
はじめに
学期末が近づくと、「お楽しみ会、何をやろう」と頭の片隅で考え始める先生は多いのではないでしょうか。
生徒に聞いても「なんでもいいです」と返ってきて、結局、放課後にひとりで企画を考える。
そんな経験は、私にもあります。
中学校のお楽しみ会は、小学校のように「みんなで遊ぼう」だけでは盛り上がりません。
人前で目立つことへの恥ずかしさもあれば、運動が得意な子とそうでない子の差もあります。
だからこそ、企画の選び方と、生徒への任せ方が大きなポイントになります。
この記事では、現役の中学校教員として私が現場で使ってきた企画を9つ、3つの種類に分けて紹介します。
あわせて、実行委員に任せるときのひとことや、終わったあとの締め方もお伝えします。
12月の学期末に向けて、今のうちに企画の引き出しを増やしておきましょう。
- 座ったままできる、頭と言葉の企画3つ
- 班対抗で体を動かして盛り上がる企画3つ
- 思い出が残る締めの企画3つと、先生のひとこと
お楽しみ会の企画9選 3つの種類
お楽しみ会の企画は、ただ数を集めても使いこなせません。
そこで9つを、会の流れに合わせて3つの種類に分けました。
最初は座ったままできる頭と言葉の企画で空気を温め、次に体を動かすチーム対抗で盛り上げ、最後は思い出が残る企画で締めます。
この順番で組むと、運動が苦手な子も、人前が苦手な子も、どこかで出番があります。
全部をやる必要はなく、各種類から1つずつ選べば、約45分のお楽しみ会が完成します。
- ポイント1:頭と言葉の企画:座ったまま、準備ほぼなしで空気を温める。
- ポイント2:体を動かすチーム対抗:紙と新聞紙だけで班の会話を生む。
- ポイント3:思い出が残る締め:勝ち負けなしで、お互いのよさを認め合う。
ポイント1:座ったままできる頭と言葉の企画3選
最初に置きたいのは、席に座ったままできる企画です。
いきなり体を動かす企画から入ると、乗り気でない子が一歩引いてしまうことがあります。
まずは頭と言葉で、クラス全体の空気を温めるのがおすすめです。
運動が得意な子も苦手な子も、同じ土俵で楽しめる3つを紹介します。
頭と言葉の企画のポイントを紹介します
企画1 ワードウルフ:話し合いで探り合う班対抗ゲーム
ワードウルフは、班の中でひとりだけ違うお題をもらい、会話の中から「違うお題の人」を探し出すゲームです。
たとえば、ほかの人は「りんご」、ひとりだけ「みかん」のように、似たお題を紙で配ります。
人数は4〜6人の班がちょうどよく、全員が会話に入りやすくなります。
3分ほど自由に会話をして、時間が来たら全員で指をさして投票します。
1回5分ほどで終わるので時間の調整がしやすく、準備もお題の紙だけで済みます。
お題を考える役を実行委員に任せれば、先生の負担もぐっと軽くなります。
やりがちな失敗は、ウルフ役になった子が責められてしまう展開です。
ゲームが終わったら、先生が「ばれないように工夫していたのがうまかった」と、ウルフ役にも拍手を送る流れをつくってください。
最初のお題は食べ物や動物のように、誰もが想像しやすいものから始めると失敗しません。
慣れてきたら、学校行事や教科にちなんだお題に変えると、さらに盛り上がります。
企画2 担任クイズ:先生の意外な一面で距離が縮まる
担任クイズは、先生に関する問題を○×で出し、班ごとに答えを予想するゲームです。
「先生の出身地は海のある県?」「好きな給食のメニューはカレー?」など、答えがはっきりした身近な問題を10問ほど用意します。
先生の好きな食べ物や休日の過ごし方など、人柄が伝わる問いを混ぜると、笑いが起きやすくなります。
中学生は、先生の私生活に意外と興味を持っています。
正解数が多い班に拍手を送る形にすれば、勝ち負けが目立ちすぎず、誰でも気軽に参加できます。
問題づくりを実行委員と一緒に進めると、準備の時間そのものが思い出になります。
先生が答えにくい問題は、あらかじめ実行委員に「ここまでね」と伝えておきましょう。
家族や年齢など、プライベートに踏み込みすぎる問題は避けます。
先生の失敗談を問題にすると、笑いが起きて場がやわらぎます。
