
はじめに
野菜を育てる授業で、「肥料はいつ、どこに、どれだけ与えればいいの?」と迷ったことはありませんか。
実は、肥料には与える時期によって「元肥」と「追肥」という二つの使い方があります。
同じ肥料でも、与えるタイミングも、向いている種類も、まく場所もちがうんです。
この記事では、中学技術の生物育成で習う元肥と追肥のちがいを、順番に整理していきます。
後半には、肥料の量を求める例題が2問あります。
元肥は植える前、追肥は育つ途中。この一文を軸にして読み進めると、テスト前の確認にもそのまま使えますよ。
- 元肥と追肥のちがい:与える時期、向いている肥料、まく場所の三つで整理します。
- 正しい与え方:土への混ぜ方、株もとから離す理由、与えすぎの失敗を確かめます。
- 量の計算:面積と割合から肥料の量を求める例題2問に挑戦します。
元肥と追肥の全体像
野菜は、小さな苗のときと、実をつけるころとでは、必要な肥料の量がちがいます。
最初に全部与えると、根を傷めたり、雨で流れてしまったりするので、二回に分けて与えるのが基本です。
植える前に土台をつくるのが元肥、育つ途中で足りない分を足すのが追肥です。
- いつ:元肥は種まきや植え付けの前、追肥は育っている途中に与えます。
- どんな肥料:元肥はゆっくり効く堆肥や油かす、追肥はすぐ効く化成肥料や液体肥料が向いています。
- どこに:元肥は土とよく混ぜ、追肥は株もとから少し離して、軽く土をかぶせます。
ポイント1:元肥のやり方は植える前に土台をつくること
まず一つ目は元肥です。
苗を植えてから慌てて肥料を足すのではなく、植える前の土づくりの段階で、育ちの土台を用意しておきます。
この準備ができているかどうかで、苗が根づくまでの安心感が大きく変わってきます。
元肥のやり方のポイントを紹介します
元肥とは何か:苗を植える前の土づくり
元肥とは、種をまいたり苗を植えたりする前に、あらかじめ土へ混ぜておく肥料のことです。
「基肥」と書くこともありますが、意味は同じです。
家づくりにたとえると土台にあたる部分で、苗が根づいたあとの最初の栄養になります。
植えたばかりの苗は根が小さく、離れた場所の肥料までは届きません。
そこで、根がこれから伸びていく範囲の土に、先に肥料を入れておくのです。
この準備があるだけで、植えたあとの苗が根を張りやすくなります。
最初の栄養が足りないと、そのあとの生長にも差が出てしまうんです。
テストでは「元肥はいつ与えるか」がよく問われます。
答えは「種まきや植え付けの前」です。
追肥と取りちがえやすいので、「元」という字は「はじめ」「土台」の意味だと覚えておくと迷いません。
元肥の与え方:全面にまく方法と溝に入れる方法
元肥の与え方は、大きく二つあります。
一つ目は、畑の全体に肥料をまいて、耕しながら土とよく混ぜる全面施用です。
二つ目は、うねの中央に溝を掘って肥料を入れ、上から土をかぶせる溝施肥です。
どちらの場合も、肥料の上に土をかぶせて、苗の根が肥料に直接ふれないようにするのがコツです。
根が濃い肥料にふれると、水分を奪われて傷んでしまうことがあるからです。
苗を植える穴の底に直接入れるのではなく、少し離れた場所か土の下の層に入れると安心です。
ここは実習でも失敗しやすいところです。
プランターで育てるときは、培養土に肥料をよく混ぜてから、鉢に入れるとむらが出ません。
混ぜ方が足りないと、肥料が一か所に集まって、そこだけ濃くなってしまいます。
全体を均一にすることが、どの方法でも共通する大切な点です。
- 全体に混ぜる:まいたら耕して、土と肥料をむらなく混ぜ合わせます。
- 溝に入れる:溝に肥料を入れたら、必ず土をかぶせて根と離します。
- 根にふれさせない:濃い肥料に根が直接ふれないように、土の層を挟みます。
元肥に向く肥料と入れる時期
元肥には、堆肥や油かすのように、土の中で少しずつ分解されながらゆっくり効く肥料が向いています。
植えた直後から収穫の近くまで、じわじわと栄養を出し続けてくれるからです。
入れる時期は、植え付けの1週間から2週間ほど前が目安です。
早めに混ぜておくと、肥料が土になじんで、苗の根を傷める心配が減ります。
栽培計画の表に、植える日から逆算した日付を書いておくと安心です。
日付が決まっていれば、前日に慌てて準備することもなくなります。
