【中学技術】電気が家に届くまで|送電・変電・配電と電圧の変化をわかりやすく解説

はじめに

コンセントにプラグをさすだけで、あたりまえのように電気が使えますよね。
でも、その電気は、遠くの発電所でつくられて、長い道のりをたどって家まで届いています。
その道のりを知ると、身のまわりの見え方が少し変わりますよ。

今回は、中学技術の「エネルギー変換」の分野から、発電所でつくった電気が家庭に届くまでの流れを、送電・変電・配電という3つの言葉を軸に整理します。
あわせて、電圧が道すじの途中でどう変わるのか、そしてなぜ高い電圧で送るのかも、例題を解きながら確かめていきます。

定期テストでは、道すじの順番、昇圧と降圧の言葉、電圧の数値、高い電圧で送る理由がよく問われます。
授業で聞きそびれた人も、テスト前にもう一度確かめたい人も、この記事を上から順に読めば、要点がまとまるように書きました。
動画でも同じ内容を解説していますので、耳から確認したい人は、記事の最後のボタンからどうぞ。

この記事で分かること
  • 発電所から家庭までの道すじを、送電・変電・配電の順に説明できる
  • 電圧が段階的に下がっていくようすと、昇圧・降圧の言葉が分かる
  • 例題の計算で、高い電圧で送る理由をたしかめられる

電気が届く道すじの全体像

電気が家に届くまでの道すじは、大きく三つに分けて考えると整理しやすくなります。
発電所から変電所まで電気を送る部分、電圧を少しずつ下げていく部分、そして高い電圧で送る理由をたしかめる部分です。
この三つが、そのまま今回のポイント1から3になっています。
まずは地図を広げるつもりで、全体の流れを頭に入れてから、細かい所へ進んでいきましょう。

電気が届く道すじ
  • 発電所:電気をつくる場所。ここで電圧を上げて、送電線へ送り出します。
  • 送電線と変電所:高い電圧で遠くへ送り、変電所で電圧を少しずつ下げます。
  • 配電線:町の近くで約6600ボルトまで下げ、電柱の配電線で町へ配ります。
  • 電柱の変圧器:100ボルトや200ボルトに下げて、家庭へ届けます。

ポイント1:発電所から変電所まで電気を「送る」しくみ

発電所でつくった電気を、町まで運ぶ役目をしているのが送電のしくみです。
電気は、つくった場所では使えず、送って初めて役に立ちます。
ここでは、発電所が遠くにある理由、送電線と鉄塔のつくり、そして変電所のはたらきを順に見ていきます。

HeatKeep

電気を送るしくみのポイントを紹介します

発電所が町から遠くにある理由

火力発電所は、燃料を船で運びやすい海ぎわに、水力発電所は、水を流し落とせる山あいのダムのそばに建てられることが多いです。
発電所は広い土地が必要で、まわりに大きな音や熱も出るので、人が多く住む町の中には置きにくいんですよ。
そのため、電気を使う町と、電気をつくる発電所とは、どうしても離れてしまいます。
たとえば、都会のビルや学校で使う電気の多くは、何十キロも離れた場所でつくられたものです。
私たちは、そのことをふだん意識せずに暮らしているんですね。

この距離をうめるのが、送電です。
もし電気を遠くまで運べなかったら、発電所のそばでしか電気が使えなくなってしまいますよね。
電気を遠くまで運ぶしくみがあるからこそ、山の中のダムでつくった電気を、都会のビルの中で使えるんです。
この「つくる場所と使う場所が離れている」という点が、送電を学ぶ出発点になります。

送電線と鉄塔・がいしのつくり

送電線は、太い電線を高い鉄塔でささえたものです。
電線には高い電圧の電気が流れるので、人や建物からじゅうぶん離れた高い場所を通します。
そして、電線と鉄塔のあいだには「がいし」という部品が取りつけられています。
がいしは電気を通しにくい素材でできていて、電線の電気が鉄塔を伝って地面へにげてしまうのを防いでいるんですよ。
もしがいしがなかったら、せっかくの電気が途中で失われてしまい、送りたい先まで届きません。
目立たない部品ですが、とても大切な役目をしているんです。

鉄塔にずらっとぶら下がっている、お皿を重ねたような形のものが、がいしです。
電圧が高い送電線ほど、がいしの数も多くなります。
また、町なかでは景観や安全のために、地面の下にケーブルをうめて送る場所もあります。
頭の上を通る送電線と、足もとの下を通る地中ケーブル、どちらも「送電」のなかまです。

