【中学校】テスト勉強のやり方が分からない生徒への指導3つ|期末テスト前に担任ができること

はじめに

中間テストが終わったと思ったら、もう期末テストの足音が聞こえてくる季節です。
テスト前になると、「勉強しなさい」と何度言っても動かない生徒に、頭を悩ませていませんか。
叱っても、励ましても、教室の空気だけが重くなっていく。そんな経験は、きっとあなただけではありません。

私も若いころは、テスト前になると「ワークを三回やりなさい」と言っていました。
ところが、答えを写して三回終えるだけの生徒が増えて、点数はほとんど動きませんでした。
そのとき気づいたのは、生徒に足りなかったのはやる気ではなく、「勉強のやり方を見たことがない」という経験だったということです。

この記事では、叱らずに勉強のやり方が教室に広がる、3つの手順をお伝えします。
やり方を見える形にする、見本を一度だけ見せる、続く仕組みをつくる。
どれも学活や帰りの会の短い時間でできることばかりなので、期末テストの3〜4週間前から、無理なく始められます。

この記事で分かること
  • 勉強しない生徒に、叱らず「やり方」を届ける手順
  • 学活の10分で、勉強法の見本を見せる具体的な進め方
  • テスト勉強が三日で止まらない、帰りの会の一言の仕組み

やり方を広げる三つの手順

結論からお伝えします。
勉強しない生徒の多くは、やる気がないのではなく、勉強のやり方を見たことがないだけです。
だからこそ、担任の仕事は教えこむことではなく、やり方が教室のなかで広がる流れをつくることだと私は考えています。
流れは3つに分けられます。まず、うまくいっているやり方を見える形にする。次に、学活で見本を一度だけ見せる。最後に、帰りの会などで続く仕組みをつくる。この順番で進めると、叱る場面がほとんど要らなくなります。

3つのポイント
  • ポイント1:やり方を見える形に:伸びた生徒の工夫を集め、名前を伏せた紙にする。
  • ポイント2:学活で見本を見せる:「眺める勉強」と「解き直す勉強」の違いを体験させる。
  • ポイント3:続く仕組みをつくる:帰りの会の一言で、勉強を三日で終わらせない。

ポイント1:テスト勉強の「やり方」を見える形にする

ひとつ目は、勉強のやり方を「見える形」にすることです。
教室の中には、すでにうまくいっているやり方を持った生徒がいます。
その方法を担任が集めて、名前を伏せた紙1枚にして返す。それだけで、「勉強のやり方」が先生の説教から、同じ中学生の実例に変わります。

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テスト勉強のやり方を見える形にするポイントを紹介します

なぜ「勉強しなさい」は届かないのか

「勉強しなさい」は、やり方を知っている生徒には励ましになりますが、やり方を知らない生徒には命令にしか聞こえません。
何から手をつけていいか分からないまま言われ続けると、生徒は「やっても無駄だ」と感じて、机に向かうこと自体を避けるようになります。
つまり、動かないのはやる気の問題ではなく、動き方が見えていないことの表れなんです。
担任が「この子にはやり方が見えていないのかもしれない」と見方を変えるだけで、声のかけ方が変わります。
叱る前にまず「やり方は見えているかな」と考えるだけで、教室の空気は驚くほどやわらぎます。

たとえばテスト2週間前の朝、机に教科書を出したまま固まっている生徒がいたとします。
怠けているのではなく、どのページのどこから読めばいいのか迷っている場合がほとんどです。
そんなときは「勉強しなさい」ではなく、「最初の1問だけ、一緒に見ようか」と声をかけてみてください。
最初の一歩が見えただけで、手が動き出す生徒は意外と多いものです。

教室のなかに答えがある理由

やり方の見本は、実はすでに教室の中にいます。
前回のテストで点数を伸ばした生徒は、必ず何かしらの工夫をしているからです。
その生徒に「何から始めたか」「どう覚えたか」「まちがえた所をどうしたか」の3つだけを、放課後に小声で聞いてみてください。
聞かれた本人は、自分のやり方に価値があると知って嬉しそうに話してくれますし、担任のほうも、教科書には載っていない生きた方法を集められます。
この聞き取りは1人5分もかかりませんし、その場で教室全体に広がるような話が出てくることも少なくありません。

