【中学技術】カム機構とは?偏心カムの行程の求め方と例題をわかりやすく解説

はじめに

技術の授業で「カム機構」という言葉が出てきて、どんなものかイメージしにくいと感じていませんか。
回転する動きを上下の動きに変える、と教科書には書いてありますが、図だけでは分かりにくいですよね。
テストでは、用語の穴埋めに加えて、行程の計算も出てきます。

この記事では、カムとフォロワという二つの部品の役目から、偏心カムの行程の求め方、回転数と往復の回数の関係、形による動きのちがい、身近な使い道までを、順番に整理します。
むずかしい式は二本だけです。
例題を一緒に解きながら、テスト前の確認にも使ってください。

この記事で分かること
  • カム機構のしくみ:回転運動を往復運動に変える、カムとフォロワの役目が分かります。
  • 行程の求め方:偏心カムの行程を、例題で計算できるようになります。
  • 使い道と手入れ:エンジンなどの身近な例と、長所・短所を説明できます。

カム機構の全体像

カム機構の学習は、三つの段階で進みます。
まず、カムとフォロワという部品の名前と役目を知ります。
次に、動きの大きさである行程と、往復の回数を計算します。
最後に、カムの形による動きのちがいと、身近な使い道をまとめます。
この順番で読めば、ばらばらに見える用語も、一本の流れとして頭に入ります。

カム機構の学習の流れ
  • カムとフォロワを知る:回る部品と、動かされる部品の役目を区別します。
  • 動きの大きさを計算する:行程は偏心量の二倍、回転数は往復の回数と同じです。
  • 形と使い道をまとめる:縁の形で動きが決まり、エンジンなどで活躍します。

ポイント1:カムとフォロワのしくみ

最初のポイントは、カム機構を作っている二つの部品と、その基本の形です。
ここを押さえると、あとの計算も図も、ぐっと読みやすくなります。
回るのがカム、動かされるのがフォロワ。まずはこの一文から始めましょう。

HeatKeep
HeatKeep

カムとフォロワのしくみのポイントを紹介します

回転を往復に変える理由

モータやハンドルは、くるくると回り続ける動きを作るのが得意です。
ところが、機械の中には、物を持ち上げる、押す、叩くなど、上下やいったりきたりの動きがほしい場面がたくさんあります。
そこで必要になるのが、回る動きを往復する動きに変える部品です。
回る動きを回転運動、いったりきたりする動きを往復運動と呼びます。
カム機構は、この二つをつなぐ橋渡し役として、昔から多くの機械に使われてきました。
たとえば自動車のエンジンの中でも、この橋渡しの部品が、走っている間ずっと休まずに働き続けているんです。

モータを何個も使えば別々の動きは作れますが、部品が増えて重くなり、費用もかかります。
カム機構なら、モータ一つの回転から、決まった上下の動きを取り出せます。
しかも、カムの形を変えるだけで動き方を変えられるので、設計の自由度が高いのも魅力です。
テストでは「回転運動を往復運動に変える」という言い回しが、そのまま問われます。

カムとフォロワの役割

カム機構は、カムとフォロワという二つの部品が中心です。
カムは軸に取りつけられて回る部品で、フォロワはカムの縁に先を当てて、押されたり戻されたりして動く部品です。
カムが主役で動きを決め、フォロワはその動きをなぞって外へ伝える役目だと考えてください。
名前の由来まで覚える必要はありませんが、「回るのがカム、動かされるのがフォロワ」と覚えておけば、テストで取り違えることはありません。
たとえるなら、カムは動きの台本を持った指揮者、フォロワはそれに合わせて動く演奏者のような関係です。

カムとフォロワのポイント
  • カム:軸と一緒に回り、縁の形でフォロワの動きを決める部品です。
  • フォロワ:カムの縁に先を当てて、押されて上下に動く部品です。
  • 軸:カムを取りつけて回す心棒で、モータなどにつながっています。

