中学技術【IoTとビッグデータ】モノがつながるしくみをわかりやすく解説

はじめに

IoT、ビッグデータ。
ニュースでも教科書でも見かける言葉ですよね。
けれど、どういう意味かと聞かれると、少し答えにくくありませんか。
なんとなく「すごい技術」というイメージだけが残っている。
そんな状態で終わっている人が、実はとても多いんです。

この二つは、中身をほどいてみると、そんなに難しい話ではありません。
IoTは、身の回りの機器がネットにつながること。
ビッグデータは、そうしてたまった大量のデータのことです。
つながるから、たまる。
この順番でつかまえると、二つの言葉が一本の線でつながりますよ。

この記事では、まずIoTが何をしているのかを、測る・送る・動かすの三つに分けて整理します。
次にビッグデータの特ちょうを、量・種類・速さの三つで確かめます。
最後に、集めたデータをどう活かすのか、そのときに気をつけることは何かまで見ていきます。
用語をただ覚えるのではなく、身の回りの例で確かめながら進めますので、定期テスト前の確認にも使えますよ。
授業を休んでしまった人も、この記事だけで追いつけるように書いています。

IoTとビッグデータは3つの順で分かる

この単元は、「つなぐ」「たまる」「活かす」の三つに分けると、一気に見通しがよくなります。
一つ目は、IoTのしくみ。
身の回りの機器がネットにつながって、測って、送って、動かしています。
二つ目は、ビッグデータの正体。
つながった機器から出たデータが、量も種類も速さもけたちがいにふくらんでいきます。
三つ目は、活かし方。
集めて、ためて、調べて、役立てる。
この流れと注意点まで分かると、身近な機械の中で何が起きているのかを読み取れるようになりますよ。

今日おさえる3つのこと
  • ポイント1:IoTはモノをネットにつなぐ:測る、送る、動かすの3つがそろってIoTになります。
  • ポイント2:ビッグデータの3つのV:量・種類・速さ。ただ多いだけではないのがポイントです。
  • ポイント3:集めたデータをどう活かすか:集める、ためる、調べる、役立てるの4段階で使います。

ポイント1:IoTはモノをネットにつなぐ

まずはIoTから整理しましょう。
言葉の見た目はむずかしそうですが、していることはとてもはっきりしています。
IoTとは、身の回りの機器そのものがネットにつながって、人が操作しなくてもデータをやりとりすることです。

HeatKeep
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IoTはモノをネットにつなぐのポイントを紹介します

IoTという言葉の意味

IoTは、モノのインターネットという意味の言葉です。
英語のInternet of Thingsの頭文字をとった呼び方なんですね。
これまでネットにつながっていたのは、パソコンやスマートフォンのように、人が操作する機械が中心でした。
IoTでは、エアコンや腕時計、畑のカメラのような、身の回りの機器そのものがネットにつながります。
しかも、人がボタンを押さなくても、機器のほうから自分でデータを送ってくれるんですよ。
たとえば、部屋の温度をエアコン自身が測って、その値を外へ送っているんですね。
ここがいちばん大きな変化です。

畑の様子を見守るカメラやセンサが設置されているようす

測る・送る・動かすの3つ

IoT機器がしていることは、大きく三つに分けられます。
一つ目は測ることです。
温度や明るさ、動きなどをセンサで読み取ります。
二つ目は送ることです。
読み取った値を、無線などのネットワークを通して外へ届けます。
三つ目は動かすことです。
送られた結果をもとに、離れた場所から機器を操作します。
この測る、送る、動かすの三つがそろって、はじめてIoTと呼べるんですね。
どれか一つでも欠けると、ただのセンサや、ただのリモコンで終わってしまいます。
三つのはたらきに分けて考えると、はじめて見る機器でも中身を読み取れるようになりますよ。

