夏休み明けのSNSトラブル、教室で気づく3つの手順|二学期の入り口で担任ができること

はじめに

二学期が始まって数日。
教室の空気が、夏休み前とほんの少しだけ違う。
特定の子のまわりだけ、笑い声が止まる。
班をつくると、目線が合わない組み合わせがある。
そんな小さな違和感を、感じ取ったことはありませんか。

夏休みは、子どもたちが顔を合わせない時間が四十日ほど続きます。
その間のやりとりは、ほとんどが文字です。
文字だけの会話は、表情も声の調子も抜け落ちてしまうので、悪気のないひと言が、思いがけず強く刺さってしまうことがあります。
そして、そのすれ違いは休みの間には解けません。
二学期の教室で、席の近さや班活動という形になって、はじめて表に出てきます。

ここで先に言っておきたいことがあります。
気づけなかったとしても、それはあなたの力不足ではありません。
画面の中のやりとりは、学校から見えないところで進むからです。
だから、自分を責めないでください。
そのうえで、担任にできることは確かにあります。

この記事では、端末を調べたり犯人を探したりせずに、ふだんの教室の中でできる三つの手順をお伝えします。
特別な研修も、専門の知識も要りません。
二学期の入り口の一週間で、じゅうぶん間に合います。

夏明けのSNSトラブルに向き合う3つの手順

やることは三つです。
一つ目は「気づく」。
画面の中は見えなくても、もつれは必ず教室のどこかに形になって出てきます。
二つ目は「聴く」。
誰が悪いかを先に決めず、気持ちから順番に受け止めます。
三つ目は「育てる」。
一件を解決して終わりにせず、同じことが起きにくい学級に変えていきます。
この順番で動くと、話が大きくこじれる前に手当てができます。

3つの手順
  • 手順1:気づく:席のまわり・笑いの止まる場所・ふり返りの言葉を見る。
  • 手順2:聴く:気持ち→起きたこと→これからどうしたいか、の順で聴く。
  • 手順3:育てる:約束は先生が決めず、子どもが三つだけ決めて掲示する。

ポイント1:教室に出るサインで気づく

最初の一週間は、指導する週ではなく「見る週」だと決めてしまいましょう。
画面の中は見えなくても、教室に出るサインは必ず見えます。

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教室に出るサインで気づくのポイントを紹介します

なぜ「画面の中」を追わなくていいのか

夏休み中のやりとりは、担任からはどうやっても見えません。
だからこそ、見えないものを追いかけるより、見えるものに集中したほうが確実です。
人と人のあいだに起きたもつれは、必ず教室のどこかに形になって出てきます。
席のまわりから人が減る、班活動で目線が合わない、笑いが特定の場所で止まる。
どれも、画面を開かなくても分かることばかりです。
調べることを頑張るのではなく、見ることを丁寧にする。
二学期の入り口では、この切り替えがいちばん効きます。
そして何より、疑いの目で子どもを見なくてすみます。

小さな変化に敏感でいるということ

学級が崩れていくときは、いきなり大きな事件が起きるわけではありません。
あいさつの声が少し小さくなる、提出物が少しだけ遅れる。
その小さな段階で気づけるかどうかが、後の手間をまるごと変えます。
夏明けのすれ違いも同じです。
ふり返りの文が急に短くなった子、いつもの席に座らなくなった子。
そこに理由があります。
敏感でいるというのは、才能ではなく習慣です。
休み時間に教室にいる時間を少し増やす。
それだけで、見えるものは確実に増えていきます。
指導するためではなく、ただ見るために立つ。
これが一週間分の観察になります。

教室のようすを静かに見取る先生

ひとりの目で決めないという原則

気づいたことは、その日のうちに一行だけメモしておいてください。
記憶は驚くほど早く上書きされますし、後から家庭や学年に説明するときの土台にもなります。
そのうえで、必ず学年の先生とも共有します。
担任ひとりの目は、どうしても偏ります。
あなたが気になっている子を、別の先生はまったく違う場面で見ているかもしれません。
二人以上の目で見た事実だけを、確かなものとして扱う。
この原則があると、思い込みで動いてしまう失敗をかなり減らせます。
そして何より、あなたが一人で抱え込まずにすみます。

二学期最初の一週間、見る3つの場所
  • 席のまわり:休み時間に、誰と誰が離れたかを見る。
  • 笑いの場所:どこで笑いが起き、どこで止まるかを見る。
  • ふり返りの言葉:文章が急に短くなった子はいないかを見る。

気づくというのは、鋭い勘のことではありません。
見る場所を決めて、そこに立つ時間をつくる。
それだけのことです。
「最近どう? 二学期の顔、いいね」とひと言かけるだけでも、子どもは見てもらえていると感じます。

ポイント2:決めつけずに聴く

サインに気づいたら、次は本人の話を聴きます。
ここでの入り方が、その後のほとんどを決めてしまいます。

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決めつけずに聴くのポイントを紹介します

なぜ犯人探しから入ってはいけないのか

話を聴くとき、つい「誰が先に言ったの」と確かめたくなります。
事実をはっきりさせたい気持ちは自然なものです。
けれど子どもは、裁かれる場だと感じた瞬間に口を閉じます。
いったん閉じた口は、その後どれだけ丁寧に聞いても、なかなか開きません。
しかも、文字のやりとりのもつれは、たいてい両方に言い分があります。
先に白黒をつけると、片方が加害者の位置に固定されてしまう。
まずは味方だと伝わることを優先してください。
事実は、あとからでも十分に集められます。
順番を変えるだけで、聴ける量がまるで変わります。

