
はじめに
歯車の計算問題で、こんなふうに手が止まったことはありませんか。
歯数は書いてある。
回転数も書いてある。
けれど、どちらでどちらを割るのかが分からない。
とりあえず大きい数を小さい数で割って、なんとなく答えを書いてしまう。
じつは、この計算で覚えることは一つだけなんですよ。
歯車比は、被動側の歯数を駆動側の歯数で割る。
ここさえ決まれば、回転数も力も、そこから順に出てきます。
丸暗記する式は増やさなくて大丈夫です。
この記事では、まず歯車比が何を表す数なのかをはっきりさせます。
次に、回転数を求める計算を例題で練習します。
最後に、減速すると力がどう変わるのか、歯車を三枚以上並べるとどうなるのかまで扱います。
途中には例題を二つ置きました。
歯数から回転数を求める問題と、ほしい力から歯数を決める問題です。
どちらも定期テストで問われやすい形なので、手を止めてノートに式を書きながら読んでみてくださいね。
授業を休んでしまった人も、この記事だけで追いつけるように書いています。
歯車比は3つの順で身につく
この単元は、「何を表す数か」「どう計算するか」「力はどうなるか」の三つに分けると、一気に見通しがよくなります。
一つ目は、歯車比の意味。
駆動側と被動側を決めて、歯数の比として求めます。
二つ目は、計算。
歯車比から被動側の回転数を出す練習をします。
三つ目は、力。
減速したぶん力が増える理由と、歯車を三枚並べたときの考え方をつかみます。
この順で追いかけると、はじめて見る機械でも、歯車がなぜその大きさなのかを読み取れるようになりますよ。
- ポイント1:歯車比は歯数の比:被動側の歯数を駆動側の歯数で割ると求められます。
- ポイント2:回転数は歯数の逆比:歯数の多い歯車ほどゆっくり回ります。計算は割り算2回です。
- ポイント3:速さと力は交換する:減速したぶんだけ、回転を伝える力は大きくなります。
ポイント1:歯車比は歯数の比
まずは、歯車比がそもそも何を表している数なのかをはっきりさせましょう。
ここがあいまいなまま計算に入ると、式を覚えても使えません。
歯車比は、かみ合った二つの歯車の歯数を比べた数です。それ以上でも以下でもありません。
歯車比は歯数の比のポイントを紹介します
駆動側と被動側をまず決める
歯車の問題でつまずく人の多くは、計算の前でつまずいています。
どちらが回す方で、どちらが回される方なのかを決めないまま、式を書き始めてしまうんですね。
歯車比を出すときは、必ず先にこの二つを決めてください。
モータやハンドルにつながっていて、回す側になる歯車を駆動側といいます。
そこからかみ合って回される側が被動側です。
歯車比は、被動側の歯数を駆動側の歯数で割って求めます。
式そのものはとても簡単ですが、上と下を取りちがえると答えが逆になってしまいます。
図の歯車に「駆」「被」と書きこんでから計算を始めるくせをつけておくと安心ですよ。
回転数は歯数と逆になる
歯車比が出たら、次は回転の速さです。
ここで多くの人がひっかかります。
歯の数が多い歯車のほうが、たくさん回りそうな気がしませんか。
ところが実際は反対で、歯数の多い歯車ほどゆっくり回ります。
歯数の少ない歯車のほうが速く回るんですね。
つまり回転数の比は、歯数の比とちょうど逆になります。
これを歯数の逆比といいます。
自転車を思い出してみてください。
後ろの歯車を大きなものに変えると、ペダルは軽くなりますが、進む速さは落ちますよね。
あれがまさに、歯数を増やして回転を落としている状態なんですよ。
なぜ逆になるのか
では、なぜ逆になるのでしょうか。
かみ合っているところに注目すると、理由が見えてきます。
二つの歯車がかみ合う点では、どちらの歯車も同じ数だけ歯を送り出しています。
片方が十枚送れば、相手も十枚受け取る。
ここは必ず同じ数になります。
ですから、歯数十二枚の歯車が三十六枚の歯車を回すとき、十二枚を一周分送っても、相手はまだ三分の一しか回っていません。
三回まわして、やっと相手が一周します。
だから回転数が三分の一になるわけですね。
この理由まで押さえておくと、テストで迷ったときに自分で確かめられますよ。
- 先に駆動と被動を決める:回す側が駆動、回される側が被動。図に書きこんでから式を立てます。
- 歯車比=被動÷駆動:被動側の歯数を駆動側の歯数で割るだけ。歯車比に単位はつきません。
- 回転数は歯数の逆比:歯数が多い歯車ほどゆっくり回ります。かみ合う点で送る歯の数が同じだからです。
ポイント2:回転数を計算する
ここからは、実際に数を入れて計算していきます。
テストでいちばん問われるのが、この計算ですよ。
やることは割り算を二回するだけ。新しく覚える式は一つもありません。
回転数を計算するのポイントを紹介します
使う式は1つだけ
計算で使う式は、一つだけです。
歯車比は、被動側の歯数を駆動側の歯数で割って求めます。
まずこれを出しましょう。
歯車比が出たら、被動側の回転数は、駆動側の回転数を歯車比で割るだけです。
式が二段になっているように見えますが、やっていることは割り算を二回するだけなんですよ。
気をつけたいのは単位です。
回転数は毎分何回転かでそろえておきます。
問題文に毎秒と毎分が混じっていることもあるので、式を書く前にそろえておきましょう。
