目標を子ども自身の字で書かせておきます。

テストは、成績を出すためだけの装置ではありません。
自分と向き合い、壁を乗り越える経験を積むための節目です。
行事と同じ場所に置いて設計すると、担任にできることがぐっと増えますよ。

2学期のテスト指導 3つの手順のまとめ

ご視聴ありがとうございました。
この記事の内容を動画でも解説しています。
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