【中学技術】断面の形と強さ|H形・パイプが丈夫な理由と計算をやさしく解説

はじめに

定規を平らに置いて真ん中を押すと、ぐにゃっとたわみますよね。
ところが、同じ定規を立てて押すと、びくともしません。
材料の量はまったく同じなのに、なぜこんなに差が出るのでしょうか。

中学技術の「材料と加工」では、この差を生むのが材料の断面の形だと学びます。
角材、丸棒、パイプ、そして建物や橋に使われるH形。
それぞれの形で、なぜ曲がりにくさが変わるのかを、順番に整理していきます。

この記事では、曲げたときに材料の中で何が起きているかを出発点に、外側に材料を集めると強くなる考え方、そして厚さを変えたときの計算までをまとめました。
定期テストの確認にも、授業の予習にも使ってくださいね。

この記事で分かること
  • 断面と曲がり方:断面の意味と、曲げたときに材料の中で起きることが分かります。
  • 強い形の考え方:H形やパイプ、折った板がなぜ強いのかを説明できます。
  • 計算と使い分け:厚さ2倍で約8倍、立てると4倍の計算と、形の選び方が分かります。

断面と強さの全体像

今回の流れは三つです。
まず「断面」という言葉と、材料が曲がるときの中のようすを知ります。
次に、働きの大きい外側に材料を集めたH形やパイプ、折り曲げた板の強さを見ます。
最後に、厚さを変えたときの曲がりにくさの計算と、場面に合わせた形の選び方まで進みます。

全体像のポイント
  • 形を知る:断面とは何か、曲げたときに外側へ大きな力が働くことを確かめます。
  • 形をつくる:外側に材料を集め、中心を減らすと軽くて強い形になります。
  • 形を選ぶ:計算で差を確かめ、軽さや作りやすさとのバランスで決めます。

ポイント1:断面の形が曲がりにくさを決める

材料の強さは、材質だけで決まるわけではありません。
同じ材料でも、断面の形が変わると曲がりにくさは大きく変わります。
まずは断面という言葉の意味と、材料が曲がるときの中のようすを確かめましょう。

HeatKeep
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断面の形が曲がりにくさを決めるポイントを紹介します

断面とは材料を垂直に切った切り口の形

断面とは、材料を長さの方向に対して垂直に切ったときに見える、切り口の形のことです。
角材なら四角、丸棒なら円、パイプなら輪っかの形になりますね。
長さや材質が同じ材料でも、断面の形はさまざまです。
この断面の形こそが、材料の曲がりにくさを決める大きな手がかりになります。
断面は、材料の「顔」のようなものだと考えると、イメージしやすくなります。
形を見れば、その材料がどんな力に向いているかを考えるヒントにもなります。
テストでも断面という言葉は何度も出てくるので、まず意味をしっかり言えるようにしておきましょう。

角材・丸棒・パイプなど、いろいろな断面の形を比べたイラスト

身のまわりを見ると、断面の形のちがいはあちこちにあります。
家の柱は四角、物干しざおは輪っか、鉄骨の建物の梁は上下に広い板がついた形をしています。
どれも「長い材料」ですが、切り口を見れば、使い道に合わせて形が選ばれていることが分かります。
なぜその形なのかを、これから順番にひもといていきます。

紙をじゃばらに折ると立つ理由

紙を一枚、端を持って横に伸ばすと、自分の重さでくにゃっと曲がります。
ところが、同じ紙を山折りと谷折りの繰り返しでじゃばらに折ると、ぴんと水平に保てます。
紙の量は一枚のままで、増えたものは何もありません。
変わったのは断面の形だけです。
折り目がついたことで紙が高さ方向に広がり、曲げの力に対して曲がりにくい形になったのです。
この実験は、授業で試してもおもしろいですよ。
用意するのはコピー用紙一枚だけなので、家でもすぐに確かめられます。
自分の手で曲がり方のちがいを感じておくと、教科書の図もぐっと分かりやすくなります。

同じことは板でも起こります。
板を寝かせて使うより、立てて使うほうがたわみにくいことは、暮らしの中でも経験があるはずです。
本棚の棚板を横から見たとき、高さの方向に大きいほど支えやすい、というのも同じ考え方です。
くわしい数字はポイント3の例題で確かめるので、ここでは「形で差が出る」ことを覚えておきましょう。