計測制御システムとのちがい

前に学んだ計測制御システムと、どこがちがうのでしょうか。
計測制御では、センサで測って、コンピュータが処理して、モータなどを動かすところまでが、一台の機械の中で完結していました。
教室の自動ドアが、よい例ですね。
IoTは、そこから一歩外へ出ます。
集めたデータを、その機械の外にあるネットワークへ送るんです。
だから離れた場所の人が様子を知ることもできますし、別の機器のデータと合わせて考えることもできます。
つながる先が広がるほど、できることも増えていくんですよ。
外へ出す、ここが分かれ目です。

IoTでおさえること
  • モノのインターネット:人が操作する機械だけでなく、身の回りの機器そのものがネットにつながります。
  • 測る・送る・動かす:センサで読み取り、ネットワークで届け、その結果で離れた場所から操作します。
  • 外へデータを出すのがちがい:計測制御は1台の中で完結。IoTは外のネットワークへ送るところが分かれ目です。

ポイント2:ビッグデータの3つのV

つながる機器が増えると、データがどんどんたまります。
これがビッグデータです。
ただ多いだけではありません。量・種類・速さの3つがそろって、はじめてビッグデータと呼ばれます。

HeatKeep
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ビッグデータの3つのVのポイントを紹介します

量 どれくらい多いのか

一つ目の特ちょうは量です。
どれくらい多いのか、数で見てみましょう。
センサが一台あって、一分ごとに温度を記録するとします。
一時間で六十件、一日で千四百四十件になりますね。
これだけならノートにも書けそうです。
ところがセンサが千台になると、一日で百四十万件をこえます。
一か月なら四千万件です。
一台ずつなら小さな数でも、台数がかけ算で効いてくるんですね。
ここまで来ると、表計算ソフトで開くことすらできません。
数の増え方がけたちがいだ、というのがビッグデータの一つ目の顔なんですよ。
ここが、ふつうのデータとの分かれ目です。

種類 形がばらばらなデータ

二つ目の特ちょうは種類です。
データというと数字を思いうかべますが、それだけではありません。
温度や歩数のような数値もあれば、書きこまれた文章もあります。
写真や動画、それに、どこにいたかという位置の情報も入ってきます。
困るのは、これらが同じ形をしていないことです。
数値は計算できますが、文章や写真はそのままでは計算できません。
だから使う前に、形をそろえたり、必要な部分だけ取り出したりする手間がかかるんですね。
この形のちがいをそろえる作業が、データを使うときのいちばんの山場になります。
量が多いだけではない、というのはこういう意味なんですよ。

家じゅうの機器がつながって情報をやりとりしているスマートホームの模型

速さ 止まらずに増え続ける

三つ目の特ちょうは速さです。
IoT機器は、動いているあいだずっとデータを出しつづけます。
だから、いったん集め終わって落ち着く、ということがありません。
増え方が止まらないんですね。
さらに、ためてから調べるのでは間に合わない場面もあります。
自動車の運転支援がそうです。
前の車が近づいたという情報を、後でまとめて調べても意味がありませんよね。
その場で受け取って、その場で判断する。
これも速さという特ちょうに含まれます。
たまるのを待つのか、その場で使うのか。
ここを見分けられると、しくみの形が見えてきますよ。

3つのVでおさえること
  • 量:けたちがいに多い:センサ1000台が毎分記録すると、1日で140万件をこえます。机の上では扱えません。
  • 種類:形がばらばら:数値だけでなく、文章・写真・動画・位置の情報も混ざります。そろえる手間が要ります。
  • 速さ:止まらず増える:ためてから調べるのでは間に合わず、その場で判断する場面もあります。

ポイント3:集めたデータをどう活かすか

最後は、集めたデータの使い道です。
ここまで来て、やっとIoTとビッグデータが役に立ちはじめます。
データは集めただけでは役に立ちません。調べて、次の行動を変えたときに、はじめて価値が出ます。

HeatKeep
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集めたデータをどう活かすかのポイントを紹介します

