叱る必要性とは?教師が知るべき理由

はじめに

教育現場において、「叱る」という行為は避けられがちですが、その重要性を理解することは非常に重要です。
この記事では、叱ることの意義と、その効果的な使い方について詳しく解説します。
自己抑制力の育成、学級の規律づくり、生徒への思いやり、教員の価値観の示し方など、具体的なポイントを紹介し、読者である教員が叱ることの真の意味を理解し、教育現場で役立てる方法を提案します。

また、学級のリーダーとして、時には厳しい姿勢で学級づくりに取り組むことも、生徒の成長を促すためには重要です。
適切な指導を通じて、生徒たちがルールや責任感を身につける機会を増やし、自立や協調性を養うことができます。

さらに詳しい方法や具体的な事例については、以下の関連投稿もぜひご覧ください。

叱り方のポイント

叱る必要性については、次の章から説明しますが、初めに、叱り方のポイントについて紹介します。
なぜなら、叱り方を間違えると、叱る必要性とは、別の方向に生徒が向かってしまう恐れがあるからです。

強く叱ることは厳しく叱ることではない

強く叱ることと、厳しく叱ることは、違います。
叱り方のポイントとして大切なことは、厳しく叱ることです。

厳しく叱るとは、ダメなことはダメと、気概をもって貫き通すことです。
だから、笑顔で叱っても、短い言葉で叱っても問題ありません。

もちろん、後になって、教員が間違っていた場合もあります。
その際は、素直に、「ごめんなさい」と頭を下げましょう。

要は、簡単に教員の正義を、生徒の考えに合わせないことです。

それが、できれば大声を出して強く叱る必要はないです。

そして、強く叱ることは少ない方がよいです。
しかし、強く叱る場面もあります。

強く叱る画面

  • 命の危険がある場合
  • 仲間のことを傷つけた場合

命の危険がある場合は、大声を出してでも止めましょう。
また、仲間のことを言葉でも暴力でも傷つけた場合は、強く指導するとよいです。
強く指導することで、傷つけられた仲間を守る・大切にするといった叱り方です。

仲間のことを傷つけたときに強く指導するポイント

傷つけた方、傷つけられた方の言い分は、両者から聞くことは大切です。

叱り方のポイントを押さえた上で、次の章からお読みください。

叱る目的と意義

自己抑制力を育てるために

具体的な叱り方の例

自己抑制力の重要性

生徒が自分の行動をコントロールする力、つまり自己抑制力を育てることは、将来の成功に繋がります。
叱ることはその第一歩です。

叱ることによる自己認識の向上

叱ることを通じて生徒は自分の行動が他人にどう影響を与えるかを学びます。
これにより自己認識が高まり、自己抑制力が育まれます。

実践方法と例

具体的な場面での叱り方の例を紹介し、自己抑制力の育成に役立つ実践的な方法を解説します。

騒がしい教室の場合

授業中に教室が騒がしい場合、まず冷静に全体を見渡し、一旦静かにするように声をかけます。
その後、特に騒いでいる生徒に対して、具体的にどのような行動が問題であるかを指摘します。
「◯◯さん、授業中におしゃべりするのはやめましょう。みんなが集中できる環境を作りたいので協力してください。」と伝えましょう。

叱る以外の方法

全体が静かになるまで待つ
指名方法を工夫したり、画像や映像をみせたりして、生徒を授業へ巻き込む

遅刻が多い場合

遅刻が続く生徒に対して、「遅刻をすると授業の進行に影響が出ます。皆が同じ時間に集まり、同じ時間に始めることで、授業がスムーズに進むのです。次からは時間を守りましょう。」と伝えます。