実際の機械では、フォロワの動きがさらに別の部品に伝わって、バルブを開けたり、人形を動かしたりします。
カムとフォロワは、いわば動きの入り口と出口です。
図を見るときは、どちらが回っていて、どちらが往復しているかを、まず矢印でたどってみましょう。
それだけで、問題の半分は理解できたようなものです。

円板カムと偏心カム

いちばん基本のカムが円板カムです。
平たい板を軸に取りつけ、縁にフォロワの先を当てて使います。
その中でも、丸い板の軸穴を中心からずらしたものが偏心カムで、ずらした長さを偏心量といいます。
丸い板に穴を一つあけるだけで作れるので、製作の授業でも取り入れやすいカムです。
偏心カムが回ると、フォロワはなめらかに上がって、なめらかに下がります。
円板カムは形をいろいろに変えられるので、ほしい動きに合わせて縁を削り出して作ることもできます。
偏心カムはその中でも最も単純な仲間で、最初に習う基本形です。

カム機構の模型でフォロワが押し上げられるようす

ここで注意したいのは、偏心カムの「円の中心」と「軸の位置」は別の場所だということです。
図で見ると、円の中心から少し外れた所に軸穴があり、そのずれが偏心量です。
このずれが大きいほど、フォロワの動きも大きくなります。
次のポイントで、その関係を計算で確かめていきましょう。

ポイント2:行程と往復の回数を計算する

二つ目のポイントは、テストで必ず問われる計算です。
式は二本だけなので、例題と一緒に練習すれば大丈夫です。
行程は偏心量の二倍、往復の回数は回転数と同じ。この二本をしっかり使えるようにしましょう。

HeatKeep
HeatKeep

行程と往復の回数の計算のポイントを紹介します

行程とは何か

行程とは、フォロワが動く幅のことです。
フォロワがいちばん高い位置にきたときと、いちばん低い位置にきたときの差を、ミリメートルで表します。
行程が大きいほど、フォロワは大きく上下します。
カム機構の設計では、まずどれだけ動かしたいかを決め、その行程になるようにカムの形を決めていきます。
この言葉は、テストの穴埋め問題でもよく見かけます。
たとえば、最高位置が30mm、最低位置が20mmなら、その差の10mmが行程です。
位置そのものの高さではなく、差だけを見るのがポイントです。

授業で使うカム機構の模型を横から見たようす

「行程」という言葉は、機械の分野では「ストローク」と呼ばれることもあります。
ただし、中学の技術では「行程」で答えれば大丈夫です。
図にフォロワの最高位置と最低位置を書き入れて、その間の長さに色をつけておくと、意味が頭に残りやすくなります。
次の項目では、偏心カムの行程を求める式を見ていきます。

偏心カムの行程の求め方

偏心カムの行程は、偏心量を二倍にすれば求められます。
軸から縁までの距離は、いちばん遠い所で半径に偏心量を足した長さ、いちばん近い所で半径から偏心量を引いた長さになります。
この二つの差が、ちょうど偏心量の二倍です。
例題です。直径40mmの円板の軸穴を、中心から5mmずらした偏心カムの行程は、5×2で10mmです。
直径の40mmは、答えに関係しません。
この考え方は、一度図に描いてみるとすぐに納得できます。
式だけを丸暗記するより、理由が分かっているほうが、応用問題でも迷いません。

行程の計算のポイント
  • 行程の式:行程=偏心量×2。半径や直径は式に使いません。
  • 例題の答え:偏心量が5mmなら、行程は10mmです。
  • 検算の方法:いちばん遠い所と近い所の距離の差が、行程と同じになります。

つまずきやすいのは、直径や半径の数字を式に入れてしまうことです。
問題文に数字がいくつも出てきても、行程の計算に使うのは偏心量だけです。
迷ったときは、「ずらした長さの二倍」と声に出して確認しましょう。
偏心量が3mmなら6mm、8mmなら16mmと、いくつか自分で作ってみると、式が体にしみこみます。