断面の形のポイント
  • 断面:材料を長さの方向に垂直に切ったときの切り口の形です。
  • 形で差が出る:材料の量が同じでも、形を変えるだけで曲がりにくさが変わります。
  • 向きも形のうち:板は寝かせるより立てて使うほうが、たわみにくくなります。

曲げると上は縮み下は伸びる

棒の真ん中に重さをかけると、棒は下向きにたわみます。
このとき、上側の材料は押されて縮み、これを圧縮と呼びます。
下側の材料は引っぱられて伸び、こちらは引っぱりの力です。
そして、縮みも伸びも大きくなるのは、上と下のいちばん外側です。
真ん中あたりは縮むのでも伸びるのでもない境目になっていて、ほとんど力が働きません。
これが、強い形を考えるときの出発点になります。
消しゴムを曲げてみると、曲げた内側が縮み、外側が伸びるようすが目で見て分かりますよ。
この「外側ほど大きく変わる」ことを、しっかり頭に入れておきましょう。

つまり、棒の中心にある材料は、曲げに対してあまり仕事をしていないということです。
仕事をしているのは外側の材料です。
働かない中心の材料を減らし、働く外側に材料を集めれば、軽くて曲がりにくい形ができると考えられますよね。
この考え方が、次のポイント2で出てくるH形やパイプの強さの理由そのものになります。

ポイント2:外側に材料を集めたH形・パイプ・折った板

働くのは外側の材料、という考え方をそのまま形にしたものが、H形やパイプです。
外側に材料を集め、中心を減らすと、軽くて曲がりにくい形になります。
板を折り曲げて強くする工夫も、仲間として見ていきましょう。

HeatKeep
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外側に材料を集めた形のポイントを紹介します

H形鋼のつくりと使われる場所

H形の鋼材は、断面が上と下に広い板、その間を薄い板でつないだ形をしています。
上下の広い板をフランジ、真ん中をつなぐ板をウェブと呼びます。
力が大きく働く上下に材料が集まり、働きの小さい中心は薄くしてあるので、重さのわりに曲がりにくいのが特長です。
建物の柱や梁、橋のけたなど、大きな重さを支える場所で使われています。
同じ重さの四角い棒と比べても、H形のほうが曲がりにくくなります。
軽くなれば、運ぶ手間も組み立ての手間も減るので、大きな建物ほどこの形が活躍します。
工事の現場でも、持ち上げて組み立てやすいという利点があります。

鉄骨の柱や梁で組まれた建物の骨組みのイラスト

ここで覚えておきたいのは、H形という名前が断面の形そのものを表している点です。
工事現場で鉄骨を見かけたら、断面が上下に広がった形になっていないか、ぜひ探してみてください。
ただし、H形は曲げには強い一方で、ねじる力には比べると弱めです。
どんな力がかかる場所かによって、選ぶ形が変わってくることも、あわせて頭に入れておきましょう。

パイプは軽くて曲げにもねじりにも強い

パイプは、中身が空っぽの中空という形です。
同じ重さの材料を使うなら、中を詰めた丸棒よりも、外側へ広げたパイプのほうが太くでき、曲がりにくくなります。
外側に材料を集める考え方が、ここにも生きているのです。
自転車のフレームや物干しざおなどに使われているのは、軽くて曲がりにくいからです。
さらにパイプは、ねじる力にも強いという特長があります。
丸めた紙を筒にして立ててみると、平らな紙よりずっと重さを支えられるのが分かります。
筒の形が、外側に材料を集めた形だからです。

H形とパイプを比べると、強さの出し方がちがいます。
H形は上下方向の曲げにとくに強く、パイプはどの向きから曲げても同じように強く、ねじりにも耐えます。
どちらが優れているということではなく、かかる力に合わせて使い分けるのが技術の考え方です。
テストでも「どんな力に強いか」を問われることがあるので、特長をセットで覚えましょう。

