中学技術【AIのしくみ】学習と推論・得意なことと苦手なことをわかりやすく解説

はじめに

「この写真、だれが写っているか勝手に見分けてくれる」「話しかけたら文字になる」。
身の回りには、いつのまにかAIが入りこんでいますよね。
ところが「AIってどういうしくみなの?」と聞かれると、急に説明しにくくなります。

中学校の技術で学ぶ情報の分野では、AIは「これからの社会と技術」を考えるうえで欠かせないテーマになりました。
そして実は、しくみそのものはそれほど複雑ではありません。
おさえる言葉は「学習」と「推論」の二つだけ。
この二つが分かると、AIが何を得意として、何を苦手にしているのかまで、すっきり見通せるようになります。

この記事では、まずAIが答えを出すまでの流れを順番にほどきます。
次に、得意なことと苦手なことを並べて、どこまで任せてよいのかを整理します。
最後に、使うときの三つの約束を確かめます。
授業を休んでしまった人も、テスト前にもう一度確かめたい人も、この記事だけで追いつけるように書きました。
途中に例題も置いてありますので、ぜひ手を止めて、ノートに書きながら読んでみてくださいね。

AIを3つの視点で読み解く

AIの学習は、「しくみ」「得意と苦手」「使い方」の3つに分けると迷わなくなります。
しくみは、データから規則を作る学習と、その規則で答えを出す推論の二段構えです。
得意と苦手は、任せてよい仕事と、人が引き受けなければならない仕事の線引きになります。
使い方は、確かめる・入力しない・自分で決める、という三つの約束です。
この順番で追いかけると、ニュースで飛びかう言葉もこわくなくなりますよ。

今日おさえる3つのこと
  • ポイント1:AIは学習と推論の二段構え:人が手順を書くのではなく、データから規則を作って答えを出します。
  • ポイント2:得意なことと苦手なことがある:大量のデータの仕分けは得意、初めての出来事と責任は苦手です。
  • ポイント3:使うときの三つの約束:答えを確かめる、個人情報を入力しない、最後は自分で決める。

ポイント1:AIは「学習」と「推論」の二段構え

はじめに、AIが答えを出すまでの流れをおさえます。
ここが分かると、あとの話がすべてつながっていきますよ。
AIは手順を人から教わるのではなく、データから規則を自分で見つけます。

HeatKeep

AIが答えを出すまでの流れを紹介します

今までのプログラムとの決定的な違い

これまでのプログラムは、人が手順をすべて命令として書いていました。
朝七時になったら明かりをつける、というように、条件と動きを一つずつ指定していく形です。
順次、分岐、反復という三つの基本で組み立てる、あの考え方ですね。
ところがAIは、この手順そのものを人が書きません。
大量のデータを読みこませて、その中にひそんでいる規則をコンピュータ自身に見つけさせます。
顔を見分ける、話し声を文字にする。
手順を書き出そうとすると、とても書ききれませんよね。
人が言葉で説明しきれない仕事ほど、AIの出番になるというわけなんです。

規則を「だれが作るか」で見分ける
  • 今までのプログラム:人が条件と動きを全部書きます。書いたとおりに、必ず同じ動きをします。
  • AI(機械学習):大量のデータから規則をコンピュータが作ります。例が変われば答えも変わります。
  • 見分け方:「手順を書いたか」「例を見せたか」。ここが試験でも問われる分かれ目です。

機械学習は「たくさんの例」で覚えさせる

では、どうやって規則を見つけるのでしょうか。
代表的なやり方が機械学習です。
たとえば猫を見分けさせたいときは、猫の写真を何万枚も読みこませます。
耳がとがっている、ひげがある、といった特徴を人が言葉で教えるのではありません。
たくさんの例を見せるうちに、AIのほうが共通する特徴を数値としてつかんでいくんです。
いちばん多いのは、写真とその正解の名前を組にして見せる教師あり学習という方法です。
正解をつけずに、似たもの同士をまとめさせるやり方もあります。
目的によって、どちらの学び方をさせるかを選ぶんですね。

学習で規則を作り、推論で答えを出す

AIの働きは、二つの段階に分けて考えると一気に分かりやすくなります。
一つ目が学習で、データから規則を作る段階です。
二つ目が推論で、できあがった規則を使って、目の前の問いに答えを出す段階になります。
学習には大きな計算とたくさんの電気が必要で、何日もかかることがあります。
いっぽう推論は軽いので、手元のスマートフォンの中でも動かせるんです。
写真アプリが顔を自動で見分けてくれるのは、学習ずみの規則を機器の中で使っているからなんですよ。
テストでは、この二つの言葉を取りちがえないことが大切です。

中央の頭脳部分と周りの機能が線でつながったAIのしくみの模型

ポイント2:得意なことと苦手なことがある

しくみが分かったら、次は「どこまで任せてよいのか」を考えます。
ここを取りちがえると、便利な道具が危ない道具に変わってしまうんです。
AIは量の多い仕事に強く、初めての出来事と責任を引き受けることに弱い。