生徒の勉強の工夫を、先生が机の横で聞き取っている場面

声のかけ方は「どうやって覚えたか、こっそり教えて」くらいの軽さが合います。
点数の高い生徒だけでなく、前回より10点上がった生徒にも聞くのがコツです。
最初から上位の生徒のやり方は、真似するには遠く感じる生徒がいますが、少し伸びた生徒のやり方は「自分にもできそう」と思ってもらいやすいからです。
誰に聞くかを選ぶ時点で、紙の説得力が決まります。

名前を伏せて貼ると受け取りやすい理由

集めたやり方は、名前を書かずに3行にまとめて、教室の見える場所に貼ります。
名前を伏せるのは、聞かれた生徒を目立たせないためと、読む側が「誰々のやり方だから自分には無理」と線を引かないためです。
3行にするのは、短いほど読まれるからです。
先生が考えた方法ではなく、同じ中学生が実際に使った方法だと知ると、生徒は説教として受け取らず、自分も試せるヒントとして読んでくれます。
貼る紙は手書きでもかまいません。担任の字で書かれたほうが、かえって温かみが伝わって、生徒も気軽に目を向けてくれます。

注意したいのは、紙を貼ったあとに「ちゃんと読んだ?」と確認しないことです。
確認された途端に、ヒントが課題に変わってしまいます。
貼ったあとは、数日おきに1行だけ入れ替えて、新鮮さを保つくらいがちょうどいいです。
誰かが紙の前で立ち止まっていたら、それだけで十分な成果だと考えて、何も言わずに見守りましょう。

聞き取りで集める3つの質問
  • 何から始めたか:最初の一手を聞くと、取りかかりのコツが集まる。
  • どう覚えたか:書く・声に出すなど、覚え方の工夫が分かる。
  • まちがえた所をどうしたか:解き直しの習慣が見えてくる。

ポイント1のまとめです。
勉強のやり方を担任が教えこむのではなく、教室にすでにある実例を集めて返す。それだけで、説教になりがちな「勉強しなさい」が、「こんな方法があるよ」という情報に変わります。

ポイント2:学活で勉強法の見本を一度だけ見せる

2つ目は、学活の10分を使って、勉強の見本を一度だけ見せることです。
大切なのは、教えこむのではなく「違いを体験させる」ことです。
眺める勉強と解き直す勉強の違いを、黒板の1問で実際に体験してもらいます。

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学活で勉強法の見本を一度だけ見せるポイントを紹介します

「眺める勉強」が点数に結びつかない理由

教科書やノートを眺めるだけの勉強は、「見て分かった気になる」状態を作りやすい一方で、テストで求められる「自分で書き出す力」にはつながりません。
生徒は真面目に机に向かっているので、点数が伸びないと「自分は頭が悪い」と結論づけてしまいます。
これは真面目な生徒ほど陥りやすく、頑張っているのに報われない感覚だけが積み重なっていきます。
本当は頭の良し悪しではなく、勉強の種類が合っていないだけです。
この違いを言葉で説明するより、体験で気づかせるほうが、ずっと早く伝わります。

先生が採点しながら生徒の解き直しを確かめている場面

体験の前に、こんなふうに予告しておくと、生徒の構えが整います。
「今日は勉強のやり方を10分だけ試します。うまくできるかは気にしなくて大丈夫です」。
評価されない場だと分かると、普段は手を止めがちな生徒も安心して取り組めます。
担任が点数や出来を一切つけないことが、この10分を成功させる最大の条件です。

解き直しを一度体験させる意味

やり方は、黒板に問題を1問出して、ノートの答えを隠したまま自分の言葉で書いてもらいます。
書けた所には○、書けなかった所には△の印をつけるだけです。
多くの生徒が△に気づいて、「見て分かった」と「書けた」が別のものだと実感します。
この実感が、自分から解き直しを始める土台になります。
△が多くても落ち込ませないために、△は「伸びしろの印」と先に伝えておきましょう。
黒板の問題は、教科書の例題のような基本的なもので十分です。短い時間でも、生徒の中に残る手応えは大きいものです。

書けない生徒がいても、答えをすぐに教える必要はありません。
「どこまで書けたかな。そこまでが今の力だね」と受け止めてあげてください。
そのうえで、「見て分かった、と、書けた、は別ものだよ」と一言だけ添えると、解き直しの意味が自分で腑に落ちます。
説明を重ねるよりも、短い言葉を一つだけ残すほうが、生徒の記憶には長く残ります。