土を休ませる時間も取れるので、一石二鳥ですね。
ゆっくり効く肥料は、効き始めるまでに少し時間がかかります。
だから、苗を植える直前に慌てて入れても、最初の栄養としては間に合わないことがあります。
「早めに入れて、なじませる」が元肥の基本ですよ。
ポイント2:追肥のやり方は株もとから離して足りない分を足すこと
二つ目は追肥です。
元肥でつくった土台だけでは、野菜が大きくなるにつれて、栄養が足りなくなってきます。
そのタイミングで、足りない分をあとから足すのが追肥の役割です。
追肥のやり方のポイントを紹介します
追肥とは何か:育つ途中で足す理由
追肥とは、野菜が育っている途中で、追加で与える肥料のことです。
元肥のゆっくり効く栄養は、植えたばかりのころには十分でも、野菜が大きくなって実をつけるころには、だんだん足りなくなってきます。
そこで、不足してきた分を、あとから足して補うのです。
葉を大きくしたり、実をふくらませたりするには、たくさんの栄養が必要になります。
追肥は、その大事な時期に栄養を届けるための手当てだと考えてください。
元肥だけに頼らず、途中で様子を見て足していくことが、収穫量を左右します。
毎日の観察が、追肥の判断の手がかりになります。
元肥が「土台」なら、追肥は「途中の補給」です。
マラソンで、スタート前に食事をとり、走りながら給水所で水分を補うのと似ています。
この二段構えがあるから、野菜は最後まで元気に育つことができるんですね。
追肥をまく場所:株もとから少し離す
追肥は、株もとのすぐそばにまかないでください。
肥料を吸い上げるのは、根の先のほうだからです。
株の少し外側、根の先がのびているあたりにまくのが正解です。
まいたあとは、軽く土をかぶせて、肥料が雨で流れたり、葉についたままになったりしないようにします。
株もとに山盛りにすると、根が濃い肥料にふれて傷む「肥料焼け」を起こしやすくなります。
株の根は、茎のすぐ近くより、少し外側に広がっていることが多いのです。
離してまくほうが、肥料が根に届きやすく、傷む心配も減ります。
マルチシートを張っている畑では、穴の近くにそっとまくか、すき間から差し込むようにします。
液体肥料なら、水やりのときに薄めて与えられるので、むらも出にくくなります。
「株から離して、土をかぶせる」を、声に出して覚えておきましょう。
追肥のタイミングと向いている肥料
追肥のタイミングは、野菜の種類によってちがいます。
葉を食べる野菜は、植えてから2週間から3週間後が一つの目安です。
実を食べる野菜は、実がつき始めたころから、およそ2週間おきに与えます。
葉の色がうすくなってきたら、栄養が足りなくなっているサインです。
向いているのは、化成肥料や液体肥料のように、すぐ効くタイプです。
足りなくなった栄養を、早く届けたいからです。
ゆっくり効く肥料では、必要なときに間に合いません。
液体肥料は薄めて水やりと一緒に与えられ、効き目も早いので追肥に便利です。
元肥はゆっくり、追肥はすぐ効く。
この対応は、穴うめ問題で出やすいところです。
逆に答えてしまう間違いが多いので、「元肥は土台だからじっくり」「追肥は補給だから速い」と、理由とセットで覚えておくと安心です。
- 時期:葉の色がうすくなったときや、実がつき始めたころが目安です。
- 肥料:化成肥料や液体肥料のように、すぐ効くものを選びます。
- 場所:株もとから離して、根の先がのびる位置にまきます。
ポイント3:肥料の量は面積と割合の計算で決めて与えすぎを防ぐ
三つ目は、肥料の量です。
「多いほうがよく育つ」と思って、ついたくさん与えたくなりますが、肥料は多ければよいわけではありません。
面積や割合から、必要な量を計算で決めると、与えすぎも足りなさも防げます。
肥料の量の計算のポイントを紹介します
面積から元肥の量を求める計算
例題1です。
縦3メートル、横2メートルの畑に、1平方メートルあたり150グラムの元肥を入れます。全部で何グラム必要でしょうか。
まず面積を求めます。3×2で6平方メートルです。
次に、1平方メートルあたりの量に面積をかけます。150×6で、答えは900グラムです。
「面積を求めてから、1平方メートルあたりの量をかける」という順番さえ守れば、迷わず解けます。
式にすると「縦×横×1平方メートルあたりの量」です。
