中学技術【木材の含水率と乾燥】なぜ反る・割れるのかと防ぎ方をわかりやすく解説

はじめに

まっすぐな板を選んだはずなのに、組み立てたら合わなくなっていた。
棚を作って持ち帰ったら、いつのまにか板が弓なりになっていた。
木口に、細いすじのような割れが入っていた。
そんな経験はありませんか。

木材がそったり割れたりするのは、道具の使い方が悪かったからではありません。
原因は、木の中にある水にあります。
木は、水を運びながら生きていた材料です。
その水が抜けていく間に、木は縮み、形を変えていきます。
ここを知っているかどうかで、材料を選ぶ目も、保管のしかたも変わってきますよ。

この記事では、まず含水率という数字のきまりを整理します。
次に、なぜ反るのか、なぜ割れるのかを、縮み方のちがいから説明します。
最後に、天然乾燥と人工乾燥、そして実習室での保管のしかたを確かめます。
途中には例題を二つ置きました。
含水率を計算する問題と、板がどちらへ反るかを考える問題です。
どちらも定期テストでよく出る形なので、ぜひ手を止めて、ノートに書きながら読んでみてくださいね。
授業を休んでしまった人も、この記事だけで追いつけるように書きました。

木材の含水率と乾燥を3つの順で整理する

この単元は、「水」「変形」「対策」の3つに分けると、一気に見通しがよくなります。
一つ目は水。
木がどれだけ水を含んでいるかを、含水率という数字で表せるようにします。
二つ目は変形。
縮み方が方向によってちがうから反り、乾き方に差があるから割れる、という筋道をつかみます。
三つ目は対策。
天然乾燥と人工乾燥のちがいを知り、実習室でできる保管のしかたまで落とします。
この順で追いかけると、材料を見る目が変わりますよ。

今日おさえる3つのこと
  • ポイント1:木の中の水と含水率:水の重さを、乾いた木の重さで割って100をかけます。分母を取りちがえないことが山です。
  • ポイント2:なぜ反る・なぜ割れる:縮み方は方向でちがいます。この差が反りを生み、乾き方の差が割れを生みます。
  • ポイント3:乾かし方と保管のしかた:天然乾燥は桟積みで風を通す。人工乾燥は乾燥室で確実に下げる。

ポイント1:木の中の水と含水率

まずは、木がどれだけ水を含んでいるのかをつかむところから始めましょう。
ここを飛ばすと、あとの反りや割れの話が、ただの暗記になってしまいます。
木は、水を含んだ材料である。ここがすべての出発点です。

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木の中の水と含水率のポイントを紹介します

切ったばかりの木は水でいっぱい

木は、根から吸い上げた水を葉まで運びながら生きていた材料です。
切ったばかりの木材の中には、その水がまだたっぷり残っています。
どれくらい残っていると思いますか。
木そのものの重さよりも、中にふくまれる水のほうが重いことさえあるんですよ。
この水は、置いておくうちに少しずつ空気の中へ抜けていきます。
そして抜けていく間に、木は縮み、少しずつ形を変えていきます。
反りも割れも、もとをたどればこの水の抜け方から起きている出来事です。
木材を学ぶときは、まず木は水をふくんだ材料だというところから始めると、あとの話がつながりますよ。

含水率の求め方

乾き具合を数字で表したものが含水率です。
求め方は、木にふくまれる水の重さを、からからにかわかしたときの木の重さで割り、100をかけます。
分母が今の重さではなく、かわいたあとの重さだというところが、まちがえやすいところですね。
たとえば重さが240グラムの木材を、水がなくなるまでかわかしたら200グラムになったとします。
抜けた水は40グラムですから、40を200で割って0.2。
100をかけて20パーセントです。
数字にできると、この板はまだ使えない、という判断を自分でできるようになりますよ。

実習室の机に木材のサンプルを並べて、材料を観察している授業の場面

30パーセントから縮み始める

水が抜け始めても、木はすぐに縮み始めるわけではありません。
ここも大切なところです。
木の中の水は、細胞のすきまにある水と、細胞のかべにしみこんでいる水の2種類に分けられます。
先に抜けるのは、すきまのほうの水です。
この間は、水が減っても寸法はほとんど変わりません。
すきまの水が抜けきるのが、含水率でおよそ30パーセントのあたりです。
ここを境に、細胞のかべの水が抜け始め、木はいよいよ縮み始めます。
この境目を繊維飽和点といいます。
反りや割れが問題になるのは、この点を下回ってからなんですよ。

含水率でおさえること
  • 式は割る相手に注意:水の重さを、からからに乾かしたときの木の重さで割って100をかけます。
  • 繊維飽和点は約30パーセント:ここまでは寸法がほとんど変わらず、ここから縮み始めます。
  • 使うときの目安:屋外で乾いた気乾材は15パーセント前後、室内の家具は10パーセント前後まで下げます。

ポイント2:なぜ反る・なぜ割れる

ここが今日いちばんの山です。
反りと割れは別々の現象に見えますが、原因はどちらも「縮み方のちがい」ひとつに行きつきます。
方向によって縮む量がちがうから反る。乾く速さがちがうから割れる。

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なぜ反る・なぜ割れるのポイントを紹介します

縮み方は方向でちがう

木がやっかいなのは、どの方向にも同じだけ縮むわけではないところです。
方向は3つに分けて考えます。
1つ目は木の長さの方向で、ここはほとんど縮みません。
2つ目は年輪の中心から外へ向かう方向で、およそ3から5パーセント縮みます。
3つ目は年輪に沿った方向で、これがいちばん大きく、6から10パーセントほど縮みます。
つまり年輪に沿った方向は、中心から外へ向かう方向のおよそ2倍も縮むということですね。
同じ1枚の板の中に、この差がそのまま残っています。
この差こそが、反りの正体なんですよ。

