
はじめに
気づくと、朝の会が十分を超えている。
連絡ばかりで、子どもの顔を見る余裕がない。
後ろのほうでは、まだおしゃべりが続いている。
そんな朝を過ごしたことは、ありませんか。
帰りの会も似ています。
忘れ物の注意と、その日のトラブルの話で終わってしまう。
子どもたちは、うつむいたまま下校していく。
でもそれは、あなたの指導力が足りないからではありません。
会の流れが決まっていないと、どのクラスでも同じことが起こります。
二学期のはじまりは、クラスの空気がゆるみやすい時期です。
だからといって、行事や授業から立て直そうとすると息が切れてしまいます。
先に手をつけたいのは、一日の入口と出口。
朝の会と帰りの会の、合わせて十分です。
この記事では、その十分を整える3つの手順をお伝えします。
読み終わるころには、明日の朝の会で何から始めればいいかが決まっているはずです。
一日の入口と出口を整える3つの手順
立て直しの手順は3つです。
型を決めて短く回す。見通しを一つだけ渡す。帰りの会を反省会にしない。
この3つは、それぞれ独立した技ではありません。
一日の入口を整え、真ん中に見通しを通し、出口をきれいに閉じる、という一続きの流れです。
入口と出口が決まると、不思議なことに、真ん中にある授業や休み時間まで落ち着いていきます。
- ポイント1:型を決めて、短く回す:毎日同じ順番で進める。朝の会は5ステップ・5分で終える。
- ポイント2:見通しを一つだけ渡す:時間割を全部言わず、今日の山場を一つだけ予告する。
- ポイント3:帰りの会を反省会にしない:叱って閉じない。よかったこと共有と整とんで締める。
ポイント1:型を決めて、短く回す
1つ目は、型を決めて短く回すことです。
型というのは、毎日同じ順番で進める、決まった流れのことです。
短くする方法は、話を減らすことではなく、順番を決めることです。
型を決めて、短く回すのポイントを紹介します
なぜ朝の会は毎日長くなるのか
朝の会が長くなる原因は、話す内容そのものではありません。
毎朝その場で、流れを決め直していることにあります。
今日は何から始めようか、と先生が考えているあいだに、思いついた連絡がどんどん足されていく。
終わりの時刻も決まっていないので、気づけば十分を超えている。
これは先生の段取りが悪いのではなく、決まった流れがないだけなんです。
裏を返せば、流れさえ決めてしまえば、話す内容を減らさなくても会は自然と短くなります。
一度決めてしまえば、あとは毎日それをなぞるだけです。
まず手をつけるのは、中身ではなく順番のほうです。
型は先生のためだけのものではない
同じ順番でくり返すと、先生は何を話すか迷わなくなります。
でも、型の効き目はそれだけではありません。
子どもの側にも、次に何が起こるか分かるという安心が生まれます。
次はあいさつ、次は健康観察、次は今日の予定。
先が読める場所では、人は落ち着いていられるんですよね。
型は、先生の段取りであると同時に、子どもへの安心の合図でもあるんです。
逆に、毎日流れが変わる会では、子どもはただ待つことしかできません。
待つ時間が長いほど、私語は増えていきます。
私語を叱る前に、まず流れを固定してみてください。
叱る回数そのものが、静かに減っていきます。
五分で終える朝の会の組み立て
おすすめは5つの流れです。
あいさつ、健康観察、今日の予定、先生の話、係や当番の連絡。
この順番で固定します。
時間の目安は5分で、あいさつと健康観察に2分、予定に1分、話と連絡に2分。
紙に書き出して、黒板の横に貼っておきます。
ここまで決まったら、進行は子どもに渡してしまいましょう。
流れを書いたカードを当番に持たせるだけで、進行役はつとまります。
型を渡された当番は、驚くほどきちんと進めてくれます。
最初の一週間だけ先生が見本を見せ、あとは任せる。
自分たちで回す会になると、遅れて教室に入ってくる子も減っていきます。
- 順番を紙に書く:5つでも4つでもいい。決まった時点で型になる。
- 終わりの時刻を宣言:「5分で終わります」と先に言ってから始める。
- 進行カードを当番に:先生の見本は一週間だけ。あとは任せる。
最初に子どもへ伝える言葉は、これだけで十分です。
「朝の会は五分。時間どおりに終わろう」
終わりを共有すると、急かさなくても子どもの動きが速くなります。
ポイント2:見通しを一つだけ渡す
2つ目は、見通しを一つだけ渡すことです。
時間割を全部読み上げるのではなく、今日の山場を一つだけ予告します。
落ち着かないのは、次に何が起きるか分からないからです。
見通しを一つだけ渡すのポイントを紹介します
なぜ見通しが子どもを落ち着かせるのか
落ち着かない教室をよく見ていくと、子どもが困っているのは、次に何が起きるか分からないことだったりします。
分からない時間が長いほど、人はそわそわします。
大人でも、初めて参加する研修で進行表が配られないと落ち着かないですよね。
あれと同じことが、毎日の教室で起きています。
だから、朝の会で見通しを渡すんです。