HeatKeep

得意なことと苦手なことのポイントを紹介します

大量のデータを同じ基準でさばくのが得意

AIがいちばん力を出すのは、人には多すぎて見きれない量のデータを、決まった基準で仕分ける仕事です。
何千枚もの写真から傷のある製品だけを取り出す、といった作業ですね。
人と違って疲れませんし、その日の気分で基準がぶれることもありません。
過去の数値をもとに、先の値を予測するのも得意です。
気温と来客数の記録から明日の仕入れを見積もる、といった使い方が実際に広がっています。
分野を問わず、量が多くて手順が同じ仕事ほど、AIに任せる値打ちがあるということなんですよ。
テストでは、得意なことを一つ挙げよ、という形で問われることもありますよ。

もっともらしく間違えることがある

気をつけたいのは、AIが自信ありげに間違えることがある点です。
とくに文章を作るAIは、実際には存在しない出来事や書名を、いかにも本当らしく答えてしまうことがあります。
うそをつこうとしているわけではありません。
学習した言葉のつながりから、それらしい続きを組み立てているだけなんです。
だから、返ってきた答えは必ず教科書や信頼できるサイトで確かめる。
この一手間が自分を守ってくれます。
調べ学習で使うときも、AIの答えをそのまま写すのではなく、裏づけを取ってから書くようにしましょう。

よい点と気をつける点を上下に分けて示した判断ボードの模型

データのかたよりがそのまま答えに出る

もう一つの弱点が、データのかたよりです。
学習に使った例が特定の立場や時代にかたよっていると、AIの答えも同じようにかたよります。
これをバイアスと呼びます。
たとえば古い記録ばかりで学習させると、今では見直された考え方を、正しいものとして返してしまうことがあるんです。
AIが悪いのではなく、集めたデータの中身がそのまま映し出されているだけなんですね。
だからこそ、どんなデータで学ばせたのかを気にすることと、出てきた答えを人が点検して直していくことが欠かせません。
使う側にも、確かめる目が求められているということです。

任せてよい仕事・人が引き受ける仕事
  • 任せてよい:大量の分類、数値からの予測、決まった基準のくり返し。人より速く、ぶれません。
  • 気をつける:初めての出来事、例の少ない分野、もっともらしい誤答とデータのかたより。
  • 人が引き受ける:確かめること、そして最後に決めて責任を持つこと。ここは任せられません。

ポイント3:これからAIとどう付き合うか

最後は使い方です。
AIはこわがるものでも、丸ごと信じるものでもありません。
確かめる、入力しない、自分で決める。この三つで、AIは心強い道具になります。

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これからAIとどう付き合うかのポイントを紹介します

身の回りではもう動いている

AIはもう、遠い未来の話ではありません。
スマートフォンの音声認識も、外国語の翻訳も、写真の中から人の顔を見つける機能も、中身はAIです。
技術の学習で出てきた分野にも広がっていて、農場ではカメラが野菜の育ち具合や病気を見分け、工場では機械の音から故障の前ぶれをつかみます。
配送ロボットが自分で道を選んで進めるのも、まわりの様子を読み取って判断しているからなんですよ。
身の回りで動いているものを探してみると、AIという言葉がぐっと身近になります。
登下校の道すがら、いくつ見つけられるでしょうか。

机の上に置かれた自分で道を選んで走る小型ロボットの模型

計測制御の「処理」をAIが受け持つ

ここで、前に学んだ計測制御のしくみを思い出してください。
センサで情報を集め、コンピュータで処理し、アクチュエータを動かす。
この三つの流れでしたね。
AIが入ってくるのは、真ん中の処理の部分です。
これまでは、明るさがこの値より下がったら照明をつける、というように人が条件を決めていました。
そこにAIが入ると、天気や時間帯や人の動きまで合わせて見て、場面に応じた判断ができるようになります。
学んだ単元がつながっていくところなので、テスト前にもう一度セットで確かめておくと強いですよ。

使うときの三つの約束

最後に、AIを使うときの約束を三つにまとめます。
一つ目は、答えを必ず自分で確かめること。
便利だからこそ、うのみにしない習慣が要ります。
二つ目は、名前や住所、友達が写った写真などの個人情報を入力しないこと。
手元を離れた情報は、自分では取り戻せません。
三つ目は、最後に決めるのは自分だということ。
AIは判断を助けてくれますが、その結果の責任を引き受けることはできないからです。
この三つは、そのまま情報モラルの学習にもつながる考え方です。
この三つを守れば、AIは学習を助けてくれる心強い道具になりますよ。

おわりに

今日たどってきたのは、しくみ、得意と苦手、使い方の3つでした。
AIは人が手順を書くのではなく、大量のデータから規則を見つける技術でしたね。
その働きは、規則を作る学習と、答えを出す推論の二段構え。
大量のデータをさばくのは得意でも、初めての出来事や、結果の責任は引き受けられない。
だからこそ、確かめて決めるのは私たち人間なんです。

最後に一つだけお願いです。
記事の中に出てきた2つの例題を、もう一度ノートに書いて解き直してみてください。
人が手順を書いたプログラムと、過去の例から見分ける装置。
どちらが機械学習で、その理由は何か、自分の言葉で書けるでしょうか。
読んで分かった気になるのと、自分の手で説明できるのとでは、テストでの手ごたえが大きく変わりますよ。

AIの学習と推論、得意と苦手、使うときの約束をまとめた図

ご視聴ありがとうございました。
この記事の内容を動画でも解説しています。
ぜひご覧ください。

中学技術【AIのしくみ】学習と推論・得意なことと苦手なことをわかりやすく解説

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