たとえば「先生が若いころ、お楽しみ会で失敗したことは何でしょう」という問いです。答えは、かかりを決めずに任せきりにしてもめた、という私の話です。
企画3 二学期クイズ:クラスの思い出を一緒に振り返る
二学期クイズは、体育祭や合唱コンクールなど、このクラスで実際にあった出来事から出題するゲームです。
「合唱コンクールの朝練、最初に集まったのは何時ごろ?」のように、みんなの記憶に残っている問題を並べます。
答えを班で相談して書き、正解したら得点です。
ふつうの知識クイズと違い、問題が出るたびに「あったね」と笑顔が広がり、二学期を一緒に振り返る時間になります。
この企画は、会の前半に置くと空気がやわらぎます。
実行委員が思い出の写真やメモを見返しながら問題を作ると、当日までの期待感も高まります。
- 範囲:体育祭・合唱コンクール・日常の出来事から広く出す。
- 難しさ:全員が一度は正解できるよう、易しい問題を多めにする。
- 出題者:実行委員や希望者に任せ、先生は答えの確認だけ行う。
出題を考えるときは、答えやすい問題を多めにするのが鉄則です。
たとえば全10問のうち、7問は思い出せばすぐ答えられる問題、3問はやや難しい問題にします。
全員が一度は正解できる構成にすると、「自分も参加できた」という実感が残ります。
「この二学期、いちばん成長したのは誰だと思う?」のように答えが決まらない問いは、クイズではなく、ふり返りの時間に回しましょう。
ポイント2:体を動かして盛り上がるチーム対抗3選
空気が温まってきたら、体を動かすチーム対抗の企画に進みます。
班で協力する場面を入れると、普段あまり話さない生徒同士の会話が自然に生まれます。
道具は紙と新聞紙くらいで、特別な準備はいりません。
安全に配慮しやすい3つを選びました。
体を動かす企画のポイントを紹介します
企画4 紙飛行機選手権:1枚の紙で班の作戦が生まれる
紙飛行機選手権は、班ごとに紙を1枚だけ使って飛行機を折り、飛んだ距離を競う企画です。
使うのはコピー用紙だけで、準備もほとんどいりません。
身近な紙だけで勝負できるため、道具の準備に先生が悩む必要がありません。
折り方の本や動画は見せず、班の知恵だけで作らせると、工夫が生まれます。
最初に3分間の作戦タイムをとり、折り方や投げ方を班で相談させます。
この作戦タイムがあることで、普段あまり話さない生徒同士にも自然な会話が生まれます。
投げる順番を決めるときに、全員に出番がある形にしておくのがポイントです。
安全のため、投げる方向は全員同じにそろえ、人に向けて投げないことを最初に約束します。
教室の広さに合わせて、黒板側から後ろ側へ向けて投げるなど、コースを決めておきましょう。
記録は「飛んだ距離」と「飛んでいた時間」の2部門に分けると、勝つチャンスが増えて盛り上がりやすくなります。
優勝した班には、先生の手書きの小さな賞状を渡すだけで十分に喜ばれます。
企画5 新聞紙タワー:失敗も笑いになる協力ゲーム
新聞紙タワーは、新聞紙とテープだけを使い、班で高さを競う協力ゲームです。
1班に新聞紙を10枚ほど、セロハンテープを1つ渡し、制限時間15分で一番高いタワーを目指します。
床に置いたまま自立していることが条件で、倒れたらやり直しです。
班の人数は4〜5人が目安で、テープを持つ係や支える係など、役割を分けると動きやすくなります。
途中で意見が食い違う場面も出ますが、その様子こそ協力の練習になります。
倒れても笑いになる、失敗が許される企画だからこそ、気負わず取り組めます。
新聞紙は先生が全部用意しなくても、実行委員が「古新聞を1枚ずつ持ってこられる人は持ってきてね」と呼びかければ集まります。
ただし、持ち込みは学年の約束に合わせて、無理のない範囲でお願いしましょう。
終わったあとは、倒れた班にもよかった工夫を1つ見つけて伝えると、結果に関係なく温かい空気で終われます。
床に散らばった新聞紙の片づけまで、時間に入れておくのを忘れないようにしてください。
企画6 フルーツバスケット:お題を変えれば中学生向けに
フルーツバスケットは、お題を工夫すると、中学生でも本気で盛り上がる定番ゲームです。
真ん中の鬼が「今日の朝ごはんを食べた人」「青が好きな人」のようにお題を言い、当てはまる人が席を移ります。
