はじめに
3月になると卒業式の練習が始まります。
卒業式前には、予行演習があります。
その卒業式の予行演習で、以前、校長から「話をしてくれ」と頼まれたことがあります。
そのとき、どんな話をしようかずーっと悩みました。
せっかくなので、よい卒業式になってほしい、
そして、卒業したあとも幸せになってほしいという願いを込めて、
以下のような話をしました。
卒業式を感動あるものにするための語り
もうすぐ卒業式ですね。
卒業式って不思議ですよね。
座る、歌う、立つなど、誰でもできることをするんです。
でも、卒業式という場では感動します。
心ある人たちが涙を流します。
よい卒業式とは・・・
それは、
自分だけではなく、相手を大切にできる卒業式
です。
ずっと座っているのは大変きついです。
そして、大変、つらい・・・
自分に意識が向いていたら、よい卒業式をつくることができないって誰しもがわかりますよね。
では、誰のために卒業式を行うのだろうか。
まず、在校生に向けて話します。
在校生はもちろん卒業生のためですね。
あなたたちの隣には、保護者の方が座っています。
あなたたちが、ごそごそと動いていたら、保護者の方はどう感じるでしょうか。
きっと、保護者の方は、自分の子ども(卒業生)の晴れ姿より、あなたたちの方が気になってしまいますよね。
在校生の皆さん、3年生は、保護者のために卒業式を行いますよね。
だから、姿勢よく座るってことは、3年生を大切にするっていう行為なのです。
さらに、合唱があります。
唯一、あなたたちが声を出し、3年生を応援できる場です。
是非、あなたたちの歌声で3年生の背中を押してください。
では、卒業生は誰のために、卒業式を行うのか。
それは、保護者の方のためです。
今まで育ててきてくれた人に感謝の気持ちを伝えるのが、卒業式なのです。
そして、卒業生は、たった一人で保護者に声を届ける場があります。
それは、卒業証書をもらうときの返事です。
たった1秒のことなのかもしれません。
さらにいうと、1秒にも満たない時間なのかもしれません。
言葉にするとたった二文字です。
「はい」
この二文字だけです。
しかし、保護者の方は感動します。
3年間全ての思い出を込めた返事は、あなたたちが最も大切にしている人に感動を与えるのです。
さらにいうと、あなたのことを最も大切に思ってくれる人に感動を与えられるのです。
もちろん、卒業式は自分のためであってもいいです。
自分自身が感動しないと相手を感動させることはできないですから。
ただ大切にしてもらいたいことは、
自分は大事。でも、相手はもっと大事。
その意識をもつことができたら、きっと感動する卒業式をつくりあげることができるでしょう。
そして、そんな人生を歩むことができたら、あなたたちは間違いなく幸せになることができるでしょう。