歯車比そのものには単位がつきません。
ここも答案でよく減点されるところですね。
例題1 12枚の歯車で36枚を回す
実際に解いてみましょう。
歯数十二枚の歯車が、歯数三十六枚の歯車を回しています。
駆動側は毎分六百回転です。
このとき被動側は、毎分何回転になるでしょうか。
まず歯車比を出します。
三十六わる十二で三ですね。
歯車比は三、つまり三対一の減速です。
次に回転数です。
六百わる三で二百。
答えは毎分二百回転になります。
ここで一度、答えを見直してみてください。
歯数が三倍になったのだから、回転は三分の一のはずですよね。
六百の三分の一は二百ですから、ちゃんと合っています。
この確かめ方を身につけておくと安心ですよ。
増速のときと、つまずきやすい3つ
反対の場合も見ておきましょう。
歯数三十六枚の歯車で、十二枚の歯車を回すとどうなるでしょうか。
歯車比は十二わる三十六で、三分の一になります。
回転数は六百を三分の一で割って、毎分千八百回転です。
歯車比が一より大きければ減速、一より小さければ増速、と覚えておくと見分けられますよ。
つまずきやすいのは三つです。
駆動側と被動側の取りちがえ、歯数の比をそのまま回転数に使ってしまうこと、そして単位のそろえ忘れ。
答えを書く前に、この三つを順に確かめるくせをつけましょう。
- 割り算を2回するだけ:歯数から歯車比を出し、駆動側の回転数をその歯車比で割ります。
- 1より大きければ減速:歯車比が1より小さければ増速。答えの見当をつけるのに使えます。
- 答えを逆算で確かめる:歯数が3倍なら回転は3分の1のはず。式を立てたら必ず見直します。
ポイント3:速さと力は交換する
最後は、歯車がいちばんおもしろいところです。
歯車が変えているのは、速さだけではありません。
減速すると、回転を伝える力は反対に大きくなります。速さと力を交換しているんですね。
速さと力は交換するのポイントを紹介します
減速すると力が大きくなる
歯車が変えているのは、速さだけではありません。
減速すると、回転を伝える力は反対に大きくなります。
歯車比が三なら、回転の速さは三分の一になり、力はおよそ三倍になるんですよ。
ここが歯車のいちばんおもしろいところです。
モータは速く回りますが、そのままでは力が足りません。
そこで歯車で減速して、必要な力に変えているんですね。
手回しのウインチで重いものを持ち上げられるのも、大きく減速しているからです。
速さと力は交換の関係にある。
この見方ができると、機械の中の歯車の役わりが読めるようになりますよ。
なぜ力が増えるのか
では、なぜ力が増えるのでしょうか。
得をしているように思えますが、もとのエネルギーが増えたわけではありません。
速さを三分の一にゆずったぶん、力を三倍受け取っている。
速さと力をかけ合わせた量そのものは、変わらないんです。
ここを押さえておくと、記述問題でも書けるようになりますよ。
もう一つ、歯車は二枚とはかぎりません。
間にはさんだ歯車を中間歯車といいます。
中間歯車の歯数は、両端の回転数の比には関係しません。
回る向きを変えたいときや、離れた軸をつなぎたいときに使う部品なんですね。
回る向きと、設計するときの順番
最後に、回る向きと設計の順番です。
かみ合った歯車は、必ず反対向きに回ります。
ですから二枚なら駆動側と被動側は逆向き、三枚並ぶと逆の逆でもどって、両端は同じ向きになります。
奇数枚なら同じ、偶数枚なら逆、と覚えておきましょう。
設計するときは順番が大切です。
まず、その機械にほしい回転の速さを決めます。
次に、モータの回転数と比べて歯車比を出します。
最後に、その比になる歯数の組み合わせを選ぶ。
歯車から選び始めると必ず行きづまるので、ほしい速さから逆にたどってくださいね。
- 減速したぶん力が増える:歯車比が3なら回転は3分の1、力はおよそ3倍になります。
- 中間歯車は比に関係しない:間にはさんだ歯車は、両端の回転数の比を変えません。向きや軸の距離の調整用です。
- ほしい速さから逆にたどる:先に必要な回転数を決め、歯車比を出し、最後に歯数を選びます。
おわりに
今日たどってきたのは、歯車比の意味、回転数の計算、そして力との関係の三つでした。
歯車比は、被動側の歯数を駆動側の歯数で割るだけ。
回転数は歯数の逆比になり、歯数の多い歯車ほどゆっくり回る。
そして、ゆっくり回るぶんだけ、力は大きくなる。
この筋道でつながって見えたなら、もうこの単元は自分のものですよ。
最後に一つだけお願いです。
記事の中に出てきた例題を、もう一度ノートで解き直してみてください。
歯数十二枚で三十六枚を毎分六百回転で回すと、被動側は何回転でしょうか。
歯数十五枚の歯車で力を三倍にするには、相手を何枚にすればよいでしょうか。
読んで分かった気になるのと、自分の手で式を書けるのとでは、テストでの手ごたえがまるで変わりますよ。
ご視聴ありがとうございました。
この記事の内容を動画でも解説しています。
ぜひご覧ください。
中学技術【歯車比】歯数から回転数と力を求める計算をわかりやすく解説
中学技術の授業でつまずきやすいところを、一つずつ動画にしています。
予習や復習に使えそうだと思ったら、チャンネル登録をしておいてくださいね。