回転数と往復の回数

偏心カムが一回転すると、フォロワは一回上がって一回下がり、一往復します。
つまり、カムの回転数とフォロワの往復の回数は同じです。
例題です。カムが毎分120回転しているとき、フォロワは1分間に120往復します。
1分は60秒なので、120÷60で1秒間に2往復、1往復にかかる時間は0.5秒だと分かります。
回転数の問題は、単位の時間をそろえるのがコツです。
答えには、往復や秒などの単位も一緒に書くと、採点で減点されにくくなります。
計算の前に、単位を一度見直す習慣をつけましょう。

毎分と毎秒を取り違えるのが、この計算の典型的な失敗です。
問題文が「毎分」なのか「毎秒」なのかに、先に印をつけましょう。
毎分を毎秒に直すときは、60でわります。
逆に、毎秒を毎分に直すときは、60をかけます。
この二つの向きをセットで覚えておけば、どんな数字が出ても落ち着いて対応できます。

ポイント3:形のちがいと身近な使い道

最後のポイントは、カムの形で動きがどう変わるかと、実際の機械での使われ方です。
理由まで分かると、記述問題にも強くなります。
縁の形が、そのままフォロワの動きの設計図になります。

HeatKeep
HeatKeep

形のちがいと身近な使い道のポイントを紹介します

カムの形で動きが変わる

カムの縁の形は、そのままフォロワの動きの設計図になります。
縁がなめらかに丸い所では、フォロワもなめらかに動きます。
縁がとがっている所では、フォロワは急に押し上げられます。
そして、軸からの距離が変わらない所では、フォロワは上がりも下がりもせず止まります。
形を工夫すれば、動く、止まる、また動く、といった複雑な動きを、決めたとおりにくり返させることができます。
しかも、電気の制御装置がなくても、形さえ正しければ毎回同じ動きになるのが、カムの強みです。
ゆっくり上がって素早く下がる、という動きも、縁の形だけで作れます。

カムの形と動きのポイント
  • 丸くなめらかな縁:フォロワもなめらかに上下します。
  • とがった縁:フォロワが急に押し上げられます。
  • 軸から距離が同じ縁:フォロワは止まって動きません。

偏心カムは丸い形なので、止まる時間は作れません。
止めたい時間があるときは、縁の一部を軸と同じ中心の円弧にした、特別な形のカムを使います。
テストでは、形を見て「どんな動きになるか」を選ぶ問題が出ることがあります。
縁が軸から遠ざかる所は上がる、近づく所は下がる、と順にたどれば答えが出ます。

フォロワの先の形とばねの役目

フォロワの先の形には、とがった先と、小さなローラがついた先があります。
とがった先は、カムの形にぴったり沿って動くので正確です。
ただし、同じ場所がこすれるので、すり減りやすいのが弱点です。
そこで、ローラ付きのフォロワがよく使われます。
ローラが転がることで、こすれる力が小さくなり、長持ちします。
ローラ付きは少し部品が増えますが、長い時間使う機械では、こちらが選ばれやすいと覚えておきましょう。
どちらの場合も、ばねや重さで、フォロワをカムに押しつけておく必要があります。

もしばねが弱いと、カムが速く回ったときにフォロワが離れてしまい、動きがずれたり、ぶつかる音が出たりします。
反対に、ばねが強すぎると、こすれる力が大きくなって、すり減りが早くなります。
ちょうどよい強さに調整するのが、設計のむずかしいところです。
製作でカムを作るときは、フォロワがカムから離れていないか、回して確かめましょう。

身近な使い道と長所・短所

カム機構は、自動車のエンジンの中で、空気の出入り口であるバルブを開け閉めするのに使われています。
ほかにも、上下に動くからくり人形や、決まった動きをくり返す工場の自動機械などで活躍しています。
長所は、形さえ決めれば同じ動きを何度でも正確にくり返せることと、部品が少なくてしくみが単純なことです。
短所は、カムとフォロワがこすれてすり減るので、油をさすなどの手入れが必要なことです。
どれも身近な機械の中で、目立たないけれど大切な仕事を受け持っています。
取り上げた例を、自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。