聴くときの順番
  • 1.気持ち:つらかったのか、腹が立ったのかを先に受け止める。
  • 2.出来事:いつ、誰と、何があったのかを落ち着いて確かめる。
  • 3.これから:どうしたいかを本人に決めてもらう。

聴くことは受け身ではなく働きかけ

聴くという行為は、何もしていないことのように見えて、実はいちばん強い働きかけです。
相手と体を向き合わせる、相づちを打つ、表情をやわらげる。
それだけで、目の前の子は「話していいんだ」と感じます。
順番は、まず気持ちから聴くこと。
つらかったのか、腹が立ったのか。
次に、いつ、誰と、何があったのか。
最後に、これからどうしたいのか。
この三段階を守ると、子どもは自分の中でも出来事を整理できます。
答えを先生が先に出さないほうが、決めたことは長続きします。
急がば回れ、が本当に効く場面です。

静かな場所で一人ずつ話を聴く先生

急がないほうが結果的に早い

やらないほうがいいことも、はっきりしています。
関係する子をその場に全員集めること、画面を見せなさいと強く迫ること、そして保護者へ確定していない話を断定して伝えること。
この三つは、どれも早く解決したい気持ちから出てきます。
けれど、人前で言えることは限られますし、迫られた子は身構えます。
まずは一人ずつ、静かな場所で聴く。
必要が出てきたら、学年や家庭と相談してから次に進む。
順番を守るほど、あとで信頼を失わずにすみます。
急いだぶんだけ、あとで時間がかかる。
遠回りに見えて、これがいちばん短い道です。

聴くときの言葉は、短くて構いません。
「どっちが悪いかより、あなたが今どう感じたかを聞かせて」。
この一文だけ持っておけば、たいていの場面は始められます。

ポイント3:学級で約束を育てる

一件が落ち着いたら、そこで終わりにせず、学級全体の力に変えていきます。
自分たちで決めた約束だけが、先生の目がないところでも生きて働きます。

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学級で約束を育てるのポイントを紹介します

なぜ先生が決めたルールは守られないのか

一件を解決したら、つい「これからは気をつけよう」で終わりにしたくなります。
けれど、上から配られた禁止事項は、休み時間まで生きて働きません。
守らされているだけの決まりは、先生の目がないところで簡単に外れるからです。
逆に、自分たちで話し合って決めた約束は違います。
決めた本人が、その理由まで知っているからです。
学級経営とは、先生がルールを増やす仕事ではなく、子どもが自分で決められる場をつくる仕事です。
ここを渡せるかどうかが、二学期の分かれ道になります。
少しだけ、勇気がいる場面です。

個人の話にしない話し合いの設計

話し合いを開くとき、いちばん気をつけたいのは、特定の誰かの一件を題材にしないことです。
名前が浮かぶ話題になった瞬間、その子は教室にいられなくなります。
入口は、あくまで一般的な問いにしてください。
「文字だけで伝えると、どんなときに困ると思う」。
この聞き方なら、全員が自分の経験から話せます。
出てきた困りごとを黒板に並べ、そこから約束を三つだけ決める。
多すぎると守れませんし、三つなら覚えていられます。
子どもの言葉のまま書き、そのまま掲示するのがおすすめです。
先生の言葉に直さないことが、意外と大事です。

子どもたちが意見を出し合って約束を決める場面

決めた日をゴールにしない

約束は、決めた日がスタートです。
いちばん大事なのは、そのあと守れている場面を見つけて、名前を出して価値づけること。
「今のひと言、やさしかったね」と返すだけで、その約束は学級の中で生き続けます。
叱る材料としてだけ使うと、掲示は一週間で飾りになります。
あわせて、決めた約束を学級通信で家庭にも伝えてください。
家でも同じ話ができるようになり、保護者が味方になります。
そして月に一度だけ見直す。
育てるとは、この地道な繰り返しのことです。
派手さはありませんが、いちばん確実です。

話し合いを開くときの3つの約束
  • 個人の話にしない:誰かの一件ではなく、一般的な問いから入る。
  • 三つだけ決める:多いと守れない。覚えていられる数に絞る。
  • 子どもの言葉で書く:先生の言葉に直さず、そのまま掲示する。

「先生は決めません。あなたたちが決めた約束のほうが強いから」。
そう伝えて任せた学級は、二学期の後半で驚くほど頼もしくなります。

おわりに

気づく、聴く、育てる。
今日お伝えしたのは、この三つだけです。
画面の中は見えません。
けれど、教室に出るサインは見えます。
そこから始めれば、二学期の入り口でじゅうぶん間に合います。

そして、いちばんお伝えしたいのは、担任ひとりで抱えなくていいということです。
学年の先生も、家庭も、そして子どもたち自身も、いっしょに立て直していく仲間です。
明日、まずは休み時間に教室に立ってみてください。
気づいたことを、一行だけメモする。
それだけで、今日の話は動き出します。

夏明けのSNSトラブルに向き合う3つの手順のまとめ

ご視聴ありがとうございました。
この記事の内容を動画でも解説しています。
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