
はじめに
木でできた本棚がきしんだり、プラスチックの部品が割れたりするのを見て、なぜそこが壊れるのだろうと思ったことはありませんか。
材料が壊れるとき、その部分には必ず何らかの「力」がかかっています。
この記事では、中学技術の授業で習う材料の強さの基本、引張・圧縮・曲げ・せん断という4種類の力について、身近な例を使いながら整理していきます。
名前だけを覚えるのではなく、実際の製品のどこにどの力がかかっているかを見分けられるようになることが目標です。
テスト前の確認や、木工・製図の授業の理解にもそのまま役立つ内容です。
最後まで読むと、身の回りの製品を見る目が少し変わってくるはずです。
- 引張・圧縮・曲げ・せん断の見分け方
- 身近な製品でのそれぞれの具体例
- テストで狙われる問われ方と答え方
材料にかかる力は4種類
ものが壊れるとき、材料には必ず何らかの力がかかっています。
中学技術で習う材料の強さの基本は、引張・圧縮・曲げ・せん断という4種類の力に分けて考えることです。
それぞれの力がどんな動きをするのかを知っておくと、身の回りの製品がどこで壊れやすいかが見えてくるようになります。
次のポイントから、4つの力を一つずつ具体例とともに見ていきましょう。
- ポイント1:引張・圧縮の見分け方:両側からひっぱるか、おすかで見分ける。
- ポイント2:曲げ・せん断の見分け方:しなうか、ずれるかで見分ける。
- ポイント3:複数の力の組み合わせと材料選び:製品は複数の力を同時に受けている。
ポイント1:引張・圧縮の見分け方
引張と圧縮は、材料にかかる力の中でも最も基本になる2つの力です。
力の向きが正反対になる点を知っておくと、身の回りの製品を見る目が変わります。
引張・圧縮の見分け方のポイントを紹介します
引張(ひっぱる力)とは
引張とは、材料を両側からひっぱる力のことです。
輪ゴムを両手で持って左右に引くと、ゴムはだんだん伸びて細くなっていきますよね。
これが引張の力がかかっている状態で、材料の中では分子どうしが引き離される方向に力が働いています。
ひっぱる力が材料の限界を超えると、細くなった部分からぷつんと切れてしまいます。
橋のケーブルやロープなど、常にひっぱられ続ける部分は、この引張の力に強い材料が選ばれています。
身の回りでは、つり橋の主塔から伸びるケーブルが、この力をいちばん大きく受ける部分の一つです。
- つり橋のケーブル:橋げたをつるし続けるため、常に引張の力を受けている。
- ロープや輪ゴム:引くと伸び、限界を超えると切れる代表的な材料。
- 洗濯物のロープ:重さでたるまないよう、引張に強い材質が選ばれている。
引張の力に強い材料は、細くしても切れにくいという特徴があります。
そのため、ロープやワイヤーのように、断面を小さくしても十分な強さを保てる形で使われることが多いです。
圧縮(おす力)とは
圧縮とは、材料を両側からおしつける力のことです。
積み木を上からぎゅっと押すと、積み木自体はつぶれるように力を受けますよね。
材料の中では、分子どうしがさらに近づこうとする方向に力が働いていて、引張とは正反対の動きになります。
柱のように上からの重さを受け続ける部分は、常にこの圧縮の力を受けているといえます。
太くてまっすぐな形のほうが、圧縮の力には強いという特徴もあります。
力が強すぎると、まっすぐな材料でも横にふくらむように曲がってしまうことがあります。
圧縮の力を目で確かめる簡単な方法があります。
消しゴムを机の上に立てて、上から指でゆっくり押してみましょう。
指を離すと元の形に戻りますが、これは消しゴムがある程度までなら圧縮の力に耐えられる材料だからです。
力を強くしすぎると、消しゴムは横にふくらんでつぶれてしまいます。
建物の柱も同じ考え方で、太さや材料が決められているのです。
身近な例で引張と圧縮を見分ける
引張と圧縮は、力の向きは正反対ですが、見分け方はとても簡単です。
材料が伸びる方向に力を受けているなら引張、材料がつぶれる方向に力を受けているなら圧縮です。
つり橋のケーブルはひっぱられて伸びる方向、橋を支える主塔はおされてつぶれる方向の力を受けています。
本棚を支える側面の板も、上からの重さを受けて圧縮の力がかかっている部分の一つです。
洗濯物をつるすロープは引張、物干しを支える柱は圧縮と考えると、身の回りで探しやすくなります。
教室の中でも、机の脚は圧縮、掲示物をつるす紐は引張の力を受けています。
どちらの力がかかっているかを考える習慣がつくと、ものの壊れ方や補強のしかたも自然と見えてくるようになりますよ。
