
はじめに
水力発電と聞くと、山の中の大きなダムを思いうかべる人が多いと思います。
でも、中学技術のテストで問われるのは、ダムの大きさではなく「水のどんな力が、どうやって電気に変わるのか」という流れです。
ここがあいまいなまま暗記に入ると、似た言葉が多くて混ざってしまうんですよね。
今回はエネルギー変換の単元から、水力発電と、その仲間である揚水発電を取り上げます。
水が電気になる流れ、発電量を決める落差と流量、例題つきの計算、そして夜に水をくみ上げる揚水発電のねらいまでを、順番に整理しました。
2学期の中間テストの前に、ひと通り確認したい人にも向いた内容です。
動画とあわせて読むと、図と式がつながって理解しやすくなりますよ。
- 水が電気になる流れ:位置エネルギー、運動エネルギー、電気エネルギーの順に変わるしくみ。
- 発電量の求め方:落差と流量、目安の式、例題、効率のかけ方。
- 揚水発電のねらい:夜にくみ上げて昼に発電する理由と、水力発電の課題。
水力発電と揚水発電の全体像
今回の内容は、3つのポイントに分けて整理できます。
まずは、水の高さの力が電気になる「水力発電のしくみ」。
次に、発電量を「落差」と「流量」で考える「計算のしかた」。
最後に、あまった電気を水の高さでためる「揚水発電」です。
この順番で読むと、暗記ではなく「つながり」で覚えられます。
各ポイントの終わりには、テストで聞かれやすい言い方も添えておきました。
- ポイント1 水力発電のしくみ:ためた水が位置、運動、電気の順に変わる流れと、落差のつくり方。
- ポイント2 発電量の求め方:9.8×流量×落差の目安と、効率をかけた実際の出力。
- ポイント3 揚水発電:夜にくみ上げて昼に発電するしくみと、水力発電のよい点・課題。
ポイント1:水力発電のしくみ|水が電気になる流れと落差のつくり方
水力発電は、燃料を燃やさずに電気をつくる発電方法です。
大切なのは「高いところにある水は、力をたくわえている」という見方です。
この力を順番に取り出していくと、最後に電気になります。
水力発電のしくみのポイントを紹介します
高い所の水がもつ位置エネルギーとは
ダムの水面が高いほど、水は下へ落ちようとする力をたくさんたくわえています。
この「高さにたくわえられたエネルギー」が位置エネルギーです。
理科で、高い所から落とした物ほど衝撃が大きいと習ったことがありますよね。
水力発電は、あの力を水にやってもらう発電なんです。
だからこそ、発電所は山あいの高い場所につくられることが多いんですね。
水を太い管に通して下へ落とすと、位置エネルギーが運動エネルギーに変わり、水は勢いよく流れ出します。
この変化の順番は、テストでもよく問われます。
位置エネルギーは、水の量が多いほど、そして高さが高いほど大きくなります。
ためた水の高さを水位と呼び、発電所ではこの水位を保つことが、安定して電気をつくる土台になっているんです。
雨が少ない時期にダムの水位が下がると、発電できる量も減ってしまいます。
水力発電が天候の影響を受けるといわれるのは、このためです。
日本は山が多く、雨や雪も豊かなので、明治のころから水力発電が広く使われてきました。
水車と発電機が電気をつくる流れ
勢いのついた水は、水圧管を通って水車にぶつかり、羽根車をぐるぐる回します。
水車の軸は発電機につながっているので、水車が回ると発電機も一緒に回転します。
水車が強く回るほど、発電機も速く回ります。
発電機の中では、磁石とコイルのはたらきで電気が生まれます。
ここで、運動エネルギーが電気エネルギーに変わるんです。
水車と発電機のセットは、発電所の心臓部と呼ばれる大切な部分です。
つまり、位置エネルギー、運動エネルギー、電気エネルギーの順に、姿を変えながら流れていく発電なんですね。
水車には、落差や流量に合わせていくつかの種類があります。
落差が大きくて流量が少ない場所には、水を勢いよく吹きつけるペルトン水車が向いています。
落差が小さくて流量が多い川には、プロペラのような形のカプラン水車が使われます。
その中間には、フランシス水車があります。