外側に材料を集めた形のポイント
  • H形:上下の広い板(フランジ)と中央の薄い板(ウェブ)でできた形です。
  • パイプ:中空で軽く、曲げにもねじりにも強い形です。
  • 共通の考え方:働きの大きい外側に材料を集め、中心を減らしています。

薄い板も折れば強くなる

薄い板は、そのままだと簡単に曲がってしまいます。
ところが、端を折り曲げてL形やコの字にすると、折り目が高さを生み、曲がりにくくなります。
さらに波形にした波板は、薄い鉄板でも屋根として丈夫に使えます。
どれも、材料を増やさずに断面の形を変える工夫です。
棚板を支えるL字の金具や、段ボールの波の部分にも、同じ考え方が使われています。
段ボールは紙が波打つようにはさまれているため、薄い紙でも箱として荷物を支えられます。
これも断面の工夫の一つと言えますね。一度、段ボールの切り口を観察してみてください。

平らな板とL字に折った板のたわみ方を比べたイラスト

木工や金属加工の実習でも、この考え方は役に立ちます。
たとえば薄い板で棚を作るとき、前の縁に角材を足したり、板の端を折り返したりすると、たわみがぐっと減ります。
材料を厚くすると重くなり、お金もかかりますよね。
形を工夫すれば、軽さと強さの両方を手に入れやすくなるので、設計を考える場面でぜひ思い出してください。

ポイント3:計算と使い分けで形を選ぶ

形による差は、計算でも確かめられます。
板の厚さ(高さ)を変えると、曲がりにくさは大きく変わります。
例題を二問解いて、最後に形の選び方まで整理しましょう。

HeatKeep
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計算と使い分けのポイントを紹介します

例題1:厚さを2倍にすると約8倍

例題です。幅と長さが同じ板で、厚さを6mmから12mmの2倍にしたとき、曲がりにくさは何倍になるでしょうか。
曲がりにくさは、厚さを3回かけた数に比例します。
厚さが2倍なので、2×2×2で約8倍です。
厚さを少し増やしただけで、見た目以上に曲がりにくくなることが分かります。
いっぽう、幅を2倍にしても、曲がりにくさは2倍にしかなりません。
式で書くと、厚さの効果は「厚さ×厚さ×厚さ」、幅の効果は「幅」だけです。
この違いを意識して式を立てましょう。計算は暗算でできるので、落ち着いて取り組めば大丈夫です。

ここで間違えやすいのは、厚さが2倍になったから曲がりにくさも2倍、と考えてしまうことです。
「厚さは3回、幅は1回」と覚えておけば、厚さが3倍なら27倍、というように応用もできます。
テストでは、2倍や半分といった分かりやすい数で問われることが多いので、かける回数を数える習慣をつけておきましょう。

計算のポイント
  • 厚さ(高さ):3回かける。2倍なら2×2×2で約8倍です。
  • 幅:1回かける。2倍にしても2倍にしかなりません。
  • 向き:立てると高さが大きくなり、曲がりにくくなります。

例題2:同じ角材は立てると4倍

例題です。幅60mm、厚さ30mmの角材を、平らに寝かせて使う場合と、立てて使う場合では、曲がりにくさはどれだけちがうでしょうか。
立てると高さが30mmから60mmの2倍になるので、高さの効果は8倍です。
いっぽうで幅は60mmから30mmの半分になり、効果も半分になります。
8×1/2で、答えは4倍です。
同じ角材でも、向きを変えるだけで4倍ちがうのです。
計算の順番は、高さの効果、幅の効果、かけ合わせる、の三つです。
順番どおりに書けば、途中で迷うことがありません。答えだけでなく、式も書く習慣をつけましょう。

この結果は、家の床を支える梁や棚板を、縦長に立てて使う理由を説明してくれます。
ただし、立てた材料は横に倒れやすくなるという弱点もあります。
そのため、横からの支えや金具で倒れないようにする工夫が必要です。
計算で「強い向き」が分かったら、倒れ方や固定のしかたまで考えるのが、本当の設計だといえます。

