
はじめに
屋根の上に並んだ青いパネル、通学路の途中でも見かけますよね。
あれが電気を作っているのは知っていても、「どうやって?」と聞かれると急に答えにくくなります。
回っている部分もないし、燃えているわけでもないのに、なぜ電気が生まれるのでしょうか。
中学校の技術で学ぶエネルギー変換の中でも、太陽光発電は少し特別な存在です。
火力発電も水力発電も、最後はタービンを回して発電機を動かすという共通の形をしています。
ところが太陽光発電だけは、回さずに直接電気を取り出します。
だからこそ、しくみを一度きちんと理解しておくと、他の発電方式との違いがはっきり見えてくるんです。
この記事では、パネルの中で何が起きているのかを半導体から順番にほどいていきます。
そのあとで、発電量を求める計算のしかたを例題つきで確認し、最後に作った電気が家のコンセントに届くまでの流れをたどります。
授業を休んでしまった人も、テスト前にもう一度確かめたい人も、この記事だけで追いつけるように書きました。
計算のところは、ぜひ手を止めてノートに書きながら読んでみてくださいね。
太陽光発電を3つの視点で読み解く
太陽光発電の学習は、「しくみ」「計算」「使い方」の3つに分けると迷わなくなります。
しくみは、半導体の性質と、光が当たったときに電子が動き出す理由です。
計算は、日射の強さとパネルの面積と変換効率をかけ合わせて発電量を求める部分です。
使い方は、作った直流の電気を交流に変えて、家庭で使えるようにするまでの流れになります。
この順番で追いかけると、ばらばらに見える用語がきれいにつながっていきますよ。
- ポイント1:光が電気に変わるしくみ:n型とp型を重ねた境目で、光が電子をはじき出して電流が生まれます。
- ポイント2:発電量は3つのかけ算:日射の強さ、パネルの面積、変換効率をかけると出力が求められます。
- ポイント3:作った電気を家で使うまで:直流をパワーコンディショナで交流に変え、分電盤から各部屋へ届きます。
ポイント1:光が電気に変わるしくみ
太陽光発電の心臓部にあたるのが、太陽電池と呼ばれる部品です。
電池という名前がついていますが、電気をためる乾電池とはまったく別のものなんですよ。
太陽電池は電気をためる装置ではなく、光を電気に変える装置です。
光が電気に変わるしくみのポイントを紹介します
太陽電池の中身は「半導体」
太陽電池の中身に入っているのは、半導体という材料です。
銅のように電気をよく通すものを導体、ゴムのように電気をまったく通さないものを絶縁体と呼びますが、半導体はそのちょうど中間にあたります。
おもしろいのは、光が当たったときや温度が上がったときに、電気の通しやすさが変わることなんです。
この「条件によって性質が変わる」という一点が、太陽光発電のすべての出発点になっています。
ふだん使っているスマートフォンやパソコンの部品も同じ半導体でできていますから、実はとても身近な材料なんですよ。
- 導体:銅やアルミニウムなど、電気をよく通す材料。電線の中身に使われています。
- 絶縁体:ゴムやビニールなど、電気を通さない材料。電線の外側を包んで感電を防ぎます。
- 半導体:その中間で、光や熱や電圧によって電気の通しやすさが変わる材料です。
n型とp型の境目が発電の舞台
半導体にごくわずかな別の物質を混ぜると、電子が多い状態のn型と、電子が足りない状態のp型を作り分けることができます。
太陽電池は、このn型とp型を薄く重ね合わせて作られていて、二つが接している境目が発電の舞台になります。
境目には、電子を決まった向きに押し出す力がもともと働いているんです。
ここに光が当たると、そのエネルギーで電子がはじき出され、押し出す力にしたがっていつも同じ方向へ流れていきます。
この電子の流れこそが電流であり、パネルから電気が取り出せる理由なんですよ。
セルを集めてモジュールにする
太陽電池の一番小さな単位をセルと呼びます。
ところがセル一枚で作れる電圧は、およそ0.5ボルトしかありません。
これでは家電を動かすどころか、豆電球を光らせるのもやっとという大きさです。
そこでセルを何十枚も直列につないで一枚の板にまとめたものが、屋根に載っているモジュールになります。
乾電池を直列につなぐと電圧が足し算になる、あの考え方とまったく同じですね。
さらにモジュールを何枚も並べたものはアレイと呼ばれ、大きな発電所ではこの形で設置されています。
屋根の広さに合わせて枚数を決めると、必要な電圧と電力がそろうんですね。
ポイント2:発電量は3つのかけ算で決まる
しくみが分かったら、次は「どれくらい発電できるのか」を数で確かめていきます。
ここはテストでもよく問われるところなので、式の形で覚えておくと安心ですよ。
発電量は、日射の強さとパネルの面積と変換効率のかけ算で決まります。
発電量は3つのかけ算で決まるのポイントを紹介します
日射・面積・変換効率をかけ合わせる
よく晴れた日の真昼、地面に届く日射の強さは1平方メートルあたりおよそ1キロワットです。
この値を基準にして、パネルの面積と変換効率をかけると発電の出力が求められます。
例題で確かめてみましょう。
日射が1平方メートルあたり1キロワット、パネルの面積が10平方メートル、変換効率が20パーセントだとします。
