
はじめに
同じ日に、同じようにまいたはずなのに、芽が出た列と出なかった列がある。
心配で毎日たっぷり水をやったのに、いつまでも土が動かない。
去年の残りの種をまいたら、ぱらぱらとしか出てこなかった。
そんな経験はありませんか。
芽が出るか出ないかは、運で決まっているわけではありません。
種が芽を出すために必要なものは、たった3つです。
水と、適した温度と、酸素。
この3つがそろえば芽は出ますし、1つでも欠ければ出ません。
逆に言えば、出なかったときは、この3つのどれが欠けていたのかをたどれば原因が見つかるということですね。
この記事では、まず発芽に必要な3つの条件を、なぜ必要なのかとセットで整理します。
次に、よく質問される「光は要るのか」という点を、光がいる種といらない種のちがいから確かめます。
最後に、発芽率という数字の意味と、そこから何粒まけばよいかを計算します。
途中には例題を2つ置きました。
芽が出なかった原因を当てる問題と、まく粒数を求める問題です。
どちらも定期テストでよく出る形なので、ぜひ手を止めて、ノートに書きながら読んでみてくださいね。
授業を休んでしまった人も、この記事だけで追いつけるように書きました。
種子の発芽条件を3つの順で整理する
この単元は、「条件」「光」「数」の3つに分けると、一気に見通しがよくなります。
一つ目は条件。
水・適温・酸素の3つが、なぜ必要なのかを説明できるようにします。
二つ目は光。
ふつうの種に光が要らない理由と、例外になる種のことをつかみます。
三つ目は数。
発芽率という数字を読めるようにして、まく粒数を自分で決められるようにします。
この順で追いかけると、芽が出なかったときに原因を探せるようになりますよ。
- ポイント1:芽を出す3つの条件:水・適した温度・酸素。1つでも欠けると芽は出ません。
- ポイント2:光がいる種、いらない種:ふつうは光なしで出ます。土のかけ方は種の性質で決まります。
- ポイント3:発芽率とまく粒数:必要な株数を発芽率で割ると、まく粒数が求められます。
ポイント1:芽を出す3つの条件
まずは、種が芽を出すために何が要るのかを、しくみからつかんでいきましょう。
ここを飛ばすと、あとの話がただの暗記になってしまいます。
必要なのは水・適した温度・酸素の3つ。1つでも欠ければ芽は出ません。
芽を出す3つの条件のポイントを紹介します
条件1 水 ― 吸水が発芽のスイッチ
一つ目は水です。
かわいた種は、ねむっているような状態で止まっています。
そこへ水がしみこむと、種はふくらみ、中にある酵素が動き始めます。
酵素は、たくわえてある養分を、使える形に変えるはたらきをするものです。
でんぷんが糖に変わり、はいが育つための材料がそろっていきます。
だから水は、ただのうるおいではなく、発芽のスイッチなんですよ。
気をつけたいのは、一度吸わせた水を切らさないことです。
途中でかわくと、動き出したはたらきがそこで止まり、そのまま枯れてしまうことがあります。
まいたあとは、土の表面をかわかせない工夫が要りますね。
条件2 適温 ― 作物ごとに好みがちがう
二つ目は温度です。
種の中で働く酵素には、力を出しやすい温度があります。
この温度を発芽適温といいます。
冷たすぎると酵素がほとんど動かず、暑すぎると逆にいたんでしまうので、どちらでも芽は出ません。
目安は作物によってちがいます。
トマトやナスのような夏の野菜は25度前後、ホウレンソウやレタスのように涼しさを好む野菜は20度前後です。
同じ日にまいても、作物によって出方がそろわないのはこのためなんですよ。
種袋の裏には発芽適温が書かれています。
まく前にそこを見て、今の気温と合っているかを確かめる習慣をつけましょう。
条件3 酸素 ― 種も呼吸している
三つ目は酸素です。
意外に思うかもしれませんが、種も呼吸をしています。
たくわえた養分と酸素を結びつけて、はいが育つためのエネルギーを取り出しているんですよ。
ですから、種のまわりに空気があることが欠かせません。
土の中の空気は、土のつぶとつぶのすきまにあります。
このすきまが水でうまってしまうと、酸素は種まで届きません。
水びたしの土で芽が出ないのは、水が足りないからではなく、酸素が足りないからなんですね。
土をよくたがやしてすきまを作っておくことが、そのまま酸素を届ける準備になります。
- 水は発芽のスイッチ:吸水で酵素が動き出します。途中でかわかすと、そこで止まってしまいます。
- 適温は作物ごと:夏の野菜は25度前後、涼しさを好む野菜は20度前後。種袋の裏で確かめます。
- 酸素は土のすきまから:種も呼吸しています。水でうまると届かず、芽が出ません。
ポイント2:光がいる種、いらない種
「光は要らないのですか」は、この単元でいちばん多い質問です。
答えはふつうは要らない、ただし例外がある、になります。
芽が出るまでの養分は種の中にある。だから光は、出たあとに必要になります。
光がいる種、いらない種のポイントを紹介します
なぜ光がなくても芽が出るのか
よく聞かれるのが、光は要らないのかという質問です。
ふつうの種は、光がなくても芽を出します。
理由は単純で、芽が出るまでに使う養分が、はじめから種の中に入っているからです。
子葉やはいにゅうにたくわえられた養分を使うので、外から取ってくる必要がありません。
光合成が始まるのは、地上に出て葉が広がってからです。