名前まで問われることは多くありませんが、落差と水の量で水車を選ぶという考え方は覚えておくと安心です。
落差のつくり方はダム式・水路式・ダム水路式
水を落とすには、まず高さの差である落差をつくらなければいけません。
ダム式は、川をせき止めるダムで水位を高くして、ダムの下との高さの差を使う方法です。
水路式は、川の上流から傾きのゆるやかな水路で水を導き、水路の終わりから急な管で一気に落とす方法です。
ダム水路式は、ダムでためた水を水路でさらに遠くまで導いて、落差を大きくとる方法です。
3つとも、水位の高さと発電所の位置の差が落差になるという点は同じです。
どの方式でも、落差が大きいほど水は強い勢いで水車に当たります。
ダムは、発電のためだけの施設ではありません。
大雨のときに水をためて洪水を防いだり、飲み水や農業用水を確保したりする役目もあります。
こうした複数の目的をもつダムを、多目的ダムと呼びます。
発電はその目的のひとつで、ためた水を放流するときの落差を、そのまま電気づくりに活用しているんです。
テストでは、ダム式・水路式・ダム水路式の名前と、それぞれの落差のつくり方をセットで問われやすいですよ。
- ダム式:ダムで水位を高くして、ダム直下との高さの差を落差にする。
- 水路式:水路で水を導き、水路の終わりと下流との高さの差を落差にする。
- ダム水路式:ダムと水路を組み合わせて、落差を大きくとる。
ポイント2:水力発電の発電量の求め方|落差・流量・効率と例題
発電所の大きさよりも、まず知りたいのは「どれくらい電気をつくれるのか」ですよね。
水力発電の発電量は、落差と流量の2つで決まります。
この2つを式に入れると、理論上の出力が計算できます。
水力発電の発電量の求め方のポイントを紹介します
落差と流量が大きいほど発電量は増える
落差とは、水が落ちる高さのこと。流量とは、1秒間に流れる水の量のことです。
水を高いところから落とすほど、水は強い勢いで水車にぶつかります。
また、流れる水の量が多いほど、水車を回す力も大きくなります。
つまり、高い所から、たくさんの水を落とせるほど、発電量は大きくなるんです。
同じ発電所でも、雨の多い季節と少ない季節で発電量が変わるのは、流量が変わるからなんですね。
落差は高さ、流量は水の量、という区別が基本です。
この2つは、テストの理由づけの問題でもよく使う言葉です。
身近なたとえで考えてみましょう。
ホースで水をまくとき、蛇口を大きくひねると、たくさんの水が出ますよね。
これが、流量を増やすことにあたります。
また、高い場所から水を落とすと、低い場所から出すよりも勢いがつきます。
これが、落差を大きくすることにあたります。
発電所は、この2つを大きくとるために、水量が多い川や、高さの差がとれる場所を選んでつくられているんです。
目安の式に数字を入れて例題を解く
理論上の出力は、9.8×流量×落差で求められます。
単位は、流量が立方メートル毎秒、落差がメートル、答えがキロワットです。
この式は、水の力が損失なく100%電気になる理想の場合の値なので、あくまで目安になります。
使い方はシンプルで、まず単位をそろえ、次に3つの数字をかけ算するだけです。
たとえば流量が2倍になれば、出力も2倍になります。
計算のときは、単位のつけ忘れにも気をつけてくださいね。
式が問題文に示されている場合は、意味を考え込まずに、落ち着いて数字を入れていきましょう。
例題1です。毎秒10立方メートルの水が、50メートルの落差を落ちるとき、理論上の出力は何キロワットでしょうか。
9.8×10×50を計算して、答えは4900キロワットです。
例題2として、同じ水の量で落差を100メートルにすると、9.8×10×100で9800キロワットになります。
落差が2倍になると、出力も2倍になりました。
流量を2倍にした場合も同じように2倍になるので、出力は落差にも流量にも比例すると言えます。
- 単位をそろえる:流量は立方メートル毎秒、落差はメートルで書く。
- 式に入れる:9.8×流量×落差で、理論上の出力(キロワット)が出る。
- 答えを見直す:落差や流量が2倍なら、出力も2倍になっているか確かめる。