その後、遅刻した生徒といっしょに、これからどうしていくか解決策を考えます。

自己抑制力の育成方法

ルールの明示

生徒が従うべきルールを明確にし、その理由を説明します。
「教室ではお互いの学習を尊重し、静かにすることが大切です。そうすることで全員が集中して学べます。」

ポジティブなフィードバック

正しい行動をした生徒には積極的に褒めることで、良い行動を強化します。
「今日はみんなが時間を守って教室に来てくれて、授業がスムーズに進みました。ありがとう。」

学級に規律をつくり、過ごしやすい環境をつくる

規律のない学級の影響

規律のない学級では学習環境が悪化し、生徒の学習意欲も低下します。
また、仲間の関係は悪化します。
叱ることは、こうした状況を改善するための一つの手段です。

叱ることによる規律の形成

叱ることで、何が許される行動であり、何が許されない行動であるかを明確にします。
これにより、学級全体の規律が保たれます。

効果的な規律づくりのテクニック

規律を守らせるための具体的なテクニックと、叱ることを通じて過ごしやすい学級環境を作る方法を解説します。

視覚的なルール掲示

教室内に規律やルールを掲示することで、生徒が常にルールを意識できるようにします。

掲示例
「授業中のマナー」「遅刻をしない」「教室内でのルール」などをポスターや掲示板に貼り出します。

一貫性のある対応

規律違反に対して一貫した対応をすることで、生徒に規律の重要性を理解させます。
例えば、遅刻した生徒には必ず注意し、その理由を尋ね、解決策を考えます。

対応例
「遅刻した理由を教えてください。次回はどうしたら時間を守れるか、一緒に考えましょう。」

叱ることで期待される効果

生徒を見捨てない

見捨てることと叱ることの違い

叱ることを恐れる教員も多いですが、叱らないことは生徒を見捨てることと同じです。
生徒に正しい価値観を伝えていかなければ、生徒の成長はありません。
だから、生徒へ何も対応しないということは、生徒を見捨てることと同じです。

叱られれば、そのとき、生徒は嫌な顔をするでしょう。
しかし、長い目で見れば、間違っているを間違っていると伝えた方が、生徒のためになります。

生徒の未来を大切するためにも、叱る勇気をもちましょう。

愛情を持って叱る

叱ることは愛情の一環であり、生徒に対する関心の表れです。
生徒は叱られることで、教員が自分を気にかけていると感じます。

案外、生徒は、悪いことを悪いと自覚しているものです。
そして、やんちゃな生徒は、周りからの期待に応えて、悪さをすることがあります。

そのことを知っておくだけで、生徒への対応が変わると思います。

生徒自身のため、周りの生徒のために叱れば、生徒は受け入れてくれるでしょう。
それと同時に、生徒との信頼関係も深まります。

教員の価値観を示すチャンス

価値観の共有

叱ることは教員が自身の価値観を生徒に伝える絶好の機会です。
どのような価値観を持っているかを明確に示すことができます。

教育理念の反映

叱るときは、教師の価値観を伝える絶好の機会です。
叱ることで、教員の教育理念や信念を生徒に伝えることができます。
叱ると同時に、どうしてダメなのか、教師の価値を伝えましょう。
これにより、生徒は教員の指導方針を理解しやすくなります。

実際の場面でのアプローチ

価値観を示すための具体的な叱り方のアプローチを解説し、教員がどのように自分の価値観を生徒に伝えられるかを紹介します。

透明性のあるコミュニケーション

生徒に対して教員自身の価値観を明確に伝えることで、叱る理由が理解されやすくなります。

アプローチ例
「私は皆が互いに尊重し合う教室を大切にしています。そのため、授業中はお互いの学習を妨げないようにすることが重要です。」

感情をコントロールする

叱る際には冷静さを保ち、感情的にならないように心掛けます。これは生徒に対する尊重の表れでもあります。

アプローチ例
「今の行動は問題がありますが、冷静に話し合って解決策を見つけましょう。」

具体的なフィードバック

叱る際には具体的に何が問題であるかを示し、改善点を明確にします。

アプローチ例
「授業中に大声で話すのは避けてください。その代わりに、質問があるときは手を挙げてください。」

価値観に基づくエクサンプル

自分の価値観に基づく具体的な例を用いて、生徒に伝えます。

アプローチ例
「私が中学生だった頃、先生が皆を平等に扱うことを大事にしていました。その経験から、私も皆が公平に扱われることを大切にしています。」

効果的な叱り方

具体的な行動を指摘する

叱る際には、生徒が何を間違えたのかを具体的に説明することが重要です。
例えば、「授業中に話していると、他の人の邪魔になるよ」と言うことで、生徒は自分の行動が他人にどのような影響を与えるかを理解しやすくなります。
また、具体的な行動を指摘することで、生徒は何を改善すべきかを明確に認識できます。

非難ではなく指導

生徒の人格を否定せず、行動についてのみ指摘することが大切です。
例えば、「あなたはだめな子だ」と言うのではなく、「この行動はよくない」と言うことで、生徒は自分自身が否定されているのではなく、行動が問題であることを理解します。
これにより、生徒は自己肯定感を失わずに改善点を認識できます。

冷静さを保つ

感情的にならないようにするために、深呼吸や一度場を離れるなどして冷静さを取り戻してから話すことが重要です。

生徒が、問題行動を起こしたときは、

そうきたか!どう対応しようかな!?