計画は細かくしない理由

見本のあとは、テスト範囲を日ごとに割った計画表を、紙1枚で渡します。
ポイントは、毎日ひとつだけやることを書く欄にして、細かく決めすぎないことです。
計画が細かすぎると、1日できなかっただけで全体が崩れて、「どうせ無理」とあきらめる原因になってしまうからです。
やれなかった日があっても、後ろの日で取り戻せる余白を残しておく。立て直しやすい計画のほうが、結果として最後まで続きます。
書式も、日付と一言の欄だけの簡単なもので構いません。凝った表は、作る側の負担になるだけです。

計画表の使い方は、終わったら自分で印をつけるだけにします。
担任が提出させて点検すると、監視されている感覚が生まれてしまうからです。
もし家庭学習の量が気になる生徒がいたら、面談の場で「無理のない量を一緒に決めよう」と相談する形にすると、角が立ちません。
計画表は管理のための道具ではなく、本人が自分を助けるための道具として渡しましょう。

10分間の見本の流れ
  • 予告する:「うまくできるかは気にしなくて大丈夫」と先に伝える。
  • 解き直す:問題を1問出し、答えを隠して自分の言葉で書く。
  • 印をつける:書けた所は○、書けない所は△で伸びしろを見つける。

ポイント2のまとめです。
見本は10分で十分です。説明を長くするより、「見て分かった」と「書けた」の違いを一度だけ体験させる。そのあとに渡す紙1枚の計画が、生徒の自分で動く力を支えてくれます。

ポイント3:帰りの会でテスト勉強が続く仕組みをつくる

3つ目は、勉強が続く仕組みをつくることです。
勉強はひとりだと三日で止まりますが、ひとことを見せ合う場があるだけで、続く力が変わります。
帰りの会の1分を使って、「今日やったこと」を言い合う場をつくりましょう。

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テスト勉強が続く仕組みをつくるポイントを紹介します

勉強が三日で止まってしまう理由

中学生の勉強が三日で止まってしまうのは、意志が弱いからではありません。
やっているところを誰にも見られず、やったことが誰にも伝わらないと、続ける理由がなくなってしまうからです。
大人でも、ひとりで始めたダイエットや早起きが続かないのと同じです。
だからこそ、「今日やったことを誰かに話す場」が、続く仕組みの中心になります。
担任がやるのは、その場を用意するだけです。
最初の三日間は勢いで進めても、四日目に疲れた日があると、そこから再開するきっかけがつかめなくなります。

たとえば、部活で毎日続いているのは、練習を見てくれる仲間がいて、終わりに声をかけ合う時間があるからです。
勉強にも、それと同じ「終わりの時間」を作ってあげます。
帰りの会の最後、日直の進行で1分だけ取れば十分です。
長くやる必要はなく、毎日同じ時間に同じ形で続けることが、仕組みとしていちばん効きます。

帰りの会の一言、3つのルール
  • やったことだけ言う:「単語を10個」「1ページ解き直した」など事実だけ。
  • 点数や時間は言わない:量の多さで、少ない子が黙らない場にする。
  • 先生も言う:担任が先に見せると、生徒の気が楽になる。

点数ではなく「やったこと」を言う理由

言ってもらうのは、点数でも勉強した時間の長さでもなく、「今日やったこと」だけです。
点数や時間を言い合う場にすると、少ない生徒が恥ずかしくなり、場そのものが嫌いになってしまいます。
「単語を10個覚えた」「ワークを1ページ解き直した」のように、事実だけなら、誰でも同じ土俵で言えます。
量ではなく「やった」という事実を認め合う場にすることで、小さな一歩が積み重なっていきます。
ほんの少しの行動でも、声に出した瞬間に「自分はやっている」という実感に変わります。

失敗のあとでも先生が笑顔で受け止めてくれる場面

担任自身も、毎日ひとことを言うのがおすすめです。
私は「今日は教材研究を30分やりました」と言っていました。
先生が率先して見せると、生徒も「その程度でいいんだ」と気が楽になります。
始めるときの声かけは、「今日やったことを、ひとことだけ聞かせて」で十分です。
うまく言えない生徒には、無理に当てずに、日直が先に手本を見せる形にすると、安心して参加できます。