引張と圧縮は、ものづくりの基本になる2つの力です。
次のポイントでは、これらとはちがう動きをする曲げとせん断について見ていきましょう。
ポイント2:曲げ・せん断の見分け方
曲げとせん断は、引張や圧縮とはちがい、材料の一部分がしなったり、ずれたりする力です。
この2つの力を知っておくと、身の回りの製品がどこで壊れやすいかが分かるようになります。
曲げ・せん断の見分け方のポイントを紹介します
曲げ(まげる力)とは
曲げとは、材料の両端を支えて、中央に力を加えたときに生じる力です。
定規の両端を両手で持って、中央を上から押すと、定規全体がしなうように曲がりますよね。
このとき、しなった材料の上側には圧縮の力、下側には引張の力が同時にかかっています。
一つの材料の中に、二つの正反対の力が同時に生まれているのが曲げの特徴です。
力が強すぎると、引張を受けている下側から先に割れてしまうことがあります。
本棚の棚板や机の天板のように、上に物を置く場所には、この曲げの力が日常的にかかっています。
- 本棚の棚板:本の重さで中央がしなう、曲げの力を受ける代表例。
- つり橋のはり:橋を渡る人や車の重さで、たわむように力を受ける。
- 定規をしなわせる動き:両端を持って中央を押すと曲げの力が体感できる。
曲げの力がかかる部分は、板の厚みや向きによって強さが大きく変わります。
薄い板ほどしないやすく、厚い板ほどしないにくいというのは、実際に手で確かめてみると分かりやすいです。
せん断(ずれる力)とは
せん断とは、材料の面と面をずらすように働く力のことです。
はさみで紙を切るとき、上の刃と下の刃が紙をずらすように動いて切れていますよね。
これがせん断の力で、引張や圧縮のように材料を伸ばしたりつぶしたりするのではなく、面をすれ違わせる動きになります。
ボルトで固定した部分にも、地震や振動が起きたときにせん断の力がかかることがあります。
釘やねじの接合部も、横方向に力を受けるとせん断の力を受けることになります。
せん断の力に強くするには、接合する面積を広くしたり、ボルトの本数を増やしたりする工夫がされています。
家具の組み立てでねじを複数本使うのも、せん断の力を分散させる工夫の一つなのです。
曲げとせん断を見分けるコツ
曲げとせん断は、どちらも材料の一部が動く力ですが、動き方に注目すると見分けられます。
材料全体がゆるやかにしなうように曲がっていれば曲げ、面と面が急にずれるように動いていればせん断です。
本棚の棚板がしなうのは曲げ、はさみで紙がすっと切れるのはせん断と考えると分かりやすくなります。
どちらの力も、材料の厚みや接合のしかたによって、受けられる強さが変わってくる点は共通しています。
迷ったときは、材料全体が動いているのか、一部の面だけがずれているのかを、絵に描いて確かめてみるとよいでしょう。
教科書や資料集の図を見るときも、材料がしなっているのか、面がずれているのかを意識して見ると、理解が深まります。
曲げとせん断は、材料の一部分だけに集中して力がかかるのが特徴です。
最後のポイントでは、実際の製品がこれら4つの力をどのように組み合わせて受けているかを見ていきましょう。
ポイント3:複数の力の組み合わせと材料選び
引張・圧縮・曲げ・せん断は、それぞれ単独で働くだけでなく、一つの製品の中で組み合わさって働いています。
受ける力の種類を知ると、材料や形をどう選べばよいかが見えてきます。
複数の力の組み合わせと材料選びのポイントを紹介します
1つの製品にかかる複数の力
身の回りの製品を一つ選んで見てみると、複数の力が同時にかかっていることがよく分かります。
いすを例にすると、脚は座る人の重さを受けて圧縮の力を受けています。
座面は体重で中央がわずかにしなうため、曲げの力を受けています。
脚と座面をつなぐねじの部分は、横方向の力を受けるとせん断の力がかかります。
一つの製品の中でも、部分ごとに受ける力の種類がちがうのです。
本棚や机も同じように、脚・棚板・接合部でそれぞれ受ける力の種類が変わってきます。
力の種類がちがえば、弱くなりやすい場所もちがってきます。
製品が長く使えるように、部分ごとに合った補強の工夫がされていることが分かります。
木材と金属で強さの決まり方がちがう
材料の強さは、材料の種類や形によって決まり方がちがいます。
木材は繊維が一方向にそろっているため、繊維の方向に沿った力には強く、繊維を横切る方向の力には弱いという特徴があります。
金属は繊維のような方向性が少ない代わりに、断面の形によって強さが大きく変わります。