目的で形を選ぶトレードオフ

強い形が分かっても、いつもそれを選べばいいわけではありません。
軽さを重視するならパイプやH形、作りやすさや費用を重視するなら角材や板が向いています。
パイプやH形は材料を作る工程が複雑で、加工や接合にも手間がかかることがあります。
強さ、軽さ、作りやすさ、費用のバランスを考えて決めることを、トレードオフといいます。
設計では、どれか一つだけを最優先にせず、全体のつり合いを見ることが大切です。
たとえば、強さだけを追いかけると重くなり、費用も上がってしまいます。どれを優先するかは、使う目的で決まります。

中学技術の設計の学習では、「どんな目的で、どんな条件で使うのか」を先に決めて、それに合う材料と形を選ぶ流れを大切にします。
製作する棚が、教室の本を置くのか、軽い小物を置くのかで、必要な強さは変わりますよね。
形のちがいを理由をつけて説明できれば、設計の記述問題にも対応できるようになります。

テスト前の確認リスト

ここまでの内容を、定期テスト前に確認できる形にまとめます。
用語の意味は言えるか、理由を一文で説明できるか、計算を式から自分で立てられるか。
この三つを、声に出しながら一つずつ確かめてみてください。
一つでもあやしいところがあれば、その部分の小見出しにもどって読み直すと、短い時間で理解が定着しますよ。

  • 断面とは、材料を長さの方向に垂直に切ったときの切り口の形だと言える。
  • 曲げると上側は圧縮、下側は引っぱりの力が働き、力が大きいのは外側だと言える。
  • 強い形の考え方は「外側に材料を集め、中心の材料を減らす」だと説明できる。
  • H形のフランジとウェブ、パイプの中空の特長を、使われる場所とセットで言える。
  • 厚さ2倍で約8倍、角材を立てると4倍になる計算を、自分で式から出せる。

よくある質問

テストに出やすいのはどんなところですか

断面の意味、曲げたときに働く圧縮と引っぱり、外側に材料を集める考え方の三つは、とくに確認しておきたいところです。
H形のフランジとウェブといった用語や、パイプやH形がどんな場所で使われるかも、問われることがあります。
また、厚さを変えたときの曲がりにくさを、かける回数で考える計算問題が出ることもあります。
この三つを答えられれば、基本の問題には対応できますよ。
迷ったときは、教科書の太字になっている用語と、授業で扱った例題を優先して見直すと効率的です。
声に出して説明できるかどうかが、理解できているかの目安になります。

H形とパイプはどちらが強いのですか

どちらが強いかは、かかる力の種類で変わります。
H形は上下方向の曲げに強く、建物の梁や橋のけたのように、一方向に大きな荷重がかかる場所に向いています。
パイプはどの向きから曲げても同じように強く、ねじる力にも耐えるので、自転車のフレームのように、いろいろな向きに力がかかる場所に向いています。
形を選ぶときは、どんな力がどの向きにかかるのかを先に考えましょう。
テストでは、どちらか一つを選ぶのではなく、場面に合わせて選ぶという答え方が書けると安心です。
理由に「かかる力」の言葉を入れるのがコツです。

厚さを3回かけるのがうまく覚えられません

「厚さは3回、幅は1回」と声に出して覚えるのがおすすめです。
曲がりにくさは、幅を1回、高さを3回かけた大きさに比例するので、高さの影響のほうがずっと大きくなります。
厚さが2倍なら2×2×2で8倍、幅が2倍なら2倍だけです。
迷ったら、2倍の例題を一度書いてみると、かける回数が自然と身につきます。
計算の前に、厚さと幅のどちらが何倍になったのかを書き出すのも効果的です。向きを変える問題も、この二つを組み合わせるだけで解けますよ。

おわりに

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
曲げの力で働くのは外側の材料で、中心はあまり働きません。
だから、外側に材料を集めたH形やパイプは軽くて曲がりにくく、薄い板も折り曲げれば強くなります。
さらに、厚さは3回、幅は1回かけて考えると、厚さが2倍で約8倍、角材を立てると4倍と計算で確かめられます。
まずは、身のまわりの棚や柱、自転車のフレームを見て、断面の形を探してみてください。
「なぜこの形なのか」が説明できたら、技術の見方がぐっと深まっています。

断面の形と曲がりにくさのまとめ図

ご視聴ありがとうございました。
この記事の内容を動画でも解説しています。
ぜひご覧ください。

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