実際の出力は効率で決まる
実際の発電所では、水が管の中を流れるときの摩擦や、水車と発電機の回転で、エネルギーが少しずつ失われます。
そのため、理論上の出力に効率をかけて、実際の出力を考えます。
実際の出力は、理論値×効率で表せます。
効率が80%なら、0.8をかければよいということですね。
例題として、理論値が4900キロワットで効率が80%なら、4900×0.8で3920キロワットになります。
効率が高いほど、水のエネルギーを無駄なく電気へ変えられているということです。
効率は、エネルギー変換の単元でくり返し出てくる考え方です。
どんな装置でも、100%のまま電気に変えることはできず、失われた分は主に熱になって出ていきます。
ただ、水力発電は火力発電のように燃料を燃やして熱をつくる工程がないので、変換効率が高い部類の発電方法として知られています。
効率の考え方をくわしく知りたい人は、次の記事もあわせて読んでみてください。
ポイント3:揚水発電のしくみ|夜にくみ上げる理由と水力発電の課題
揚水発電は、水力発電の仲間ですが、少し変わった役目をもっています。
あまった電気を、水の高さでためておく発電所なんです。
電気を使う時間帯に合わせて働く、いわば電気の貯金箱のような存在です。
揚水発電のしくみのポイントを紹介します
上と下の2つの池で電気をためるしくみ
揚水発電所には、山の上と下に2つの池があり、その間を水が行き来できるようになっています。
上の池と下の池の高さの差が、そのまま落差になります。
電気があまっているときは、下の池の水をポンプで上の池へくみ上げます。
電気が足りなくなったら、上の池の水を下へ落とし、水車を回して発電します。
くみ上げるときは、電気を使って水の位置エネルギーを増やしているわけです。
つまり、電気を水の高さに変えてためている、と考えると分かりやすいですよ。
上の池には、使わなかった電気の分だけ水がたまっていくイメージです。
実は、水をくみ上げる装置と、水を落として発電する装置は、ポンプ水車という1台でかねていることが多いんです。
水を落とすときは水車として、水をくみ上げるときはポンプとして、回る向きを変えて使います。
大きな装置を2台そろえなくてよいので、設備を1組にまとめられる工夫といえます。
教科書には出てこないことも多いですが、しくみを想像する助けになるので、頭の片すみに置いておきましょう。
夜にくみ上げて昼に発電する理由
電気は、つくる量と使う量がいつもぴったり同じでなければ、安定して届けられません。
ところが、電気を使う量は時間帯で大きく変わります。
夜は工場やオフィスが止まるので使う量が減り、昼間は多くの人が電気を使うので増えます。
つくる量が使う量を上回ると、電気が余ってしまいます。
大きな火力や原子力の発電所は、出力を細かく素早く変えるのが得意ではないため、夜には電気があまりがちになるんです。
そこで、あまった電気でポンプを動かして水をくみ上げ、昼間に発電して使うという使い方が生まれました。
最近は、昼間に太陽光発電の電気があまる時間帯にも、水をくみ上げて活用することが増えています。
太陽光は天気によって発電量が大きく変わるため、揚水発電のような調整役の大切さが、ますます高まっているんです。
電気そのものを大量にためておくのはまだむずかしい中で、水の高さに変えてためる方法は、昔から使われてきた身近な工夫といえます。
- 夜(電気があまる):ポンプで水を上の池へくみ上げ、電気を水の高さにためる。
- 昼(電気が足りない):上の池の水を落として水車を回し、発電する。
- ねらい:使う電気の量に合わせて、あまった電気を無駄にせず使う。
水力発電のよい点と課題
水力発電のよい点は、発電するときに二酸化炭素を出さないことと、燃料が要らないことです。
また、動かすのも止めるのも速いので、電気の使われ方に合わせて出力を調整しやすいところも強みです。
日本は山と川が多いので、国産のエネルギーとして古くから使われてきました。
一方で、ダムをつくるには大きな費用と長い時間がかかり、川の流れや生き物への影響も考える必要があります。
