
はじめに
「板をどう配置すれば、無駄なく部品がとれるだろう。」技術科の授業で、そんな場面に出会ったことはありませんか。
いきなり板に部品を描いて切り始めると、途中で材料が足りなくなったり、大きく余らせてしまったりすることがあります。
材料取り図を先に書いておけば、こうした失敗をかなり減らせるんです。
実はこの「材料の使い方」を数字で表したものが、歩留まりという考え方なんですよ。
今日は、材料取り図の役割と、歩留まり率の計算のしかたについて、例題を交えながら一緒に確認していきます。
板の向きを変えるだけでとれる枚数が変わる、ちょっとおもしろい計算も紹介しますね。
材料取り図と歩留まりの全体像
材料取り図は、板の上に部品をどう配置するかを、切る前に描いておく図のことです。
その配置のよしあしを数字で表したものが歩留まり率で、使った部分の面積を板全体の面積で割って求めます。
木目の向きやのこ代、板にある欠点を考えながら配置を工夫すると、同じ板からより多くの部品をとれるようになります。
まずは材料取り図の役割から順番に見ていきましょう。
- 材料取り図:切る前に配置を決めておく図の役割がわかります。
- 歩留まり率:使った部分の割合を計算する方法がわかります。
- 並べ方の工夫:向きを変えて枚数を増やすコツがわかります。
ポイント1:材料取り図の役割
材料取り図は、ただ板に部品を描くだけの作業ではありません。
切る順番や木目の向きまで考えながら配置を決めることで、失敗や材料不足を防ぐための設計図になります。
先に配置を決めておくことが、無駄を減らす一番の近道なんです。
材料取り図の役割を紹介します
材料取り図とは何か
材料取り図とは、板の形をそのまま図にして、そこに切り出す部品の位置をひとつずつ描き込んだもののことです。
寸法や形だけでなく、どの向きに部品を置くかまで書き込んでおくのがポイントです。
頭の中だけで配置を考えて切り始めてしまうと、途中で「あと1つ部品が入らない」という失敗が起きやすくなります。
図に描き出すことで、切る前の段階で全体のバランスを目で確認できるようになるんです。
製作の授業でも、図面と現物を見比べながら作業を進める練習にもなりますよ。
さらに、材料取り図には切る順番も書き込んでおくと安心です。
どの部品から切り出すかを決めておけば、作業中に迷うことが少なくなります。
特に部品の数が多い製作では、順番を決めておくことで取り違えも防げますよ。
なぜ先に書くのか
材料取り図を先に書く一番の理由は、切ってしまってからでは配置をやり直せないからです。
板は一度切ると元に戻せないので、頭の中の計画だけで進めると、途中で部品が足りないことに気づいても手遅れになってしまいます。
図に描いて全体を見渡しておけば、部品どうしの間隔や向きのバランスを、切る前の段階で調整できます。
結果として、材料を無駄にする失敗をぐっと減らせるんです。
設計の段階で時間をかけるほど、製作の段階での手戻りが少なくなりますよ。
また、材料取り図があれば、必要な板の枚数も事前に計算できます。
1枚の板で足りるのか、2枚必要なのかが分かれば、材料の準備もスムーズに進みます。
グループで製作するときも、図を共有すれば作業の分担がしやすくなりますよ。
歩留まりとの関係
材料取り図の配置のよしあしは、歩留まりという数字で表すことができます。
歩留まりとは、板全体のうち、実際に製品として使えた部分の割合のことです。
同じ板、同じ部品でも、配置のしかたによって歩留まり率は変わってきます。
無駄なく配置できていれば歩留まり率は高くなり、すきまが多い配置だと低くなってしまいます。
つまり、材料取り図をていねいに書くことが、そのまま歩留まりを高めることに直結しているんです。
この関係を意識できるようになると、板を見ただけで配置の工夫を考えられるようになりますよ。
次のポイントでは、この歩留まり率を実際に計算する方法を、例題を使って確認していきます。
数字で表せるようになると、配置の工夫がどれくらい効果的だったかも分かりやすくなりますよ。
- 配置を先に決める:切る前に部品の位置と向きを図に描きます。
- 順番も書き込む:切る順番を決めておくと作業中に迷いません。
- 歩留まりにつながる:配置のよしあしが歩留まり率に表れます。
材料取り図をきちんと書くことは、製作の失敗を防ぐだけでなく、材料を大切に使うことにもつながります。
次は、その歩留まりを実際にどう計算するのか、式と例題で見ていきましょう。
ポイント2:歩留まり率の計算
歩留まり率は、難しい計算に見えて、実はとてもシンプルな式で求められます。