鉄塔と変電所の模型を使って送電のしくみを確かめる場面

変電所は「電圧を変える場所」

変電所は、電圧を上げたり下げたりする場所です。
ここで注意したいのは、変電所は電気をつくる場所ではない、という点です。
電気をつくるのは発電所で、変電所は電気の「電圧」を整える中継地点にあたります。
テストでも、発電所と変電所を取りちがえた答案がとても多いので、はっきり区別しておきましょう。
変電所には、たくさんの電線と、大きな箱のような機器が並んでいます。
あの大きな箱の多くが変圧器で、電圧を変える仕事をしているんですよ。
場所によって、電圧を上げる役目の変電所と、下げる役目の変電所があります。

変圧器は、電圧を上げたり下げたりできる装置です。
変圧器がどうして電圧を変えられるのか、というくわしいしくみは、別の回でていねいに解説する予定です。
今回は「変電所には変圧器があって、電圧を上げ下げしている」という理解で十分です。
次の枠に、変電所を見分けるときの3つのポイントをまとめておきますね。

変電所のポイント
  • 電圧を上げ下げする:変圧器を使って、電気の電圧を目的に合わせて変えます。
  • 電気をつくらない:電気をつくるのは発電所で、変電所は中継地点です。
  • 段階的に置かれる:発電所から町まで、いくつかの変電所が順に並んでいます。

ポイント2:電圧が段階的に下がっていく道すじ

送られてきた電気は、そのままでは家で使えません。
電圧は、道すじの途中で何度も変えられて、最後に家庭で使える100ボルトまで下がります。
ここでは、電圧の数字を追いかけながら、昇圧と降圧の意味、町の近くでの電圧、電柱の変圧器のはたらきを見ていきます。

HeatKeep

電圧が変わっていくようすのポイントを紹介します

発電所の近くで電圧を上げる(昇圧)

発電所でつくられる電気の電圧は、約1万から2万ボルトほどです。
この電気は、発電所のすぐ近くの変電所で、まず電圧を上げてから、送電線へ送り出されます。
送電線では、27万5000ボルトや50万ボルトといった、とても高い電圧が使われています。
このように電圧を上げることを「昇圧」といい、反対に電圧を下げることを「降圧」といいます。
この2つの言葉は、テストで書かせる問題がよく出ます。
たとえば「電圧を上げることを何といいますか」と問われたら、答えは昇圧です。
ここで確実に得点できるようにしておきましょう。

「昇」は上がる、「降」は下がるという意味の漢字です。
漢字の意味から、昇圧は圧を上げる、降圧は圧を下げる、と覚えれば、まちがえにくくなります。
ここで出てくる「圧」は、電圧のことを指しています。
なぜ送り出す前に電圧を上げるのかは、ポイント3で、例題を使ってしっかり確かめますね。

町の近くの変電所で約6600ボルトまで下げる

高い電圧で送られてきた電気は、途中のいくつかの変電所で、少しずつ電圧を下げられていきます。
一気に下げるのではなく、段階的に下げていくのが特徴です。
そして、町の近くの変電所では、約6600ボルトまで下がります。
ここから先が「配電」で、電柱に張られた配電線を通って、町の中の家や工場、店、学校へ電気が配られていきます。
この配電線は、街を歩いていると、電柱と電柱のあいだに張られているのが見えます。
私たちの頭の上には、電気の通り道が、ずっと続いているんですね。
大きな工場は、6600ボルトのまま引きこんで使うこともあります。

ここまでの電圧の流れを、数字で並べておきましょう。
発電所で約1万から2万ボルト、送電線で27万5000ボルトなど、町の近くで約6600ボルトです。
数字を全部覚えるのがむずかしければ、「高く送って、町の近くで下げる」という大きな流れを、先に言えるようにしておくと安心です。
数字は、そのあとで少しずつ足していけば大丈夫ですよ。

発電所から家庭まで電気が届く道すじを模型で確かめる場面

電柱の変圧器から家庭の100ボルトへ

電柱の上に、円筒形の箱がとりつけられているのを見たことはありませんか。
あれが電柱の変圧器で、配電線を流れてきた6600ボルトを、家庭で使う100ボルトや200ボルトに下げています。
家の近くで最後の降圧をするので、私たちは安全な電圧で電気を使うことができます。
ここでも、変圧器は「電圧を変える」役目をしているんですよ。
もし高い電圧のまま家に入ってきたら、コンセントの電気製品はすぐにこわれてしまいますし、とても危険です。
だから、最後の一段は、人の暮らす場所のすぐ手前で行われているんですね。

家に入った電気は、電柱から引き込まれた線を通って、電力量計、分電盤の順に進みます。
電力量計は、使った電気の量をはかるメーターです。
分電盤では、いくつもの回路に電気を分けて、部屋ごとのコンセントや照明へ送ります。
分電盤にはブレーカーがあって、電気を使いすぎたときに電気を止めて、家を守っています。