さらに、雨や雪の量に左右されるという弱点もあります。
テストでは、よい点と課題を1つずつ答える形が多いので、セットで覚えておきましょう。
最近は、大きなダムに代わって、用水路や小さな川の落差を使う小水力発電にも注目が集まっています。
大きな工事が要らず、地域の身近な水を活かせるので、環境への負担が少ないのが魅力です。
火力発電や太陽光発電と比べたとき、水力発電は「燃料がいらない」「出力を調整しやすい」という個性をもっています。
それぞれの発電にはよい点と課題があるので、組み合わせて使うことが大切なんです。
テスト前の確認リスト
ここまでの内容を、テスト前に見直せるように、確認ポイントとしてまとめました。
声に出して言えるか、白い紙に書けるかを試しながら進めると、記憶に残りやすくなります。
意味を説明できる項目が増えるほど、初めて見る問題にも落ち着いて向き合えるようになりますよ。
とくに、エネルギーの順番と、揚水発電のねらいは、言葉で説明できるようにしておきたい所です。
あいまいな項目に印をつけて、もう一度本文の該当箇所へ戻ってみてください。
- エネルギーの順番:位置エネルギー、運動エネルギー、電気エネルギーの順に言えるか。
- 落差と流量:落差は高さ、流量は1秒間に流れる水の量と、区別して言えるか。
- 式の意味:9.8×流量×落差で、単位をそろえて計算できるか。
- 効率:実際の出力=理論値×効率を使い、80%などの数字で計算できるか。
- 揚水発電:夜にくみ上げ昼に発電するねらいを、「あまった電気をためる」と説明できるか。
よくある質問
水力発電と揚水発電のちがいは何ですか
いちばんのちがいは、電気をつくる元になる水の使い方です。
水力発電は、川や貯水池の水を落として、その位置エネルギーで発電します。
揚水発電は、いったん下の池の水を電気の力で上の池へくみ上げ、必要なときに落として発電する、電気をためる発電所です。
水力発電は「新しく電気をつくる」、揚水発電は「あまった電気をためて使い直す」と整理すると、混ざりにくくなります。
揚水発電は、くみ上げるときに電気を使うので、全体としては電気が少し減ります。
たとえば、ダムの水を落とすだけなら水力発電、途中で水をくみ上げる工程があれば揚水発電、と見分けられます。
発電量の式は覚えないといけませんか
まず大切なのは、式そのものより「落差と流量が大きいほど発電量が増える」と言葉で説明できることです。
式は、授業で扱っていれば、9.8×流量×落差の形で覚えておくと役に立ちます。
ただ、テストでは式や必要な数値が問題文に示される形も多いので、学校の授業ノートやプリントで、自分の学校の出し方を確認しておくと安心です。
覚えるときは、単位を一緒に書いておくと、計算まちがいも減らせますよ。
たとえば、落差が2倍なら出力も2倍になる、と説明できれば、式の意味を理解している証拠になります。
揚水発電は電気が減るのに、なぜ使われるのですか
揚水発電は、水をくみ上げるときに電気を使い、あとで発電して戻ってくるのは、そのおよそ70%前後です。
だから、電気の量だけを見れば損をしています。
それでも使われるのは、夜にあまってしまう電気を、捨てずに昼間の必要な時間へ持ち越せるからです。
また、水力は動かすのも止めるのも速いので、電気の使われ方が急に変わったときの調整役にもなれます。
損失を上回る価値がある、と考えると納得しやすいですよ。
水を上の池にためておけば、必要なときにすぐ電気を取り出せる点も強みです。
おわりに
水力発電は、高い所の水の位置エネルギーが、運動エネルギーを経て電気エネルギーに変わる発電でした。
発電量は落差と流量で決まり、実際の出力には効率がかかわります。
揚水発電は、あまった電気を水の高さでためて、必要なときに使い直すための仕組みです。
この3つの流れを、自分の言葉で説明できれば、テストの準備は大きく進んでいます。
あいまいだった所は、動画のスライドも見ながら、もう一度確かめてみてくださいね。
ご視聴ありがとうございました。
この記事の内容を動画でも解説しています。
ぜひご覧ください。