使った部分の面積を、板全体の面積で割って、100をかけるだけです。
式さえ覚えてしまえば、どんな大きさの板でも同じように計算できますよ。
歩留まり率の計算を紹介します
歩留まり率の計算式
歩留まり率は、「使った部分の面積÷板全体の面積×100」という式で求めます。
面積で考えるのが難しければ、板全体を100とみなして、そのうち何パーセントを使えたかをイメージするとわかりやすくなります。
使った部分の面積が大きいほど、そしてすきまや余りが少ないほど、歩留まり率は高くなります。
逆に、配置がバラバラで余りが多いと、同じ板でも歩留まり率は低くなってしまいます。
この式は板の大きさに関係なく使えるので、どんな製作でも同じように歩留まりを比べられるんですよ。
面積の単位は、平方センチメートルでそろえて計算するのが基本です。
板の縦と横の長さをかけると、全体の面積が求められます。
部品も同じように、縦と横をかけて面積を出し、部品の数だけ合計すれば、使った部分の面積が分かりますよ。
例題で計算してみる
それでは実際に計算してみましょう。
板の面積が1200平方センチ、そのうち部品として使った部分の面積の合計が900平方センチだったとします。
このとき、歩留まり率は900を1200で割って0.75、100をかけて75パーセントと求められます。
板全体の4分の3にあたる部分を、無駄なく部品として使えたということになりますね。
この75パーセントという数字が高いか低いかは、配置の工夫しだいで変わってきます。
同じ板でも、部品の並べ方を変えるだけで、この数字がさらに上がることもあるんですよ。
もし歩留まり率が50パーセントだったら、板の半分しか使えていないことになります。
その場合は、部品の配置を見直したり、向きを変えたりする余地が残っている、というサインになりますよ。
数字で見えるようになると、改善のポイントも見つけやすくなります。
歩留まりが低いとどうなるか
歩留まり率が低いままだと、同じ数の部品を作るのに、より多くの板が必要になってしまいます。
板が余分に必要になれば、そのぶん材料費もかさんでしまいますよね。
さらに、使われなかった部分は廃材として出ることになるので、木材の無駄づかいにもつながります。
製作の授業では、限られた材料をどう活かすかも、技術の大切な学びのひとつです。
歩留まりを意識することは、コストだけでなく、環境への配慮にもつながっているんですよ。
だからこそ、切り始める前に材料取り図でしっかり配置を検討しておくことが大切になります。
次のポイントでは、歩留まりを高めるための具体的な並べ方のコツを見ていきましょう。
- 計算式:使った面積÷全体の面積×100で求めます。
- 例題の答え:900÷1200×100で75パーセントになります。
- 低いときの影響:材料費が増え、廃材も増えてしまいます。
ポイント3:板を無駄なく使う配置のコツ
歩留まりを高めるには、板に部品をどう並べるかという配置の工夫が欠かせません。
守っておきたい基本のルールと、向きを変えるだけで枚数が変わる例を見ていきましょう。
同じ板、同じ部品でも、並べ方しだいでとれる枚数は大きく変わります。
板を無駄なく使うコツを紹介します
木目の向きとのこ代
材料取りで気をつけたい1つ目のポイントは、木目の向きをそろえて部品を配置することです。
木目の向きは、完成した製品の強度や見た目にも大きく関わってくるので、そろえて配置しておくことが大切です。
2つ目のポイントは、のこ代と呼ばれるすきまを部品と部品の間に見込んでおくことです。
のこぎりで切るときには、刃の厚みぶんだけ材料が削れてしまいます。
部品どうしをぴったり詰めて描いてしまうと、切ったときに寸法が足りなくなってしまうので注意が必要です。
木目の向きは、図面上でも矢印などを使って書いておくと分かりやすくなります。
のこ代の幅は、使うのこぎりの刃の厚みに合わせて決めるのが基本です。
この2つを意識するだけで、仕上がりの精度がぐっと安定しますよ。
欠点を避けて配置する
3つ目のポイントは、板にある節や割れといった欠点の位置を、あらかじめ確認しておくことです。
木材には、木の育ち方によって節や小さな割れが入っていることがあります。
この欠点の部分に部品の重要な場所が重なってしまうと、強度が落ちたり、見た目が悪くなったりしてしまいます。
材料取り図を描く前に、板全体をよく観察して、欠点のある場所に印をつけておくとよいでしょう。
そのうえで、欠点を避けるように部品の配置を決めていきます。
どうしても欠点を避けられない場合は、目立たない部分や、強度への影響が小さい部分に配置する工夫も必要です。
