
はじめに
種をまいたのに、思ったように育たなかった。
そんな経験、ありませんか。
芽は出たけれど収穫の前に寒くなってしまった。
水やりの当番があいまいで、気づいたら土がからからだった。
栽培の失敗は、腕がないから起きるのではありません。
始める前に決めていなかったから起きるんです。
生物育成では、植物が育つのは自然の力です。
でも、育てるのは人の計画です。
いつまくか、どこで育てるか、だれが世話をするか。
この設計図を先に作っておくのが栽培計画で、そのときに使う道具が5W2Hという7つの問いなんですよ。
この記事では、秋にまく野菜を例にして、栽培計画の立て方を3つのまとまりに分けて解説します。
種まきの日を逆算する計算や、必要な株数を出す計算も、例題つきで確かめられます。
授業を休んだ人や、定期テストの前にもう一度確かめたい人も、ここから追いつけますよ。
読み終わるころには、自分の班の計画を1枚の表にまとめられるようになっているはずです。
栽培計画は5W2Hの7つの問いで決まる
5W2Hは、何を、なぜ、いつ、どこで、だれが、どうやって、どれだけ、という7つの問いのことです。
この7つに全部答えられたら、その計画には抜けがありません。
逆に、答えられない問いが残っていたら、そこが後で必ず困る場所になります。
いっぺんに覚えるのは大変なので、目的、段取り、方法とお金、という3つのまとまりで考えていきましょう。
- ポイント1:何を・なぜ育てるか:目的を先に決めると、育てる作物と品種が自然に決まります。
- ポイント2:いつ・どこで・だれが:収穫日からの逆算、日当たりと水はけ、当番の分担を決めます。
- ポイント3:どうやって・どれだけ:工程表と、株数・種の量・費用を計算で出して見積もります。
ポイント1:何を・なぜ育てるかを決める
最初に決めるのは、育てる作物ではありません。
何のために育てるのか、という目的のほうが先です。
目的が決まると、育てる作物はほとんど自動的に決まります。
ここがあいまいなまま種を買ってしまうと、途中の判断が全部ぶれてしまうんです。
何を・なぜ育てるかのポイントを紹介します
栽培計画とは何をするものか
栽培計画とは、種をまく前に、何をいつどうやるのかを決めておく設計図のことです。
建物を建てるときに図面を引くのと同じで、順番と時期を先に決めておくほど、途中で止まることが減ります。
植物が芽を出して育つのは自然の力ですが、その力がいちばん出る条件をそろえるのは人の仕事なんですよね。
栽培でうまくいかない原因を並べてみると、技術の不足よりも、決めていなかったことのほうが多いんです。
まく日、置く場所、世話をする人。
この3つが決まっていない計画は、必ずどこかで止まってしまいます。
何を育てるかは目的から決まる
秋にまける野菜には、ダイコンやカブ、コマツナやホウレンソウなどがあります。
この中からどれを選ぶかは、好みではなく目的で決めます。
収穫したものを食べたいなら、味と量がとれるものを選びます。
成長の様子を記録して観察したいなら、変化が目で見えやすいものが向いていますよね。
学校の栽培では、授業の回数の中で収穫まで届くかどうかも大切な条件です。
種の袋には、まく時期と収穫までのおよその日数が書かれています。
まずはその数字を見て、候補をしぼっていきましょう。
同じ野菜でも、早生と晩生で日数がちがうこともありますよ。
目的が変われば選ぶ品種も変わる
同じ秋まきの野菜でも、目的によって選ぶものは変わります。
早く収穫したいなら、40日ほどで育つ小カブのような作物が向いています。
じっくり観察して記録を残したいなら、60日ほどかけて根がふくらんでいくダイコンのほうが変化を追いやすいですよね。
どちらが正しいという話ではなく、目的に合っているかどうかが判断の基準になります。
だからこそ、班で作業を始める前に、私たちは何のために育てるのかを言葉にしてそろえておいてください。
ここがそろっていると、途中で迷ったときも同じ答えに戻ってこられます。
- 目的を先に言葉にする:食べるのか、観察するのか。班全員で同じ言葉にそろえておきます。
- 候補は生育日数でしぼる:種の袋に書かれた日数を見て、授業の中で収穫まで届くか確かめます。
- 目的に合う品種を選ぶ:早さを取るなら小カブ、変化の記録を取るならダイコンというように選びます。
目的と作物が決まれば、計画の半分は決まったようなものです。
ここまでを紙に書き出してから、次の段取りに進みましょう。
ポイント2:いつ・どこで・だれがを決める
作物が決まったら、次は段取りです。
いつまくのか、どこで育てるのか、だれが世話をするのか。
この3つの中でいちばん忘れられるのが、だれがやるかです。
時期と場所は話し合うのに、当番の決め方だけあいまいなまま始まってしまうことが本当に多いんですよ。
いつ・どこで・だれがのポイントを紹介します
種まきの日は収穫日から逆算する
まく日を決めるときは、まず種の袋に書かれた適期を確かめます。
ここを外すと、発芽そのものがそろわなくなるからです。
そのうえで、収穫したい日から逆算します。
種まきから収穫までにかかる日数を生育日数といい、収穫日からこの日数を引けば、まく日が出せますよ。
たとえば11月20日に収穫したい、生育日数は60日、という条件で考えてみましょう。