式は1かける10かける0.2となり、答えは2キロワットです。
効率が20パーセントというのは、受けた光の五分の一しか電気にできていないという意味でもあります。
ここを上げる研究が今も世界中で続いているんですよ。
向きと角度で受け取る光が変わる
同じパネルを使っていても、置き方しだいで発電量は変わります。
光は面に対して垂直に当たるときに一番強く受け取れるからです。
日本のように北半球にある国では、太陽は南の空を通りますから、パネルは真南に向けるのが基本になります。
傾きは30度前後が目安とされていて、これは地域の緯度や季節によって最適な角度が少しずつ変わります。
夏は太陽が高く、冬は低いので、本当は季節ごとに変えられると理想的なんですね。
屋根に固定する場合は、一年を通してちょうどよい角度に決めて設置しています。
高温と影が効率を下げる
意外に思うかもしれませんが、太陽電池は熱くなりすぎると発電の効率が下がります。
だから真夏の一番暑い日が、必ずしも一番よく発電する日とは限らないんです。
気温が高すぎず、日射がしっかりある春の晴れた日のほうが、条件としては良いことも多くあります。
もう一つの大敵が影です。
落ち葉や砂ぼこり、電柱や木の枝の影が一部にかかるだけで、全体の発電量が大きく落ちてしまいます。
セルを直列につないでいるため、弱いところが全体の足を引っぱってしまうからなんですよ。
だから設置したあとも、パネルの上をときどき点検して、汚れや落ち葉を取り除くことが大切なんです。
- 日射の強さ:晴れた真昼で1平方メートルあたり約1キロワット。曇りや雨の日は大きく下がります。
- 向きと傾き:日本では真南向き、傾き30度前後が目安。垂直に光を受けるほど強くなります。
- 温度と影:高温では効率が下がり、一部の影でも全体の発電量を落としてしまいます。
ポイント3:作った電気を家で使うまで
パネルで電気ができても、それだけではまだ家電を動かせません。
作られた電気の種類が、家のコンセントに来ている電気とは違うからです。
太陽電池が作るのは直流、家庭で使うのは交流。この橋渡しが必要になります。
作った電気を家で使うまでのポイントを紹介します
直流をパワーコンディショナで交流に
太陽電池から出てくるのは、乾電池と同じように一定の向きに流れる直流の電気です。
ところが家庭のコンセントに来ているのは、向きが周期的に入れかわる交流になっています。
そこで登場するのが、パワーコンディショナという装置です。
現場では略してパワコンと呼ばれていて、直流を交流に変える働きをしています。
さらに、そのときどきで一番多く電気を取り出せる条件を自動で探す役目や、停電のときに送電を止めて安全を守る役目も持っているんですよ。
小さな箱に見えますが、太陽光発電の頭脳とも言える大事な装置なんです。
余った電気を送り、足りない分は買う
交流に変わった電気は、分電盤を通って家の中の電気製品へ配られます。
昼間によく晴れていると、家で使う量より発電した量のほうが多くなることがありますよね。
そのときは、余った電気を電線のほうへ送り出します。
反対に、夜や雨の日で発電が足りないときは、これまでどおり電力会社から電気を買います。
このように電力会社の送電網とつないで、足りない分と余った分をやりとりするしくみを系統連系といいます。
一つの家が、電気を使う側と作る側の両方になっているわけですね。
メーターも、買った電気と送った電気を別々に数えられるものに取りかえます。
蓄電池が「夜に使えない」を埋める
太陽光発電のいちばんの弱点は、夜や雨の日には発電できないことです。
この弱点を補うために、蓄電池を組み合わせる家庭が増えてきました。
昼のうちに作った電気をためておき、日が沈んでから取り出して使うという考え方です。
災害で停電したときにも、ためた電気で照明や冷蔵庫を動かせるという安心感があります。
一つの技術の弱点を、別の技術で補って組み合わせる。
これは太陽光発電に限らず、技術という教科全体を通して出てくる大事な見方なんですよ。
ただし蓄電池は高価ですし、ためられる量にも限りがあります。
おわりに
今日たどってきたのは、しくみ、計算、使い方の3つでした。
n型とp型を重ねた境目に光が当たると電子がはじき出され、決まった向きに流れて電流になる。
その量は、日射の強さとパネルの面積と変換効率のかけ算で決まる。
そして作られた直流は、パワーコンディショナで交流に変えられて、家の中へ届く。
この3つがつながると、屋根の上のパネルがぐっと身近に見えてきますよね。
最後に一つだけお願いです。
記事の中に出てきた2つの例題を、もう一度ノートに書いて解き直してみてください。
出力2キロワットのパネルで日照が4時間分あったら発電量はいくつか、すぐに答えられるでしょうか。
読んで分かった気になるのと、自分の手で式を書けるのとでは、テストでの手ごたえが大きく変わりますよ。
ご視聴ありがとうございました。
この記事の内容を動画でも解説しています。
ぜひご覧ください。
中学技術【太陽光発電のしくみ】パネルが電気をつくる理由と発電量の計算をわかりやすく解説
中学技術の授業でつまずきやすいところを、一つずつ動画にしています。
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