今日はここが山だと分かれば、そこに向けて心の準備ができます。
準備ができている子は、いざその場面が来ても崩れません。
見通しは、指導ではなく安心の材料なんです。
そして安心している子は、先生の言葉をよく聞いてくれます。
予定を全部伝えても届かない理由
見通しが大事だと聞くと、時間割を最初から最後まで読み上げたくなります。
でも、情報は多いほど残りません。
5つも6つも伝えられた子どもの頭には、結局ひとつも残っていない、ということが起こります。
ここで必要なのは量ではなく、絞ることです。
今日いちばん大事な場面を、一つだけ選んで渡す。
六時間目の話し合い、五時間目の合唱練習、そのどれか一つで十分です。
残りは、そのつど授業の中で伝えれば間に合います。
渡すものを減らすほど、渡したものは確実に届きます。
一つに絞った見通しは、その日の終わりまで子どもの中に残ります。
黒板の定位置が、見通しを習慣にする
山場は口で言うだけでなく、黒板の決まった場所に一行だけ書きます。
右端の同じ位置、と決めておくのがこつです。
書く手間は五秒ほどですが、効き目はその日いちにち続きます。
場所が固定されると、先生が言わなくても子どもが自分で見に行くようになります。
ここまで来ると、見通しは先生の仕事から、学級の習慣に変わります。
そしてもう一つ。
帰りの会で、その一行をもう一度見ながら今日を振り返ってください。
朝に渡した見通しが、夕方に回収される。
この往復があるだけで、一日が一本の線としてつながって終わります。
- 一つに絞る:今日の山場だけを選ぶ。全部言わない。
- 書く場所を固定:黒板の右端など、毎日同じ位置に一行。
- 帰りの会で回収:その一行を見ながら今日を振り返る。
言い方は、とてもあっさりで大丈夫です。
「今日の山は六時間目の話し合いです」
これだけで、子どもは自分で心の準備を始めます。
ポイント3:帰りの会を反省会にしない
3つ目は、帰りの会を反省会にしないことです。
その日のトラブルを話し合う場にすると、教室の空気が重くなります。
帰りの会のねらいは、一日を締めて、明日への安心を渡すことです。
帰りの会を反省会にしないのポイントを紹介します
叱って閉じた日は、翌朝に持ち越される
人は、最後の場面をいちばんよく覚えています。
だから帰りの会を注意で終えると、その日はまるごと嫌な一日として記憶されてしまいます。
その気持ちのまま下校し、翌朝も同じ気持ちのまま登校してくる。
荒れは、こうして静かに翌日へ持ち越されていきます。
しかも全体に向けた注意は、当てはまらない子にまで届いてしまいます。
まじめにやっていた子ほど、自分が言われたように感じて落ち込むんですよね。
個別に伝えるべきことは、その子と別の場所で。
会は前向きに閉じる、と先に決めておいてください。
よかったことの共有が学級を支える理由
帰りの会は、よかったことの共有から始めます。
今日いいなと思った人を、一人だけ挙げてもらう。
それだけで、教室の最後の空気がまるで変わります。
たった二分で、教室の空気は変えられます。
発表が苦手なクラスなら、カードに書いて掲示するやり方でもかまいません。
書いて貼るほうが、恥ずかしさが少なくて続く学級もあります。
ねらいは上手に発表させることではなく、見てもらえたという実感を全員に配ることです。
自分のよさに気づいてもらえる場所には、居場所が生まれます。
それが、二学期の教室をいちばん支えてくれます。
整とんとあいさつで、一日を確かに閉じる
よかったことを共有したら、明日の予定と持ち物を伝えます。
ここを飛ばさないだけで、忘れ物はずいぶん減ります。
そして最後に、机といすを入れ、窓の確認をしてから帰る。
この整とんを流れに組み込んでおくのがおすすめです。
整った教室で朝を迎えると、次の日の入口が軽くなるからです。
締めのあいさつは、当番の合図でそろえて、笑顔で見送る。
トラブルがあった日ほど、この形をていねいに守ってください。
型に戻れば、崩れた日でも会はちゃんと着地します。
完ぺきを目ざさなくても、形に戻るだけで学級は立ち直ります。
- よかったこと共有:発表かカード記入で、一日を明るく始める。
- 明日の予定と持ち物:ここを飛ばさないと忘れ物が減る。
- 整とんとあいさつ:机といすを入れ、窓を確認して笑顔で見送る。
最初のひと言は、これくらい軽くて構いません。
「今日いいなと思った人を、一人だけ教えて」
手が挙がらない日は、先生が一人めを言えば大丈夫です。
おわりに
型を決めて短く回す。
見通しを一つだけ渡す。
帰りの会を反省会にしない。
この3つが、一日の入口と出口を整える手順でした。
朝の会と帰りの会、合わせてたった十分です。
二学期は行事が続き、担任はどうしても忙しくなります。
忙しいときほど、決まった型がある学級は崩れません。
まずは明日、朝の会の流れを紙に書き出すところから始めてみてください。
順番が決まれば、それだけでもう型になります。
ご視聴ありがとうございました。
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