
はじめに
発電の授業というと、火力や水力、太陽光を思い浮かべる生徒が多いですよね。
でも実は、風・地下の熱・生き物由来の資源を使う発電もあって、それぞれにちがう得意と苦手があるんです。
今回は、風力発電・地熱発電・バイオマス発電の3つを取り上げます。
この3つは、名前は知っていても「しくみの違い」まで説明できる生徒は多くありません。
どんなエネルギーを利用しているかを対応づけて覚えると、テストでも迷わなくなります。
2学期中間テストが近づくこの時期に、まとめて整理していきましょう。
自然の力を利用する3つの発電
風力・地熱・バイオマス発電に共通しているのは、化石燃料に頼らず自然の力や資源を利用して電気をつくっていることです。
ただし、利用しているエネルギーの正体は3つとも違います。
風力は風の運動エネルギー、地熱はマグマの熱、バイオマスは生き物に由来する資源のエネルギーです。
発電の全体像をもう一度おさらいしたい場合は、火力・水力・再エネの位置づけを整理した回もあわせて見ておくと理解が深まります。
- 風力発電:風の運動エネルギーで羽根を回し、発電機を動かします。
- 地熱発電:地下深くのマグマの熱で蒸気をつくり、タービンを回します。
- バイオマス発電:木くずやふん尿など、生き物由来の資源を燃やして熱をつくります。
ポイント1:風力発電
風力発電は、大きな羽根に風を受けて回転させ、その回転を発電機に伝えて電気をつくる方法です。
水力発電が水の力で水車を回すのと、考え方はよく似ています。
風という身近な自然の力を利用している点が特徴です。
風力発電のポイントを紹介します
風の力を回転に変えるしくみ
風力発電の心臓部は、風を受けて回る大きな羽根、いわゆるブレードです。
ブレードが受けた風の力は回転運動に変わり、シャフトを通じて発電機に伝えられます。
発電機の中では、回転する力が電磁誘導という現象によって電気エネルギーに変換されます。
この流れは水力発電が水の勢いで水車を回すしくみとよく似ていて、どちらも「自然の力を回転運動に変え、それを電気に変える」という2段階の変換になっている点が共通しています。
生徒には「羽根が回れば必ず発電する」と誤解されがちですが、実際には風の強さや向きが安定していないと効率よく発電できません。
だからこそ、風車を建てる場所は事前に風の強さや向きを長期間調べてから決められています。
風車が止まる条件と陸上・洋上のちがい
風車には、発電を始める風の強さ(カットイン風速)と、安全のために止める風の強さ(カットアウト風速)があらかじめ決められています。
弱すぎる風では発電できず、逆に強すぎる風のまま回し続けると設備が壊れる危険があるため、風車自身がブレーキをかけて止まるしくみになっているのです。
また、山の上や海辺に立てる陸上風力に対し、海の上に建てる洋上風力は風をさえぎるものが少なく、より強く安定した風を得やすいという特徴があります。
海底に固定する着床式に加え、浮体式なら水深の深い海域にも設置できます。
日本は周囲を海に囲まれた国なので、今後は洋上風力の広がりに注目が集まっています。
陸上と洋上、それぞれの立地条件の違いをセットで覚えておくと理解が整理されます。
風力発電の得意と苦手
風力発電の得意なことは、発電のときにCO2をほとんど出さないことです。
化石燃料を燃やす火力発電と違い、風という尽きることのない資源を利用できる点も強みといえます。
一方で苦手なのは、風まかせで発電量が変わりやすく、風が弱い日や無風の日には発電量が大きく落ちてしまうことです。
ほかの再生可能エネルギーである水力発電と比較すると、その安定性の違いがより分かりやすくなります。
また、回転する羽根の音や、景色の中での見え方について周辺の理解を得る配慮も欠かせません。
水力発電は水の流れという比較的安定した資源を利用する点で風力発電と対照的です。
- 羽根の回転を電気に変える:風の運動エネルギーがシャフトを通じて発電機に伝わります。
- 止まる風速が決まっている:弱すぎても強すぎても発電を止め、設備を守ります。
- 陸上と洋上で条件が違う:洋上は風が強く安定し、浮体式なら深い海にも設置できます。
風力発電は身近な風を利用する分、生徒にとってイメージしやすい発電方法です。
次は、地面の下に目を向けて、地熱発電のしくみを見ていきましょう。
ポイント2:地熱発電
地熱発電は、地下深くにあるマグマの熱を利用して電気をつくる発電方法です。