くだものの名前を使わず、お題だけで進めるので、恥ずかしさもありません。
お題は会の前に5分とって、実行委員が10個ほど書き出しておくと、当日の進行が止まりません。
お題を実行委員が決めると、当日の進行にも責任感が生まれます。
軽いお題から始めて、だんだんクラスのことに近づけていくのがコツです。
- 走らない:移動は早歩きまで。ぶつかりそうなら立ち止まる。
- 椅子を動かさない:席は動かさず、立って移動するだけにする。
- お題は軽く:容姿や家庭のことに触れるお題は出さない。
教室でやるときは、机を後ろに寄せて、椅子だけを円にして座る形が安全です。
広さが足りなければ、立ったまま輪になって「隣の人と場所を交換する」ルールに変えても盛り上がります。
おすすめは、会の途中で実行委員に鬼を交代してもらうことです。
ひとりに負担が偏らず、いろいろな子がお題を考える側を体験できます。
ポイント3:思い出が残る出し物・締めの企画3選
会の最後に置くのは、勝ち負けのない企画です。
盛り上がったあとの数分間に、お互いのよさを認め合う時間をつくります。
この締めの企画で、お楽しみ会が思い出に変わります。
ここでは、思い出が残る3つを紹介します。
思い出が残る締めの企画のポイントを紹介します
企画7 1分スタンツ:短いから人前が苦手な子も出られる
1分スタンツは、班ごとに1分だけの出し物を発表する企画です。
ダンス、ものまね、短いコント、クイズなど、内容は班に任せます。
できることから選べるので、運動が苦手な子にも居場所があります。
発表前に先生へ1回だけ見せる、という約束をつけると安心です。
「1分」と決めているので、準備時間は10分あれば足り、人前が苦手な子も参加しやすくなります。
長い出し物は準備で班の中が重くなりがちですが、短ければ負担も小さくなります。
全員が何かしらの役を持つこと、という約束だけは先に伝えておきましょう。
発表のあとに点数をつけると、どうしても勝ち負けが目立ちます。
順位はつけず、「いちばん笑った班」「いちばん工夫があった班」のように、観客が拍手の大きさで選ぶ形がおすすめです。
出し物が思い浮かばない班があれば、先生が「クイズ形式はどう?」とヒントを出すだけで動き出します。
持ち時間をはかるストップウォッチ係を先に決めておくと、進行もスムーズです。
企画8 ありがとうカード:書いて渡すだけの感謝の交換
ありがとうカードは、隣の席の人へ、感謝の気持ちをひとこと書いて渡す企画です。
名刺ほどの小さな紙を1人2〜3枚配り、「この二学期、助けてもらったこと」を短く書きます。
書く時間は3分で、書き終わったら、その場で手渡しします。
受け取った子がその場で読み、顔を見合わせてお礼を言う時間を30秒とると、教室の空気があたたかくなります。
長い文章は必要なく、「消しゴムを貸してくれてありがとう」くらいのひとことで十分です。
小さな紙でも、もらった子にとっては、ずっと残る宝物になります。
気をつけたいのは、もらえない子が出ないようにすることです。
書く相手を「右隣の人」「前の席の人」のように決めておけば、全員が必ず1枚以上もらえます。
仲のよい友達同士だけで交換すると、もらえない子が目立ってしまいます。
書き出しに迷う生徒のために、先生が「〇〇さん、いつも〜してくれてありがとう」と黒板に書いておくと、手が止まりません。
企画9 ミニ表彰式:全員に賞を贈り、先生がひとこと添える
ミニ表彰式は、クラスの全員に何かしらの賞を贈る、締めの企画です。
「いちばん笑わせた賞」「いつも片づけをしてくれた賞」のように、賞の名前は実行委員が考えます。
表彰状は、紙を半分に切ったものに手書きで十分です。
表彰状は先生が全部書かず、実行委員と分担すると、準備の時間もひとつの思い出になります。
賞のネタ集めには、日ごろの様子を書きとめたメモが役立ちます。
大切なのは、全員が必ず何かの賞をもらえるようにすること。
賞を贈る理由をひとこと添えるだけで、「見てくれていた」という安心感が生まれます。
- 賞の数:人数分かそれ以上を考えて、全員に1つずつ行き渡らせる。
- 理由:賞を渡すときに「どこがよかったか」をひとこと添える。