まず面積、次に量、と声に出しながら進めましょう。
テストでは単位をつけ忘れないことも大切です。
単位をそろえることも大切です。
畑の長さがメートルなら、面積は平方メートルで出します。
センチメートルで書かれていたら、先にメートルへ直してから計算するのがコツです。
計算ミスの多くは、この単位のそろえ忘れから起こります。
- 面積を先に出す:縦×横で、平方メートルの面積を求めます。
- 量をかける:1平方メートルあたりの量に、面積をかけて全体の量にします。
- 単位をそろえる:長さの単位がそろっているかを、計算の前に確かめます。
元肥と追肥に分ける割合の計算
例題2です。
1平方メートルあたり合計200グラムの肥料を、元肥7割、追肥3割に分けます。それぞれ何グラムでしょうか。
割合の問題は、全体の量に割合をかけて求めます。
元肥は、200×0.7で140グラム。追肥は、200×0.3で60グラムです。
最後に、140と60を足して200グラムになるかを確かめれば、計算ミスにも気づけます。
ここで大切なのは、全体の量が合っているかの確認です。
もし合計が合わなければ、どこかで計算をまちがえています。
割合の問題は、答えを足して全体に戻る確かめ算が使えます。
7割は0.7、3割は0.3と、小数に直してからかけるのが基本です。
割合の合計は、いつも10割、つまり1になります。
どちらか一方だけ計算して、残りを引き算で求める方法もあります。
自分に合ったやり方で、確かめ算までやる習慣をつけておきましょう。
与えすぎと足りないときのサイン
肥料は、多ければ多いほどよいというものではありません。
濃すぎると根の水分が奪われて、肥料焼けを起こします。
窒素が多すぎると、葉ばかり茂って実がつかなかったり、虫や病気がつきやすくなったりします。
反対に、足りないときは、下のほうの葉から黄色くなり、生長がゆっくりになり、実も小さくなります。
葉の色や実の大きさを見て、追肥が必要かどうかを判断しましょう。
肥料の量は、野菜の様子を見ながら調整するものです。
決まった量を機械的に与えるだけでなく、観察する目を育てることも、この単元の大切なねらいなんですよ。
観察記録をつけておくと、変化に気づきやすくなります。
葉の色、草丈、実の数を毎週同じ場所で記録して、前の週とくらべるのです。
肥料の三要素と欠乏症状の見分け方は、前の回の解説も参考にしてください。
テスト前の確認リスト
ここまでの内容を、テスト前にもう一度確かめられるように、短くまとめておきます。
元肥と追肥は、「いつ」「どんな肥料を」「どこに」の三つの視点で整理すると、混乱しません。
一つずつ声に出して読みながら、自分の言葉で説明できるかどうかをチェックしてみてください。
説明できない項目があれば、その部分の見出しに戻って読み直すと、効率よく復習できますよ。
- 元肥は、種まきや植え付けの前に土へ混ぜておく肥料で、育ちの土台になる。
- 追肥は、育っている途中に、足りなくなった分を追加で与える肥料である。
- 元肥はゆっくり効く堆肥や油かす、追肥はすぐ効く化成肥料や液体肥料が向く。
- 追肥は株もとから少し離し、根の先がのびる位置にまいて、軽く土をかぶせる。
- 量は「面積×1平方メートルあたりの量」で求め、割合は全体にかけて確かめ算をする。
よくある質問
テストでは、元肥と追肥のどこが出ますか
いちばん出やすいのは、与える時期、向いている肥料、まく場所の三つです。
元肥は植える前、追肥は育つ途中。元肥はゆっくり効くもの、追肥はすぐ効くもの。追肥は株もとから離す、という組み合わせを、穴うめ問題で問われることが多いです。
面積や割合から量を求める計算問題も出るので、例題の解き方を一度は自分の手で解いておくと安心です。
用語の意味を、自分の言葉で説明できるようにしておくと、記述問題にも対応できます。
まずは動画の「テストに出るポイント」の場面を見返して、三つの組み合わせを覚えましょう。
追肥は何回すればよいですか
回数は野菜の種類で変わります。
葉を食べる野菜は、植えて2週間から3週間後に一回が目安です。
実を食べる野菜は、実がつき始めてから、およそ2週間おきに続けます。
ただし、これはあくまで目安です。葉の色や実の大きさを見て、うすい黄色になってきたら足す、元気ならひかえる、という観察による判断も大切にしてください。