同じ量の材料でも、細い丸棒よりも中が空どうの筒の形にしたほうが、曲げに強くなることがあります。
材料そのものの性質と、材料をどんな形にするかという2つの視点が、ものづくりでは大切になります。
形が強さを決める仕組みは、木工でも製図でもよく登場する考え方です。
材料の性質と形の両方を意識すると、じょうぶな製品を作れるようになっていきます。
テストで狙われるポイント
テストでは、4つの力の名前と、どんな動きをする力なのかをセットで問われることが多いです。
引張はひっぱる力、圧縮はおす力、曲げはしなう力、せん断はずれる力、という対応をまず正確に覚えましょう。
名前だけでなく、つり橋のケーブルや本棚の棚板といった具体例とセットにしておくと、記述問題でも答えやすくなります。
図で力の方向を確認する問題も出やすいので、矢印がどちら向きにかかっているかを見る練習もしておきましょう。
- 力の名前と動き:引張・圧縮・曲げ・せん断の対応を正確に覚える。
- 具体例:つり橋のケーブルや棚板など、身近な例とセットで覚える。
- 力の方向:図の矢印がどちら向きにかかっているかを確認する。
複数の力が同時にかかる場面を説明させる問題も、応用として出題されることがあります。
いすや本棚のように、身近な製品を例に挙げて説明できるようにしておくと安心です。
4つの力の名前と見分け方、そして材料選びとのつながりが見えてきたのではないでしょうか。
最後に、テスト前に確認しておきたい内容をまとめておきます。
テスト前の確認リスト
ここまで学んだ内容を、テスト前にもう一度確認できるように整理しました。
4つの力の名前と動き方、そして身近な例を思い出しながら、下のリストを一つずつ確かめてみてください。
すべて自分の言葉で説明できるようになれば、テストでも安心して答えられるはずです。
- 引張:ひっぱる力。伸びて切れる身近な例を1つ挙げられるか確認する。
- 圧縮:おす力。短く太くなろうとする身近な例を確認する。
- 曲げ:しなう力。上と下で力の向きがちがう理由を確認する。
- せん断:ずれる力。はさみやボルトの例を確認する。
- 複数の力:いすなど1つの製品に複数の力がかかる場面を説明できるか確認する。
よくある質問
引張と圧縮の違いは何ですか
引張と圧縮は、力の向きが正反対になる点がちがいです。
引張は材料を両側からひっぱる力で、材料は伸びて細くなろうとします。
圧縮は材料を両側からおしつける力で、材料は短く太くなろうとします。
つり橋のケーブルのように伸びる方向に力を受けるなら引張、建物の柱のようにおされる方向に力を受けるなら圧縮と考えると見分けやすくなります。
どちらも身の回りの製品によく見られる力なので、実際の例と結びつけて覚えておくと忘れにくくなります。
せん断はどんな場面で習いますか
せん断は、木工や金属加工でねじやボルトを使う場面と関係が深い力です。
はさみで紙を切る動きや、ボルトで固定した部分がずれるように力を受ける場面が代表的な例になります。
中学技術では、材料の接合方法や、丈夫な構造を考える単元の中で、せん断の考え方が登場することが多いです。
接合部分が弱いと、地震や振動のときにせん断の力で外れてしまうことがあるため、補強の工夫と合わせて理解しておくと役立ちます。
釘やねじの本数を増やすといった補強も、せん断の力を分散させるための工夫の一つです。
4つの力の覚え方はありますか
覚え方としては、身近な動きと結びつけるのがおすすめです。
引張は輪ゴムを伸ばす動き、圧縮は積み木を押す動き、曲げは定規をしなわせる動き、せん断ははさみで切る動きに例えると覚えやすくなります。
それぞれの力がどんな動きに似ているかを一つずつ思い出しながら、身の回りの製品にどの力がかかっているかを考える練習をしてみましょう。
具体的な動きとセットで覚えることで、テストの記述問題にも対応しやすくなります。
覚えたあとは、実際に身の回りの製品を見て、どの力がかかっているかを確かめる練習を重ねてみてください。
おわりに
今回は、材料にかかる4つの力、引張・圧縮・曲げ・せん断について学んできました。
名前だけでなく、身近な製品のどこにどの力がかかっているかを考えられるようになると、ものづくりの見方が大きく変わってきます。
テスト前には、今日紹介した確認リストとよくある質問を、もう一度見直してみてください。
ご視聴ありがとうございました。
この記事の内容を動画でも解説しています。
ぜひご覧ください。
材料の強さ4種のちがいがわかる|引張・圧縮・曲げ・せん断を中学生向けに解説