1枚の板をよく観察する習慣が、仕上がりの質を左右するんですよ。
次は、部品の向きを変えるだけで枚数が変わる、具体的な例を見ていきましょう。
向きを変えると枚数が増える例
ここで、向きを変えると歩留まりが変わる例を紹介します。
90センチかける60センチの板から、20センチかける15センチの部品を切り出す場面を考えてみましょう。
部品をたて置きにすると、90センチの中に20センチが4枚、60センチの中に15センチが4枚入るので、4枚かける4枚で16枚とれます。
一方、部品をよこ置きにすると、90センチの中に15センチがちょうど6枚、60センチの中に20センチがちょうど3枚入るので、6枚かける3枚で18枚とれます。
同じ板、同じ部品なのに、向きを変えるだけで2枚多くとれることになるんです。
しかも、よこ置きの場合は板の面積をぴったり使い切っているので、端材もほとんど出ません。
このように、切り始める前に何通りか配置を試してみることが、歩留まりを高める近道になります。
材料取り図の段階で、いろいろな向きを比べてみる習慣をつけましょう。
- 木目とのこ代:向きをそろえ、刃の厚みぶんのすきまを見込みます。
- 欠点を避ける:節や割れの位置を先に確認して配置します。
- 向きの工夫:部品の向きを変えると枚数が増えることがあります。
配置の工夫しだいで、同じ板からとれる部品の数は大きく変わります。
最後に、材料を切る前に確認しておきたいことをリストにまとめておきますね。
材料を切る前の確認リスト
板に部品を描き始める前に、次の項目をひとつずつ確認しておくと、材料取りの失敗をぐっと減らせます。
製作の授業でも、家庭で木工をするときにも、そのまま使えるチェック項目です。
1つでも当てはまらない項目があれば、切り始める前にもう一度図を見直してみましょう。
- 部品の位置と向きを材料取り図に描いたか
- 木目の向きをそろえて配置したか
- のこ代のすきまを部品の間にあけたか
- 節や割れなど欠点の位置を確認したか
- 切る順番を決めておいたか
- 別の向きで並べたときの枚数も比べてみたか
よくある質問
材料取り図はどのくらいくわしく描けばいいですか
結論から言うと、部品の寸法・向き・切る順番の3つが分かる程度に描いておけば十分です。
あまり細かく描こうとしすぎると時間がかかってしまうので、板全体のバランスが分かる線と寸法があれば大丈夫です。
特に、木目の向きとのこ代のすきまだけは、必ず書き込んでおくようにしましょう。
製作に慣れてきたら、欠点の位置も書き込んでおくと、より精度の高い材料取り図になりますよ。
まずは簡単な図からでよいので、切る前に必ず1枚描く習慣をつけることが大切です。
歩留まり率はどれくらいあれば良いですか
結論から言うと、決まった正解の数字はありませんが、工夫すればするほど100パーセントに近づけることができます。
板の形や部品の大きさによって達成できる歩留まり率は変わってくるので、まずは自分の配置を計算してみることが大切です。
計算してみて数字が低いと感じたら、部品の向きを変えたり、並び順を見直したりして、もう一度計算してみましょう。
数字で比べられるようになると、どの配置がより良いかを客観的に判断できるようになりますよ。
少しずつ工夫を重ねて、歩留まり率を高めていく意識を持つことが上達の近道です。
計算がうまくいかないときはどうすればいいですか
結論から言うと、まず面積の単位がそろっているかを確認してみましょう。
板と部品の縦と横の長さを、同じ単位(センチメートルなど)でそろえてからかけ算をすることが、正しく計算するための基本です。
次に、使った部分の面積を、部品ごとに1つずつ計算してから合計しているかも確認してみてください。
まとめて計算しようとすると、数え間違いが起きやすくなります。
落ち着いて1つずつ確認しながら計算すれば、歩留まり率は必ず正しく求められますよ。
おわりに
材料取り図と歩留まりについて、書く理由から計算のしかた、配置のコツまで一緒に確認してきました。
板を前にしていきなり切り始めるのではなく、まず材料取り図を描いて、歩留まり率を計算してみる習慣をつけてみてください。
向きを変えるだけでとれる枚数が増えることもある、というのは覚えておくと役立ちますよ。
今日の内容が、これからの製作や学習の参考になればうれしいです。
ご視聴ありがとうございました。
この記事の内容を動画でも解説しています。
ぜひご覧ください。
中学技術【材料取り図と歩留まり】1枚の板から何個とれるかを計算でわかりやすく解説