板目の板は木表がへこむように反る

1枚の板の中で縮む量がちがうと、どうなるでしょうか。
縮みの大きい側が引っぱられ、板は弓なりにそっていきます。
年輪が山もように出ている板を板目といいます。
板目の板では、樹皮に近い側、つまり木表のほうが年輪に沿った方向に近く、縮みが大きくなります。
ですから木表側がへこむ向きにそるんですよ。
反対に、年輪がまっすぐな線に見える柾目の板は、板の中での縮みの差が小さく、そりにくいという特ちょうがあります。
柾目のほうが値段は高くなりますが、精度がほしい所には向いていますね。

乾燥によって板が弓なりに反っていくようすを示した木材の比較

木口から先に乾くと割れる

割れの原因も、やはり縮み方のちがいです。
板の切り口、つまり木口は、木が水を運んでいた通り道が、そのまま口を開けた面になっています。
だからほかの面にくらべて、水がとても抜けやすいんですよ。
すると木口の近くだけが先にかわいて縮み、まだ湿っている内側に引っぱられます。
この引っぱりに耐えられなくなった所が、割れとなって出てくるわけですね。
急いでかわかすほど、外側と内側の差は大きくなります。
丸太や角材の木口に塗料をぬることがあるのは、そこだけ早くかわくのを防ぐためなんです。

反りと割れのしくみ
  • 反りは方向差から:年輪に沿う方向は、中心から外へ向かう方向のおよそ2倍縮みます。
  • 板目は木表がへこむ:樹皮に近い木表側の縮みが大きいためです。柾目は差が小さく反りにくくなります。
  • 割れは速さの差から:木口は水の通り道の切り口で、いちばん早く乾きます。急ぐほど差が広がります。

ポイント3:乾かし方と保管のしかた

しくみが分かったら、あとは防ぎ方です。
やることは、むずかしくありません。
同じように、ゆっくり乾かす。それだけで、反りも割れもぐっと減らせます。

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乾かし方と保管のしかたのポイントを紹介します

天然乾燥は桟積みで風を通す

乾かし方は大きく2つあります。
1つ目が天然乾燥です。
屋根のある場所に材を積んで、外の空気で自然にかわかします。
このときの積み方が桟積みです。
板と板の間に桟木という細い木をはさみ、すきまを作って空気を通します。
桟木は等しい間かくで、上下の位置がそろうように置くのがこつですよ。
位置がずれていると、そこだけに重さがかかって板がそってしまいます。
地面から離して積み、直射日光と雨を避けること。
数か月から1年以上かかりますが、木への負担は小さくてすみます。
設備が要らないのも、大きな利点ですね。

板と板の間に桟木をはさんで積み上げ、風を通しながら乾燥させている保管のようす

人工乾燥は乾燥室で確実に下げる

2つ目が人工乾燥です。
材を乾燥室に入れ、温度としつどを操作しながらかわかします。
天然乾燥では数か月かかるところを、数日から数週間で仕上げられるのが強みですね。
もう1つの強みは、目標の含水率まで確実に下げられることです。
屋外の空気まかせでは、その土地の気候より低い値にはできません。
ただし、急げばよいというものではありません。
いきなり温度を上げると、外側だけ先に縮んで割れてしまいます。
だから条件は少しずつ変えていきます。
ここでも考え方は同じで、同じように、ゆっくり、が基本なんですよ。

実習室での保管と、使う前の一手間

ここまでの話は、木材工場だけのものではありません。
実習室でも、同じ考え方がそのまま使えます。
まず、板は平らに積んで置くこと。
壁に立てかけたままにすると、自分の重さで少しずつそってしまいます。
積むときに材の間へ細い棒をはさめば、教室でも小さな桟積みになりますね。
もう1つ、買ってきた材料はすぐに切らず、数日その部屋に置いておきましょう。
木は、まわりの空気のしめり具合に合わせて、水を出したり吸ったりしています。
部屋の空気になじませてから加工すると、組み立てたあとで寸法が動きにくくなりますよ。

乾燥と保管でおさえること
  • 桟積みは空気の道づくり:桟木を等しい間かくで、上下の位置をそろえて置きます。ずれると板がそります。
  • 人工乾燥は確実さが強み:目標の含水率まで下げられますが、急に温度を上げると割れます。
  • 実習室でもできること:板は平らに積む、立てかけない、使う数日前から教室の空気になじませる。

おわりに

今日たどってきたのは、含水率という数字、反りと割れのしくみ、そして乾かし方の3つでした。
含水率は、水の重さを乾いた木の重さで割って100をかける。
およそ30パーセントを下回ってから、木は縮み始める。
年輪に沿った方向がいちばん縮むから板は反り、木口が先に乾くから割れる。
だから桟木をはさんで、同じように、ゆっくり乾かす。
この筋道でつながって見えたなら、もうこの単元は自分のものですよ。

最後に一つだけお願いです。
記事の中に出てきた例題を、もう一度ノートで確かめてみてください。
240グラムの木材が200グラムになったとき、含水率は何パーセントでしょうか。
板目の板を乾かしたとき、木表と木裏のどちらがへこむ向きに反るでしょうか。
読んで分かった気になるのと、自分の手で説明できるのとでは、テストでの手ごたえがまるで変わりますよ。

含水率の求め方、繊維飽和点、方向による縮み方のちがい、天然乾燥と人工乾燥をまとめた図

ご視聴ありがとうございました。
この記事の内容を動画でも解説しています。
ぜひご覧ください。

中学技術【木材の含水率と乾燥】なぜ反る・割れるのかと防ぎ方をわかりやすく解説

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