と、一呼吸おいて、生徒に対応しましょう。

教師自身が冷静であることで、生徒も落ち着いて話を聞くことができます。
また、感情的にならずに叱ることで、伝えたいメッセージがより明確に伝わります。

短く、的確に

長々と叱ると生徒は話の本質を見失うことがあるため、短く具体的に伝えることが効果的です。
例えば、「教室での大声はやめてね」と簡潔に言うことで、子供は何を改善すべきかをすぐに理解できます。

代替行動の提案

叱ることの目的は、再発防止です。
何をすべきでなかったかだけでなく、代わりにどうすべきだったかを教えることが重要です。
例えば、「大声で話すのではなく、手を挙げて発言してね」と言うことで、生徒は具体的な改善策を知り、次回から適切な行動を取ることができます。

叱るタイミング

即時性

叱るタイミングの基本は、その場です。
間違いが起きた直後に叱ると、子供は自分の行動とその結果を結びつけやすくなるからです。
後回しにするほど、教師の言葉は、生徒は受け入れづらくなります。
例えば、教室での騒ぎをその場で注意することで、子供は自分の行動がその場での問題であることを理解しやすくなります。

冷静になってから

感情が高ぶっている時は避け、冷静になってから話しましょう。
伝えたいことがより明確に伝わります。
例えば、興奮している子供を一度落ち着かせてから話すことで、冷静な対話が可能になります。

公共の場での叱りは避ける

周りの目を気にする生徒には、個別に叱るようにしましょう。
特に、女子は、全体の場ではなく、個別に話をするとよいです。
人前で叱ると子供のプライドを傷つけてしまう恐れがあります。
例えば、教室の外で個別に話すことで、子供は自尊心を保ちながら問題を理解できます。

同じ過ちを繰り返した時

一度注意したことを再度繰り返す場合は、しっかりと叱ることが必要です。
例えば、何度も宿題を忘れる子供に対しては、繰り返しの重要性を強調し、改善を促すことが求められます。

叱る際の注意点

人格を攻撃しない

行動に対しての指摘にとどめ、生徒の人格を否定しないよう注意します。
例えば、「君はいつもだめだ」ではなく、「この行動は直した方がいいね」と言うことで、生徒の自己肯定感を保ちながら改善を促すことができます。

トラウマを避ける

過度に厳しい叱責や身体的な罰は避け、言葉での指導を心がけます。
例えば、怒鳴りつけるのではなく、静かに冷静に話すことで、子供が過度に怖がることなく問題を理解できます。

一貫性

同じ過ちに対しては一貫した対応を取ることで、生徒が混乱しないようにします。
例えば、同じ行動に対して毎回異なる対応を取るのではなく、一貫して注意することで、子供は何が期待されているかを明確に理解できます。

叱る後のフォロー

叱った後は必ずフォローアップし、生徒が理解しているか確認し、励ましの言葉をかけます。
生徒の改善が見込めるまでが、指導です。
生徒の行動が変容するまで、見届け、励ましましょう。
例えば、行動がよくなったら「今の行動、私はうれしいよ」と言うことで、生徒の努力を認めつつ改善を促すことができます。

叱る以外の指導方法との比較

褒める

良い行動を褒めることで、ポジティブな行動を強化することができます。
例えば、「今日はよく集中して授業を受けていたね!」と言うことで、生徒は自分の行動が認められたと感じ、同じ行動を続けようとします。

励ます

挑戦を奨励し、努力を認めることで、自信を育てることができます。
例えば、「一生懸命やっているのが伝わってくるよ、もう少しでできるよ!」と言うことで、生徒は自分の努力が報われると感じ、さらに頑張ろうとします。

建設的なフィードバック

改善点を具体的に伝え、どうすれば良いかをアドバイスします。
例えば、「この部分をもう少し丁寧に書くともっと良くなるよ」と言うことで、生徒は具体的な改善策を知り、次回からその点を意識して行動します。

自然な結果を経験させる

生徒が自分の行動の結果を直接経験することで学ばせることができます。
例えば、宿題をしなかった場合、その結果として提出時に困ることを実感させることで、自分の行動の重要性を理解させます。

おわりに

叱ることは教育において非常に重要な役割を果たします。
自己抑制力の育成、学級の規律づくり、生徒への愛情表現、そして教員の価値観の共有と、さまざまな面で効果があります。
この記事で紹介したポイントを実践し、生徒の成長と学級環境の向上に役立ててください。

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