日本は火山の多い国なので、実は地熱資源が世界でも上位クラスに入ります。
温泉が身近にあるのと同じ理由で、地下には発電に使える熱がたくさんねむっているのです。
地熱発電のポイントを紹介します
マグマの熱から電気をつくる流れ
地熱発電のしくみは、地下水がマグマの熱で温められて高温の蒸気になるところから始まります。
その蒸気を地上まで専用のパイプで導き、勢いよく噴き出す力でタービンを回して発電機を動かします。
火力発電がボイラーで燃料を燃やして蒸気をつくるのに対し、地熱発電は地球そのものが持つ熱を利用する点が最大の違いです。
井戸を掘って蒸気や熱水を取り出す作業には専門的な調査と技術が必要で、地下のどこに資源があるかを事前に見極めることも欠かせません。
使い終わった蒸気や熱水は、多くの場合また地下に戻され、資源が保たれる工夫もされています。
火力発電と同じく蒸気でタービンを回す点は共通していますが、燃料を燃やす必要がないため、CO2をほとんど出さずに発電できるのが特徴です。
火山国ニッポンの地熱資源
日本列島は環太平洋火山帯の上にあり、活火山の数が世界でも多い国の一つです。
そのため地下に蓄えられている地熱の資源量も豊富で、アメリカ、インドネシアに次いで世界の中でも上位クラスに入るといわれています。
すでに全国各地に地熱発電所があり、東北や九州を中心に古くから稼働している発電所も少なくありません。
身近な温泉地の近くに発電所があると聞くと、地熱発電を自分ごととして感じられる生徒も多いはずです。
火山が多いことは災害の面では心配の種になりますが、エネルギー資源としては大きな強みにもなっています。
これだけ資源があるのに、日本の地熱発電の利用はまだ資源量に見合うほど広がっていません。
次に見る「得意と苦手」で、その理由を整理していきましょう。
地熱発電の得意と苦手
地熱発電の得意なことは、天候に関係なく1日中、季節を問わず安定して発電できることです。
太陽光発電のように夜間は発電できない、風力発電のように風がないと発電できない、といった弱点がありません。
一方で苦手なのは、発電に適した場所を見つけて井戸を掘るまでに長い時間と多くの費用がかかることです。
さらに、地熱資源が豊富な場所は温泉地と重なることが多いため、開発にあたっては温泉への影響を心配する地域との丁寧な調整が欠かせません。
安定性という強みと、開発のむずかしさという弱みの両方を押さえておくと、テストの記述問題にも対応しやすくなります。
- マグマの熱で蒸気をつくる:地下水が熱で温められ、蒸気の力でタービンを回します。
- 日本は資源大国:火山が多く、地熱資源量は世界でも上位クラスです。
- 安定と開発の壁:天候に左右されない一方、開発には時間・費用・地域調整が必要です。
地熱発電は、日本の地形をいかせる発電方法だと分かってもらえたでしょうか。
最後に、ごみや資源をいかすバイオマス発電を見ていきましょう。
ポイント3:バイオマス発電
バイオマス発電は、生き物に由来する資源を燃料にして発電する方法です。
捨てるはずだった資源を、電気という形に変えられるのが最大の特徴です。
木くずや家畜のふん尿、食べ残しなど、身近なものが燃料になります。
バイオマス発電のポイントを紹介します
生き物由来の資源を燃料にするしくみ
バイオマス発電のしくみは、火力発電と同じく燃料を燃やして熱をつくり、その熱で蒸気をつくってタービンを回すという流れです。
大きく違うのは、燃料に石油や石炭ではなく、木くずや間伐材、家畜のふん尿、食品廃棄物といった生き物由来の資源を使う点です。
燃やす前に乾燥させて燃えやすくしたり、発酵させてメタンガスに変えてから燃やしたりと、資源の種類によって処理の仕方もさまざまです。
集めた資源をどう加工するかで、発電のしやすさや効率も変わってきます。
「発電のために新しく資源をつくる」のではなく、「もともと捨てられていた資源を電気に変える」という発想が、バイオマス発電のいちばんのポイントです。
バイオマスの主な種類とカーボンニュートラル
バイオマスの資源は大きく3つに分けられます。
間伐材やおがくずなどの木質系、家畜のふん尿を利用する畜産系、そして食べ残しや生ごみなどの廃棄物系です。
地域によって手に入りやすい資源が違うため、発電所ごとに使う燃料の組み合わせもさまざまです。