活用までの4つの段階

集まったデータは、そのままでは役に立ちません。
四つの段階を通って、はじめて使えるようになります。
一つ目は集めるです。
センサで測り、記録します。
二つ目はためるです。
集めた値をクラウドなどに保存します。
三つ目は調べるです。
たまったデータから、こういうときはこうなりやすい、という傾向を見つけます。
四つ目は役立てるです。
見つけた傾向をもとに、次の行動を決めます。
集めただけ、ためただけで止まっている例は、じつはとても多いんです。
行動が変わって、はじめて価値が出ますよ。
この四つ目まで進んで、やっと意味が出てくるんですよ。

まち全体のしくみを模型で表したスマートシティのようす

農業・工場・まちでの活用例

実際にどう使われているのかを見てみましょう。
農業では、土の水分や気温を記録して、水やりの時期を数字で決められるようになりました。
長年の勘にたよっていた部分を、数字で引きつげるわけですね。
工場では、機械の振動を見張って、こわれる前に部品を交換します。
止まってから直すより、ずっと安く早くすみます。
まちでは、道路のこみ具合を集めて信号の時間を変えたり、バスの現在地を知らせたりする使い方が広がっていますよ。
どれも、これまで人の目や勘にたよっていたところを、記録した数字に置きかえた例なんですね。

気をつけること、設計の順番

便利さの裏で、気をつけることもあります。
いつどこにいたか、何をどれだけ使ったかという記録は、りっぱな個人情報です。
だれがどこまで見られるのかを決めておかないと、思わぬところで広がってしまいます。
機器がのっとられる危険もありますし、通信が止まったときの備えも要ります。
だから設計するときは、何のために集めるのかを先に決めてください。
目的に要らないデータは集めない。
使う人が納得できるか。
便利さと安全は、どちらかを選ぶものではなく、両方をつり合わせて設計していくものなんですよ。
この順番が大切です。

活かし方でおさえること
  • 集める・ためる・調べる・役立てる:4つの段階を通って、はじめてデータが役に立ちます。
  • 勘や経験を数字に置きかえる:水やりの時期や部品の交換時期を、記録した数字から判断できます。
  • 目的を先に決める:何のために集めるかを決め、要らないデータは集めない。個人情報の扱いにも気を配ります。

おわりに

今日たどってきたのは、IoTのしくみ、ビッグデータの特ちょう、そしてデータの活かし方の三つでした。
IoTは、身の回りの機器をネットにつなぎ、測って、送って、動かしています。
そうしてたまったデータは、量も種類も速さもけたちがいで、これをビッグデータと呼びました。
そして、集めて、ためて、調べて、役立てる。
ここまで進んで、はじめて意味が出てくる。
この筋道でつながって見えたなら、もうこの単元は自分のものですよ。

最後に一つだけ、やってみてほしいことがあります。
家の中や通学路で、ネットにつながっていそうな機器を三つさがしてみてください。
その機器は何を測って、どこへ送って、何を動かしているでしょうか。
三つのはたらきに当てはめて考えてみると、教科書の言葉が急に自分のものになりますよ。

IoTの3つのはたらき、ビッグデータの3つのV、活用の4段階、気をつけることをまとめた図

ご視聴ありがとうございました。
この記事の内容を動画でも解説しています。
ぜひご覧ください。

中学技術【IoTとビッグデータ】モノがつながるしくみをわかりやすく解説

中学技術の授業でつまずきやすいところを、一つずつ動画にしています。
予習や復習に使えそうだと思ったら、チャンネル登録をしておいてくださいね。

身の回りにあるIoT機器を探す

IoTという言葉の意味が分かっても、自分の身の回りのどれがIoT機器なのか、意外と気づいていない生徒は多くいます。ここでは、身近な例を通してIoTを探す視点を紹介します。

身近なIoT機器の例
  • スマート家電:声や外出先から操作できる家電。
  • 学校の設備:電気の使用量を自動で記録するメーター。
  • ウェアラブル端末:心拍や歩数を自動で記録する機器。
HeatKeep
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身の回りにあるIoT機器の探し方を紹介します