11月20日から30日もどると10月21日、そこからさらに30日もどると9月21日です。
答えは9月21日ごろ。
実際は天気で前後するので、少し余裕をもって決めてください。
日当たりと水はけで場所を選ぶ
どこで育てるかは、日当たりと水はけの2つで決まります。
半日以上は日が当たる場所を選ぶのが基本です。
水はけは、雨が降った次の日に見に行くと一目で分かります。
水たまりがいつまでも残る場所は、根が呼吸できずに傷んでしまうんですよね。
もう一つ見落としやすいのが、水道からの距離です。
遠いほど当番の負担が増えて、水やりが続かなくなります。
畑とプランターのどちらを使うかも、置ける場所と広さから決めていきましょう。
校舎のかげになる時間帯がないかも、実際に外へ出て確かめてください。
当番と長期休みの体制を先に決める
だれがやるかは、5W2Hの中でいちばん軽く扱われがちな問いです。
でも、栽培が途中で止まる原因のほとんどはここにあります。
気づいた人がやる、という決め方は、だれもやらないという結果になりやすいんですよね。
水やりは曜日で当番を固定してしまうのが確実です。
月曜はこの人、火曜はこの人、と紙に書いて掲示しておけば、聞かなくても動けます。
そして必ず決めておきたいのが、長期休みや連休の体制です。
だれが、何日おきに来るのか。
ここまで決めた計画だけが、最後の収穫まで続いていきます。
- 適期を確かめてから逆算:種の袋の時期を守り、収穫日から生育日数を引いてまく日を出します。
- 日当たり・水はけ・水道:半日以上の日照、雨あとの水たまり、水道までの距離の3点で選びます。
- 当番は曜日で固定する:担当を紙に書いて掲示し、長期休みの世話も先に決めておきます。
時期と場所と人。
この3つがそろうと、計画はぐっと現実的になります。
あとは、実際の作業をどう進めるかです。
ポイント3:どうやって・どれだけを決める
最後は、方法と量です。
どんな順番で作業するのか、何株植えるのか、いくらかかるのか。
株数や種の量は、感覚ではなく計算で出せます。
ここを数で決められるようになると、計画がぐっと技術らしくなりますよ。
どうやって・どれだけのポイントを紹介します
作業の順番を工程表にする
どうやって育てるかは、作業の順番で表します。
基本の流れは、土づくり、種まき、間引き、追肥、水やり、収穫です。
土づくりでは、耕して肥料を混ぜ、根がのびやすい状態をつくります。
種をまいたあとは、混み合ったところを間引いて、残す株に光と風を届けます。
この順番を1枚の工程表にして、栽培の場所に貼っておいてください。
班のだれが見ても、今日は何をする日なのかが分かる状態にしておくのが大切なんです。
作業が人によって変わらないことが、育ちのばらつきを減らします。
工程表は、テスト前の復習にもそのまま使えますよ。
株数と種の量は株間から計算する
株と株の間かくを株間といいます。
混みすぎると日光も風も足りなくなり、病気が出やすくなるので、数は計算で決めます。
式は、株数=畝の長さ÷株間+1です。
両はしにも植えるので、最後に1を足すのがポイントですよ。
長さ180センチの畝に株間30センチで植えるなら、180÷30=6、これに1を足して7株になります。
1か所に3粒ずつまくなら、必要な種は21粒ですね。
この計算ができると、買う種の量も先に分かります。
テストでもよく出る式なので、必ず手を動かして確かめておきましょう。
費用を見積もり計画表にまとめる
どれだけかかるかも、計画のうちに入ります。
種、肥料、支柱、ラベルなど、必要な物を書き出して値段を並べてみましょう。
このとき大事なのは、学校にすでにある物を先に確かめることです。
じょうろやスコップは買う必要がありませんし、支柱も去年の物が残っていることが多いんですよね。
使える物を確かめてから見積もると、限られた予算の中でも足りるようになります。
最後に、7つの問いへの答えを1枚の表にまとめれば、それが班の栽培計画表です。
育ち方を記録して、ずれてきたら直す。
この見直しまでが計画なんですよ。
- 工程表にして掲示する:土づくりから収穫までの順番を1枚にまとめ、だれでも動ける状態にします。
- 株数は計算で出す:株数=畝の長さ÷株間+1。1か所にまく粒数をかければ必要な種の量も出ます。
- あるものを先に確かめる:学校にある道具を確認してから、足りない物だけを見積もります。
計画は、作って終わりではありません。
記録して、ずれたら直す。
この繰り返しが、次の栽培をうまくしていきます。
おわりに
栽培計画は、何を、なぜ、いつ、どこで、だれが、どうやって、どれだけ、の7つで決まります。
目的を決め、逆算して日を出し、場所と当番を決め、工程と数と費用を書き出す。
この順番でうめていけば、抜けのない計画になります。
逆に、答えられない問いが残っていたら、そこが後で困る場所だと思ってください。
計算のところは、テストでもよく問われます。
収穫日から生育日数を引く逆算と、株数=畝の長さ÷株間+1の式は、必ず手を動かして確かめておきましょう。
今日の内容を、自分の班の計画表に置きかえてみてくださいね。
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