これらを燃やすとCO2が出ますが、もとになった植物は育つ間に光合成でCO2を吸収しています。
そのため、燃やして出るCO2は育つ間に吸収した分とさし引きゼロと考えられていて、この考え方をカーボンニュートラルと呼びます。
カーボンニュートラルという言葉は、バイオマス発電の環境面でのメリットを説明するときによく使われるキーワードです。
テストでも問われやすいので、意味とセットで覚えておきましょう。
バイオマス発電の得意と苦手
バイオマス発電の得意なことは、捨てるはずだった資源を電気に変えられること、そして地域で出た資源を地域で使えることです。
ごみの量を減らし、処分にかかる費用をおさえる効果もあわせて期待できます。
一方で苦手なのは、資源が広い範囲に分散しているため、それを集めて発電所まで運ぶための手間と費用がかかることです。
資源の量が季節や地域の事情で変わりやすく、安定して集め続けられる仕組みづくりが欠かせません。
この「集める手間」は、風力や地熱にはない、バイオマス発電ならではの課題です。
風力・地熱・バイオマス、3つとも自然や資源を生かした発電方法ですが、得意と苦手の中身はそれぞれ違うことが分かってもらえたはずです。
- 生き物由来の資源が燃料:木質系・畜産系・廃棄物系など身近な資源を燃やして熱をつくります。
- カーボンニュートラル:育つ間に吸収したCO2と燃やして出るCO2がさし引きゼロと考えられます。
- 集める手間が課題:資源が分散しているため、集める・運ぶコストが発電量を左右します。
テスト前の確認リスト
ここまでの内容を、テスト前にさっと見直せるように5つのポイントにまとめました。
「どの発電が」「どんなエネルギーを利用しているか」という対応づけが、テストでいちばん問われやすい部分です。
用語だけを暗記するのではなく、しくみとセットで思い出せるようにしておきましょう。
- 風力発電は風の運動エネルギーを利用して羽根を回し発電する。
- 地熱発電はマグマの熱でつくった蒸気でタービンを回す。
- バイオマス発電は生き物由来の資源を燃やして熱をつくる。
- 地熱発電の得意は天候に左右されない安定性、苦手は開発の時間と費用。
- バイオマス発電のカーボンニュートラルは、育つ間に吸収したCO2との差し引きで考える。
よくある質問
風力発電の風車はどのくらいの風で止まるんですか
風車には発電を始める風の強さと、安全のために止める風の強さがあらかじめ決められています。
結論からいうと、弱すぎる風では発電できず、強すぎる風のまま回し続けると設備が壊れる危険があるため止まります。
この2つの風速の名前まで細かく覚える必要はありませんが、「風車には止まる条件がある」ということは押さえておきましょう。
陸上風力より洋上風力のほうが安定した強い風を得やすいことも、あわせて確認しておくとよいです。
地熱発電と温泉はどう違うんですか
結論からいうと、地熱発電は温泉そのものではなく、地下の熱と蒸気を利用して発電することを指します。
地熱発電と聞くと温泉を思い浮かべる生徒が多いのですが、発電しているのはお湯そのものではなく、地下深くのマグマの熱でつくられた高温の蒸気の力です。
ただし、地熱資源が豊富な場所は温泉地と重なることが多く、開発の際には地域との調整が必要になります。
「温泉と発電は別物だけれど、場所は重なりやすい」という関係を整理しておきましょう。
バイオマス発電はごみをそのまま燃料にするんですか
結論からいうと、多くは燃やして熱をつくる発電であり、生ごみをそのまま燃料タンクに入れるわけではありません。
木くずや間伐材、家畜のふん尿、食品廃棄物などを乾燥させたり発酵させたりしてから燃やし、その熱で蒸気をつくってタービンを回します。
「ごみを資源として活用する発電」という大きな考え方は正しいのですが、処理の手順があることは覚えておきましょう。
資源を集めて運ぶ手間がかかる点も、バイオマス発電の苦手なところとしてセットで確認しておくとよいです。
おわりに
今日は、風力発電・地熱発電・バイオマス発電の3つについて、しくみと得意・苦手を整理しました。
どれも自然の力や資源を生かした発電方法で、これからますます大切になっていく技術です。
「どの発電が」「どんなエネルギーを利用しているか」を対応づけて覚えておけば、テストにも自信を持って臨めますよ。
ご視聴ありがとうございました。
この記事の内容を動画でも解説しています。
ぜひご覧ください。