- 先生のひとこと:最後に「今日のリーダー、しっかり仕切っていたね」とねぎらう。
先生のひとことは、会の最後に短く、1回だけにしましょう。
長い話は、せっかくの余韻を消してしまいます。
「小さなことでも、任されたらやりきる。それが力になる」というひとことは、司会や企画のかかりを務めた子が、次の大きな行事に向かう自信になります。
実際、お楽しみ会で企画を担当した子が、のちの文化祭で自分から実行委員に手を挙げた場面を、私は何度も見てきました。
明日の確認リスト
ここまで読んでくださったあなたは、きっと頭の中に企画のイメージがふくらんでいるはずです。
ただ、実際の準備は、いきなり全部をやろうとすると動けなくなります。
まずは明日、教室で5分だけ使って、次の5つだけ確かめてみてください。
どれも、その日のうちに答えが出る小さな確認です。
全部が終われば、お楽しみ会の準備の半分は終わったようなものです。
- 時間枠:学期末の学活で使える枠が何分あるかを、学年の予定表で確かめる。
- 実行委員:司会と企画のかかりを任せられそうな生徒を、3〜4人思い浮かべる。
- 企画の組み合わせ:3つの種類から1つずつ選び、紙に書き出してみる。
- 先生のひとこと:始める前と終わったあとに言うひとことを、付箋に書いておく。
- 安全:使う教室の広さと机の配置を見て、走らない約束の伝え方を決める。
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よくある質問
お楽しみ会は全部生徒に任せても大丈夫ですか
結論から言うと、全部を任せるのではなく、先生が「枠」だけを決めて、中身を生徒に任せるのがおすすめです。
先生が決める枠は、使える時間、場所、持ち込みのルールの3つ。
生徒に任せるのは、企画の中身と当日の進行です。
この分担を黒板に書いて見せるだけで、生徒も安心して動けます。
枠が決まっているからこそ、生徒は自由に考えられるのです。
私は若いころ、お楽しみ会だからとかかりも決めずに任せきりにして、意見の食い違いからもめごとが起き、後始末に時間がかかりました。
小さな行事だからこそ、最初のひと手間を惜しまないでください。
盛り上がらなかったときはどうすればいいですか
結論は、盛り上がらなくても失敗ではない、です。
お楽しみ会の目的は、笑いの量を競うことではなく、クラスで同じ時間を過ごした実感を残すことだからです。
盛り上がりの大きさは、準備した企画の数ではなく、準備の段階で生徒がどれだけ関わったかで決まります。
静かな会になったときは、その場で空気を責めず、最後の先生のひとことで「みんなが参加してくれたことがうれしい」と伝えましょう。
次の機会には、会の前半に座ったままできる企画を入れ、体を動かす企画は後ろへ回すだけで、空気がやわらぐことが多いです。
お菓子や飲み物を持ち込んでもいいですか
結論は、学校と学年のルールを最優先に、持ち込みなしでも成り立つ企画を選ぶ、です。
お菓子や飲み物は、アレルギーのある生徒への配慮や、管理職・学年主任の判断が必要になる場合があります。
許可が出ていないのに「みんなでやるから大丈夫」と進めてしまうと、あとで先生が困ることになります。
確認した相手と日付をメモに残しておくと、あとで説明するときにも役立ちます。
この記事で紹介した9つの企画は、いずれも紙と新聞紙があれば成り立つので、持ち込みがなくても十分に楽しめます。
おわりに
お楽しみ会は、体育祭や合唱コンクールに比べて、つい「おまけの時間」にされてしまう行事です。
けれど、司会や企画のかかりを経験した子が、あとの大きな行事で自分から手を挙げるようになる場面を、私は何度も見てきました。
小さな行事は、リーダーを育てるいちばんの練習の場です。
この記事の9つの企画を、時間・場所・持ち込みという枠だけ先生が決めて、あとは実行委員に任せてみてください。
12月の学期末、教室に笑顔が広がるお楽しみ会になりますように。
ご視聴ありがとうございました。
この記事の内容を動画でも解説しています。
ぜひご覧ください。
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