実を食べる野菜は、追肥を続けるほど実が大きくなりやすいので、忘れずに続けましょう。
回数や間隔は、苗の袋や栽培計画の資料にも書かれているので、あわせて確認してください。
肥料は多めに入れたほうがよく育ちますか
いいえ、多ければよく育つわけではありません。
濃すぎる肥料は根の水分を奪い、肥料焼けを起こして枯らしてしまうことがあります。
窒素が多すぎると、葉ばかり茂って実がつかず、虫や病気も増えやすくなります。
袋に書かれた使用量を守り、面積から計算して必要な分だけ与えるのが、いちばん確実な方法です。
とくにプランターは土の量が少ないため、肥料が濃くなりやすいので注意が必要です。
「少なめから始めて、様子を見ながら足す」が、失敗しない考え方です。
追肥という仕組み自体が、少しずつ足すためにあるんですよ。
おわりに
元肥は、植える前に土台をつくる肥料。追肥は、育つ途中で足りない分を補う肥料。
この二つを使い分けることで、野菜は最後まで元気に育ちます。
追肥は株もとから離してまく。この一言も、ぜひ覚えておいてください。
量の計算は、面積を出してから1平方メートルあたりの量をかける、という順番です。
焦らず一つずつ確かめれば、テストでも実習でも、きっと自信をもって取り組めますよ。
ご視聴ありがとうございました。
この記事の内容を動画でも解説しています。
ぜひご覧ください。
肥料でよくある失敗と、場面別の与え方
元肥と追肥の考え方がわかっても、実際の畑ではうまくいかないことがあります。ここでは、授業の栽培でつまずきやすい失敗と、その防ぎ方を見ていきます。
- ポイント1:失敗の合図:葉の色や生え方で、肥料の過不足を読み取る。
- ポイント2:まく場所:根に直接当てず、少し離してまく。
- ポイント3:天気の見方:雨の前後は流れやすいので、量を調整する。

肥料の失敗を防ぐポイントを紹介します
葉の色で肥料の過不足を見分ける
肥料が足りないと、下のほうの葉から黄色くなり、全体に元気がなくなります。逆に与えすぎると、葉が濃い緑になりすぎたり、先が茶色く焼けたようになったりします。どちらも見た目の変化で気づけるので、毎日の観察が役に立ちます。変化に気づいたら、すぐに肥料を足すのではなく、前回いつ、どれだけ与えたかを記録と照らし合わせてから判断しましょう。
肥料を根に直接つけてはいけない理由
肥料は、根に直接ふれると、根の水分が奪われて傷んでしまいます。これを肥料焼けといいます。元肥は土とよく混ぜ、追肥は株もとから離して、畝の肩やまわりにまきます。まいたあとは、軽く土をかぶせると、肥料が流れにくくなります。位置を少し離すだけで、根を守りながら栄養を届けられます。
雨の前後で量を調整する
大雨の前に肥料をまくと、せっかくの成分が雨で流れてしまいます。反対に、雨の後は土の中の栄養が減っていることがあります。天気予報を見て、まく日を選ぶのも大切な管理の一つです。雨が続いたあとに元気がないときは、様子を見ながら少量ずつ追肥をすると、与えすぎを防げます。
野菜の種類別に見る追肥の考え方とよくある質問
野菜によって、肥料を必要とする時期や量は少しずつちがいます。代表的な例を知っておくと、授業の栽培計画にも役立ちます。
葉を食べる野菜は短い間隔で少しずつ
コマツナやホウレンソウのような葉を食べる野菜は、育つ期間が短いので、元肥を中心にして、追肥は様子を見ながら少しだけ足します。窒素分が多すぎると葉がやわらかくなりすぎ、虫もつきやすくなります。収穫までの日数を見ながら、早めに追肥の判断をするのがコツです。
実を食べる野菜は実がつき始めてから
トマトやナスのような実を食べる野菜は、収穫の期間が長いので、追肥が欠かせません。最初の実がつき始めたころから、2週間おきを目安に少量ずつ与えます。窒素が多すぎると葉ばかり茂って実がつきにくくなるため、リン酸やカリウムも含むバランスのよい肥料を選びましょう。
班で育てるときの記録のコツ
班で栽培するときは、誰がいつ何を与えたかを記録しておくと、あとで振り返れます。日付、肥料の名前、量、まいた場所の四つを一行で書くだけで十分です。テストでも、栽培計画を立てる問題が出ることがあるので、記録の習慣は学習にも役立ちます。迷ったときは、記録を見直して、次に与えるタイミングを班で話し合いましょう。