カム機構を使った教材の全体のようす

このように、長所と短所をセットで答えられると、テストの記述問題でも得点しやすくなります。
長所は「決めた動きを正確にくり返せる」、短所は「こすれてすり減る」と、短い言葉で覚えておきましょう。
身近な例は、エンジンのバルブを筆頭に、一つ書ければ十分です。
日常で動くおもちゃを見かけたら、中にカムがないか想像してみるのも、楽しい復習になります。

テスト前の確認リスト

ここまでの内容を、テスト前に確かめられる形でまとめます。
声に出して答えながら、一つずつ確認してみてください。
全部に自信を持ってうなずけたら、カム機構の問題はほぼ大丈夫です。
うまく答えられなかった項目だけ、前の見出しに戻って読み直しましょう。
とくに計算の二本の式は、手を動かして何問か解いておくと安心です。

  • 回転運動を往復運動に変えるしくみがカム機構で、回る部品がカム、動かされる部品がフォロワだと言える。
  • 偏心カムは、丸い板の軸穴を中心からずらしたもので、ずらした長さが偏心量だと説明できる。
  • 行程はフォロワが動く幅で、偏心カムでは「偏心量×2」。半径や直径は式に使わないと覚えている。
  • カムが1回転するとフォロワは1往復。毎分の回転数と毎分の往復数が同じだと分かる。
  • ばねの役目、エンジンのバルブなどの使い道、長所と短所を、それぞれ1つずつ言える。

よくある質問

テストでは、どの部分が出やすいですか

結論から言うと、偏心カムの行程の計算と、用語の穴埋めがとくに出やすいです。
用語は、回転運動、往復運動、カム、フォロワ、偏心量、行程の六つを押さえておきましょう。
計算は、行程が「偏心量×2」であることと、回転数が往復の回数と同じことの二本です。
身近な使い道としてエンジンのバルブを書かせる問題もあるので、一つは例を言えるようにしておくと安心です。
覚える量は多くないので、用語と二本の式を確実にすれば、点数に直結します。
計算問題は一問の配点が高くなりやすいので、ここは落とさないようにしましょう。

行程と偏心量は、何がちがうのですか

偏心量は軸穴を中心からずらした長さで、行程はフォロワが実際に動く幅です。
偏心量が元になる数字で、それを二倍にしたものが行程になります。
たとえば偏心量が5mmなら、行程は10mmです。
図で考えるなら、偏心量は円の中心から軸までの距離、行程はフォロワの最高位置と最低位置の差です。
名前が似ているので、問題文がどちらを聞いているのか、先に確かめてから計算しましょう。
もし式を忘れてしまっても、フォロワのいちばん高い位置と低い位置を図に描けば、差から行程を求め直せます。
焦らず図に頼れば大丈夫です。

計算で答えが合わないときは、どうすればよいですか

まず、問題が聞いているものと、使う式を声に出して確かめてください。
行程を聞かれているなら「偏心量×2」、往復の回数なら「回転数と同じ」です。
次に、単位を確認します。毎分か毎秒か、ミリメートルかセンチメートルかを見落とすと、答えがずれます。
それでも合わないときは、図を描いてフォロワの最高位置と最低位置に印をつけ、差を目で確かめましょう。
図に直すと、数字だけでは気づけなかった勘違いが見つかることが多いです。

おわりに

カム機構は、回転する動きを、上下の往復する動きに変えるしくみでした。
回るのがカム、動かされるのがフォロワ。偏心カムの行程は偏心量の二倍で、カムが一回転すると一往復します。
この三つが分かれば、教科書の図も、テストの計算も、落ち着いて読めるはずです。
身の回りの機械の中にも、カムがひそんでいるかもしれません。
一つずつ確かめながら、技術の学びを楽しんでいきましょうね。

カム機構のまとめ図。カムとフォロワ、行程、回転数と往復の回数

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