スマート家電というIoT

スマートスピーカーやネットにつながるエアコンなど、家庭にあるスマート家電と呼ばれる製品の多くはIoT機器です。声で操作できたり、外出先からスマートフォンで操作できたりするのは、機器がインターネットにつながっているからこそ実現できる機能です。生徒に家庭にあるスマート家電を挙げてもらう活動を取り入れると、IoTが特別な機械ではなく身近な存在であることに気づけます。

学校にもあるIoTのしくみ

学校の中にも、IoTの考え方に近い仕組みが導入され始めています。電気の使用量をネットワーク経由で自動的に記録するメーターや、出席状況を自動で集計するシステムなどです。人が一つずつ記録していた作業を、つながった機器が自動で行ってくれる点は、まさにIoTの発想そのものです。身近な学校の設備を例に挙げると、生徒にとってより具体的なイメージにつながります。

ウェアラブル端末が集めるデータ

手首に着けるタイプの活動量計やスマートウォッチも、代表的なIoT機器の一つです。心拍数や歩数、睡眠時間といった体のデータを常に集め、ネットワークを通じてスマートフォンのアプリに送っています。生活の中の小さなデータを積み重ねることで、自分では気づきにくい体調の変化に気づけるようになる、という点も、IoTとビッグデータが組み合わさった身近な例として紹介できます。

ビッグデータが引き起こす新しい課題

便利なIoTとビッグデータですが、活用が広がるほど新しい課題も見えてきています。ここでは、授業で押さえておきたい3つの課題を紹介します。

個人情報とプライバシーの問題

IoT機器は便利さと引き換えに、私たちの生活に関する多くのデータを集めています。位置情報や生活パターンといった情報が外部に漏れると、悪用されるおそれもあります。便利な機能を使うときには、どんな情報がどこに送られているのかを意識する姿勢が大切だと伝えましょう。技術の仕組みだけでなく、使う側の心構えまで扱うことで、情報モラルの学習ともつなげることができます。

データの偏りによる判断ミス

ビッグデータは量が多いほど正確だと思われがちですが、集め方が偏っていると、誤った判断につながることがあります。特定の地域や時間帯のデータばかりを集めていると、全体の傾向とは違う結果が出てしまいます。データの量だけでなく集め方の偏りがないかという視点も大切であることを、簡単な例を使って伝えると理解が深まります。

サーバーを維持する電力の問題

集められた大量のデータは、どこかのサーバーに保存され、常に電力を使って動き続けています。便利に見えるデータ活用の裏側には、目に見えない電力消費があることは、意外と知られていません。IoTやビッグデータの話を、環境やエネルギーの単元と関連づけて紹介すると、教科の枠を超えた学びにつなげることができます。

授業でのよくある質問

最後に、IoTとビッグデータの授業でよく出てくる質問への答え方を紹介します。

IoTって難しい機械を使わないとできないの

この質問には、特別な機械がなくても身近なものから体験できると答えられます。スマートフォンの歩数計アプリも、身につけたセンサが自動でデータを送っているという意味で、IoTの考え方の一部です。難しい専門機器を思い浮かべる必要はなく、日常生活の中にすでにIoTの入り口があることを伝えると、興味を持ちやすくなります。

集めたデータは誰のものになるの

サービスを提供している会社が管理していることが多いですが、多くの場合、利用者本人にも自分のデータを確認したり削除を求めたりする権利があります。集められて終わりではなく、自分のデータがどう扱われているかを確認できる仕組みがあることを伝えると、データとの付き合い方について考えるきっかけになります。

ビッグデータはどれくらい大きいの

大きいという言葉だけでは実感がわきにくいので、身近な例に置き換えて説明するとよいでしょう。1人分の歩数データは小さくても、全校生徒や全国の利用者の分を1年間集めると、膨大な量になります。個人の小さなデータが積み重なって、初めてビッグデータと呼べる規模になるという考え方を伝えると、量・種類・速さの3つのVの学習にもつながります。

生徒との絆を深め、理想の学級を実現させませんか?