はじめに
新たにリーダーとして組織を任されると、多くの人が職場の雰囲気を「和気あいあい」と温かいものにしたいと考えるものです。
しかし、「和気あいあい」とした雰囲気が必ずしも組織の成果に繋がるわけではありません。
実際、組織の活力や成果を最大化するためには、「切磋琢磨」できる環境を整えることが効果的です。
本記事では、「和気あいあい」と「切磋琢磨」の違いが生む影響に注目し、リーダーが意識すべき組織づくりのポイントについて解説します。
最後まで読んでいただくことで、「切磋琢磨」の精神を育み、組織の力を引き出すための具体的な手法が理解できるでしょう。
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和気あいあいが持つリスクとその原因
1. 和気あいあいを優先するとパフォーマンスが低下する理由
「和気あいあい」な雰囲気の職場は、親しみやすく居心地の良いものです。
しかし、これを過度に求めると、組織全体の目標達成を疎かにし、業務の効率や生産性を犠牲にしてしまうことがあります。なぜなら、全員のペースをもっとも実力の低い人に合わせることになり、組織全体の成果が低下する傾向があるからです。
2. 意見が出にくい環境になるリスク
「和気あいあい」を保つことを優先すると、意見を言いづらくなる風土が生まれます。
他のメンバーの顔色を伺い、意見を控える姿勢が強まり、建設的な議論が進みにくくなります。
やがてチーム全体が「内部志向」に偏り、新しいアイデアや挑戦が生まれにくい状態になります。
3. リーダーが「和気あいあい」を好む傾向とその原因
特にリーダーとしての経験が少ない場合、「和気あいあい」とした雰囲気に頼りがちです。
しかし、リーダーの力不足をカバーするための手段として「和気あいあい」を選んでしまうと、対立や問題解決の力が育ちません。
その結果、組織は停滞し、リーダーとしての真の実力を発揮できなくなります。
生徒へ紹介した話
小宮一慶さんの話は、生徒の心を揺さぶり、生徒の成長を促します。
「和気あいあい」よりも「切磋琢磨」
はじめてリーダーになった人が犯しがちな大きな問題のひとつ、それが、組織を「和気あいあい」にしようとすることです。たくさんの企業を実際に見てきて、そう思います。もちろん、組織のチームワークがとれて仲がよいのは悪いことではありません。けれども、「和気あいあいでがんばろう」などと言っていると、組織はどんどん力が出なくなります。なぜなら、和気あいあいを優先すると、
もっとも実力のない人に組織のペースを合わせることになる
からです。家族なら和気あいあいがいいでしょう。子どもやお年寄りのペースで動けばいい。けれども、組織は、役所でもない限りパフォーマンスを出してこそ維持できるのです。
さらに、和気あいあいの組織がよくないのは、意見が出なくなることです。どうしてもほかの構成員の顔色を見ることになります。組織全体のために建設的な意見であっても、「言わないほうが無難」ということで対立を避けようとしがちです。そうやってだんだん、言わなければならないことも言わなくなります。つまり、全体が「内部志向」になってしまうのです。
こういう会社に共通するのは、実力のない人が管理職になっていることです。
実力のないリーダーは組織を和気あいあいにしたがる
のです。対立を処理する能力がないし、自分の無能力を和気あいあいでカムフラージュしようとするからです。実力のない人にとって、和気あいあいは楽だからです。
リーダーだけでなく、実力のない一般社員も和気あいあいを好みます。仕事ができなくてものけ者にされないですむし、そのほうが楽だからです。みんなが必死で働くような職場では、実力のなさが露呈し、居場所がなくなるでしょうから。
みなが足を引っ張り合うのがよい職場だといっているのではありません。それは最悪の組織です。みなが協力するのはよいことです。でも、その協力の仕方は、
「和気あいあい」ではなく、「切磋琢磨」
なのです。つまり、「あの人もがんばっているから自分もがんばろう」ということです。それが正しい社風だと思います。
お客さまや会社、さらに社会、そしてもちろん自分のために、お互いに刺激し合って、さらに向上していくという機運に満ちた会社です。
生徒の感想
小宮一慶さんの言葉を読んで、とても納得しました。
これまで私は「楽しさだけでは賞は取れない」と生徒に伝えてきましたが、その理由がここに書かれていたからです。
改めて、クラスが目指す方向性や基準とするレベルがとても大切だということに気づかされました。
これから、2年1組としてどのようなレベルを目指し、どんなクラスにしていくかを仲間と一緒に考えていきたいと思います。生徒の日記
小宮一慶さんのお話を聞いて、私の考えが変わりました。
今までは「楽しくやりたい」と思っていましたが、楽しさよりも優先しなければならないことがあると感じたからです。
もちろん「楽しい」にもいろいろな種類があり、人によって感じ方が違います。それぞれが思う「楽しさ」に対する考え方の違いが、意見の分かれる原因なのではないかと思います。例えば、遊びのように「わいわい」楽しむことをイメージする人にとっては、合唱コンクールで真剣に取り組むことには抵抗があるかもしれません。しかし、「賞を取りたい」「合唱が好き」という思いがある人にとっては、わいわいとした楽しさがなくても、集中して練習に取り組むこと自体が楽しいと感じられるのではないでしょうか。だからこそ、先生がおっしゃっていたように、「楽しさの意味」がとても大切だと思います。
さらに、合唱や合唱コンクールが苦手だったり、好きではなかったりする人には、やる気を出すのが難しい部分もあると思います。みんなで一つの目標に向かうためには、まずはパートリーダーや指揮者、伴奏者といった役割を担う人が率先して頑張ることが大切です。「あの子が頑張っているから、私も頑張ろう」という気持ちがクラスに広がっていけば、きっと素晴らしい合唱を作り上げることができるはずです。
話は変わりますが、今日は日記の忘れ物がひとつもありませんでした。先生が昨日注意してくださったおかげもあると思いますが、少し意識するだけで忘れ物が「0」になることを実感できました。これからも、忘れ物0の日がもっと増えていくといいですね。また、今日は昨日よりも次にやるべきことを意識して動いている人が多かったと感じました。昨日は〇〇さんと〇〇くんが声をかけてくれましたが、今日は〇〇さんが「今から帰りの会だよ」と呼びかけてくれて、とても助かりました。こうして、いろいろな人が率先して行動してくれるのは素晴らしいことだと思います。
明日は委員会などでスケジュールが変わるかもしれませんが、私も周りに声をかけて、みんなをサポートしたいと思います。しっかり行動に移していきたいです。
生徒の日記
合唱コンクールの指導については以下の投稿をご覧ください。
おわりに
目標を達成するための組織づくりにおいては、「和気あいあい」な関係よりも「切磋琢磨」を意識した環境が重要です。
リーダーとして、メンバー同士が刺激し合い、成長し合えるような組織文化を築くことが目標達成の鍵となります。