つまり光は、芽が出たあとに必要になるものなんですよ。
土をかぶせても芽が出るのは、この順番があるからですね。
発芽と成長を分けて考えると、この単元はすっきり整理できます。
光がいる種、きらいな種
ただし例外があります。
光が当たったほうが芽を出しやすい種を、こうこうせい種子といいます。
レタス、ニンジン、シソなどがなかまです。
これらは土を厚くかぶせると光が届かず、芽が出にくくなります。
反対に、暗いほうが芽を出しやすい種もあり、けんこうせい種子といいます。
ダイコン、トマト、カボチャなどですね。
こちらは土をしっかりかぶせて、暗いところを作ってやります。
つまり、かける土の厚さは、その種がどちらのなかまかで決まるということですね。
まく前に種袋の裏を見れば、かける土の厚さまで書かれていますよ。
水のやりすぎで芽が出ないわけ
ここで、実習でいちばん多い失敗を考えてみましょう。
毎日たっぷり水をやり、温度も20度に保ちました。
それでも芽が出ません。
足りなかったのは何でしょうか。
答えは酸素です。
水をやりすぎると、土のすきまが水でうまり、種のまわりから空気がなくなってしまいます。
水は足りているのに、その水が酸素の通り道をふさいでしまったわけです。
よかれと思ってやったことが、条件を1つ欠けさせていたんですね。
水やりは、土の表面がかわいてからで十分です。
土を手にとって、にぎるとかたまり、指でつつくとかるくくずれるくらい。
この湿り具合が、水と酸素の両方をみたす目安になりますよ。
- ふつうは光なしで出る:養分は種の中にあります。光合成が始まるのは葉が広がってからです。
- 好光性と嫌光性:レタス・ニンジンは薄く、ダイコン・トマトはしっかり土をかぶせます。
- 水のやりすぎは酸素不足:表面がかわいてから。にぎってかるくくずれる湿り具合が目安です。
ポイント3:発芽率とまく粒数
最後は数の話です。
ここが分かると、まく量を自分で決められるようになります。
まく粒数は、必要な株数を発芽率で割る。テストでもよく出る計算です。
発芽率とまく粒数のポイントを紹介します
発芽率とは何か
発芽率とは、まいた種のうち、どれだけ芽が出たかを割合で表した数です。
求め方は、芽が出た数をまいた数で割り、100をかけます。
市販の種袋には、この数がかならず書かれています。
85パーセント以上、といった書き方を見たことがあるのではないでしょうか。
ここで大切なのは、100パーセントにはならないということです。
種は工業製品ではなく生き物なので、どうしても出ないものが混ざります。
だから必要な株数と同じ数だけまくと、必ず足りなくなるんですよ。
この前提が、次の計算につながります。
発芽試験で自分で確かめる
発芽率は、自分で確かめることもできます。
ぬらしたペーパーの上に種を100粒並べ、かわかさないようにして暖かい場所に置きます。
数日から一週間ほどで芽が出そろうので、出た数を数えれば、そのまま発芽率になります。
これを発芽試験といいます。
役に立つのは、去年の残りの種を使うときです。
種は年がたつほど発芽率が下がり、下がり方は作物によってちがいます。
まく前に試しておけば、まく量を決められますし、出なかったときに原因を種のせいにするか、育て方のせいにするかも切り分けられますよ。
何粒まけばよいかを計算する
では実際に計算してみましょう。
30株を育てたいとして、発芽率80パーセントの種を使うとします。
何粒まけばよいでしょうか。
必要な株数を発芽率で割ります。
30を0.8で割ると37.5。
粒は数で数えるので、切り上げて38粒です。
式は、まく数イコール必要な株数わる発芽率、と覚えておきましょう。
かけ算ではなくわり算になるのは、まく数のほうが必ず多くなるからです。
実際の畑では、一か所に数粒ずつまいて、あとから元気なものを残す間引きをします。
ですから、この計算で出た数よりもう少し多めに用意しておくと安心です。
- 発芽率の求め方:芽が出た数をまいた数で割って100をかけます。種袋に表示されています。
- 発芽試験:ぬれた紙に100粒。去年の残りの種を使う前に確かめると、まく量を決められます。
- まく粒数の式:必要な株数わる発芽率。30株で80パーセントなら37.5、切り上げて38粒です。
おわりに
今日たどってきたのは、3つの条件、光との関係、そして発芽率の3つでした。
水を吸うと酵素が動き出し、適した温度でよく働き、酸素を使って呼吸しながら育つ。
芽が出るまでの養分は種の中にあるから、ふつうは光が要らない。
そして、必要な株数を発芽率で割れば、まく粒数が決まる。
この筋道でつながって見えたなら、もうこの単元は自分のものですよ。
最後に一つだけお願いです。
記事の中に出てきた例題を、もう一度ノートで確かめてみてください。
毎日たっぷり水をやったのに芽が出なかったのは、何が足りなかったからでしょうか。
30株を育てたいとき、発芽率80パーセントの種なら何粒まけばよいでしょうか。
読んで分かった気になるのと、自分の手で説明できるのとでは、テストでの手ごたえがまるで変わりますよ。
ご視聴ありがとうございました。
この記事の内容を動画でも解説しています。
ぜひご覧ください。
中学技術【種子の発芽条件】水・温度・酸素の3つと発芽率の求め方をわかりやすく解説
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