比べ合いにしない場のつくり方

場が比べ合いになると、続く仕組みは一気に重たくなります。
順位をつけない、点数を言わせない、というルールを最初に伝えておくだけで、安心感がまったく変わります。
もうひとつ大切なのは、「今日は教科書を開いただけ」という一言も、立派な報告だと先に言葉にしておくことです。
やれなかった日も言える場にしておけば、生徒は「やっていないから言えない」と黙りこまず、また明日に戻ってこられます。
安心して失敗や空白を見せられる場所があることが、続ける力のいちばんの支えになります。

担任が返すひとことは、評価ではなく事実にします。
「昨日より、ページが増えたね」「自分で解き直しに気づいたんだね」のように、見えたことをそのまま伝えます。
ほめ言葉が上手でなくても、見ていることが伝われば、生徒は十分に励まされます。
2週間ほど続けたら、生徒の言葉の中から「やってよかった」という声を探して、全体に紹介してあげましょう。

ポイント3のまとめです。
勉強が続くかどうかは、本人の意志より、見せ合う場があるかどうかで決まります。帰りの会の1分と、比べない約束。この2つがあれば、担任が毎日声をかけなくても、勉強の習慣は教室の中で育っていきます。

明日の確認リスト

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
最後に、明日の教室で確かめられることだけを、小さくまとめました。
全部をやろうとしなくて大丈夫です。
まずは1つ、今日の放課後に試せることから選んでみてください。
期末テストまでに時間があるいまなら、1つ試して様子を見てからでも、十分に間に合います。
うまくいかなかった日があっても、それは生徒に合う形を探している途中ですので、気にしすぎないでくださいね。

明日、教室でここだけ試す
  • 前回伸びた生徒:放課後に1人だけ、「どうやって覚えたか、こっそり教えて」と声をかける。
  • 貼る紙:聞いた内容を、名前を伏せて3行にまとめてみる。
  • 学活の10分:黒板に出す問題を1問だけ、前の日のうちに決めておく。
  • 計画表:テスト範囲を日ごとに割った紙を、まず自分用に1枚作る。
  • 帰りの会:「今日やったことを、ひとことだけ」の1分を、生徒に予告する。
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よくある質問

すでにできている生徒は見本の時間に退屈しませんか

退屈する生徒もいますが、むしろ見本づくりの主役として力を借りるつもりで進めると、うまくいきます。
10分の体験は、できている生徒にとっても自分のやり方を言葉にする機会になりますし、「解き直し」の精度を上げるきっかけにもなります。
特に前回の点数が高かった生徒には、紙に載せるやり方の聞き取りでお世話になるはずです。
退屈どころか、自分の工夫が教室で役に立つ経験になるので、勉強への自信にもつながります。
すべてを新しく学ぶわけではないので、物足りなさを感じる生徒がいても、それは自然なことです。

紙に載せるやり方を本人が嫌がったらどうしますか

載せません。
無理に説得して載せることは、生徒との信頼を損なうだけで、紙の効果にもつながりません。
聞き取りの時点で「名前は出さない」「嫌なら載せない」と約束しておくのが前提です。
それでも後から気が変わることはあるので、貼る前に「この3行、貼っても大丈夫かな」ともう一度だけ確認します。
断られたときは、別の生徒のやり方を使えば済みますし、本人にも「断っていい場」だと伝わります。
安心して話せる関係が、次の機会に別の生徒が協力してくれる土台になります。

帰りの会が長引いてしまわないか心配です

1分以内に収めると決めれば、長引きません。
タイマーを教卓に置いておくと、先生が時計を気にする必要もなくなり、時間の管理は日直に任せられます。
全員に言ってもらう必要はなく、日直と、その日手を挙げた2〜3人で十分です。
数日続けると、言いたい生徒が自然に増えていきますが、時間は動かさず、最後に担任が「今日もありがとう」と締めます。
もし時間が足りない日は、無理に実施せず、翌日に回して構いません。
続くことを大切にして、完璧に毎日やることは目指さなくて大丈夫です。

おわりに

勉強のやり方を教えこもうとすると、どうしても説教が増えてしまいます。
でも、やり方を見える形にして、見本を一度だけ見せて、続く場をつくれば、教室の中で自然に広がっていきます。
教えこむのではなく、広がる流れをつくる。それが、担任にできるいちばん確かな関わり方だと私は思っています。
期末テストまでの数週間、まずは放課後に1人へ声をかけるところから、始めてみてください。

勉強のやり方を広げる3つの手順のまとめ図

ご視聴ありがとうございました。
この記事の内容を動画でも解説しています。
ぜひご覧ください。

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