家庭に届く電気のポイント
  • 電柱の変圧器:6600ボルトを100ボルトや200ボルトに下げます。
  • 電力量計:使った電気の量をはかるメーターです。
  • 分電盤:電気を回路ごとに分けて、コンセントや照明へ送ります。

ポイント3:なぜ高い電圧で送るのか(電力・電流・損失)

「どうして、わざわざ電圧を上げて送るのか」は、テストでも記述で問われやすい大事な所です。
答えは、電流を小さくして、熱で失う電気を減らすためです。
ここでは、電力の式のおさらい、2つの例題、そして高い電圧を安全に扱う工夫を見ていきます。

HeatKeep

高い電圧で送る理由のポイントを紹介します

電力=電圧×電流をもう一度たしかめる

電力とは、1秒あたりにどれだけの電気のはたらきをするかをあらわす量で、単位はワットです。
電力は「電圧×電流」で求められます。
たとえば、100ボルトで2アンペアの電流が流れる機器なら、電力は200ワットです。
この式を変形すると、電流は「電力÷電圧」で求められます。
今回の主役は、この形です。
電力は、電気製品のラベルにも「◯◯W」として書かれていて、たくさんの電気を使う機器ほど、この数字が大きくなります。
発電所から送る電気は、家庭の機器とは比べものにならないほど大きな電力です。

同じ電力を送るとき、電圧が大きくなれば、電流は小さくなります。
かけ算の答えが同じなら、片方の数が大きくなると、もう片方は小さくなりますよね。
この「電圧が高いほど、電流は小さくてすむ」という関係が、送電の考え方の土台になります。

電力の式のポイント
  • 電力(W)=電圧(V)×電流(A):ワットは電力の単位です。
  • 電流(A)=電力(W)÷電圧(V):送電の計算で使う形です。
  • 電力が同じなら:電圧が大きいほど、電流は小さくなります。

例題で比べる電流と熱の損失

例題1です。100万ワットの電力を、10万ボルトの電圧で送るとき、流れる電流は何アンペアでしょう。
電流は電力÷電圧なので、100万÷10万で10アンペアになります。
例題2では、同じ100万ワットを、電圧を10分の1の1万ボルトで送ります。
すると、100万÷1万で、電流は100アンペアです。
電圧を10分の1にしたら、電流は10倍になりました。
ちなみに、100万ワットは、家庭の電気ポット約1000台ぶんにあたる大きな電力です。
電卓を使わずに、暗算でも確かめられますよ。

電流が大きくなると、電線そのものが熱を出して、失われる電気が増えてしまいます。
この熱で失われる量は、電流が10倍になると、100倍にもふくらむんです。
つまり、同じ電線で比べると、10万ボルトで送れば失う電気は少なく、1万ボルトで送れば失う電気は100倍になります。
だから、遠くへ送るときには、電圧を高くして電流を小さくするんですよ。
ここで一度、ノートに例題を解き直してみましょう。

送電と変圧の仕組みを模型で確かめる場面

高い電圧を安全に扱う工夫

高い電圧は、送るのに便利な反面、人が近づくと危険です。
そこで送電線は、高い鉄塔に取りつけて、人から遠ざけています。
電線と鉄塔のあいだにはがいしを入れて、電気がにげないようにもしています。
そして、町なかに入る手前の変電所で電圧を下げてから、配電線で配ります。
高い電圧のまま、人の暮らす場所には入れないんですよ。
身近な例でいえば、送電線の鉄塔には「危険」の表示がされていて、登ったり近づいたりしてはいけないことが、はっきり示されています。
鉄塔の近くでは、凧あげなどもしないようにしましょう。

高い電圧で送り、町では下げて使う。
この使い分けによって、電気を遠くまで無駄なく運ぶことと、安全に使うことの両方が成り立っています。
テストで理由を書くときは、安全のためだけでなく、「電流を小さくして熱による損失を減らすため」と書くのがポイントです。
ここを書けると、記述問題でも得点しやすくなりますよ。

テスト前の確認リスト

ここまでの内容を、テスト前にチェックできる形でまとめました。
この記事を閉じる前に、上から順に、声に出して言えるかどうかを確かめてみてください。
すぐに言えない所が見つかったら、その項目のポイントへ戻って読み直せば大丈夫です。
すべてに「言える」と答えられたら、この単元の準備はほぼ整っています。

  • 発電所→送電→変電→配電→家庭の順に、道すじを説明できる(送る・変える・配るの3語も添える)
  • 変電所は電気をつくる場所ではなく、電圧を変える場所だと言える
  • 電圧を上げることを昇圧、下げることを降圧といい、送り出す前に昇圧すると言える
  • 電圧の流れを、発電所で約1万〜2万ボルト、送電線で27万5000ボルトなど、町の近くで約6600ボルト、家庭で100ボルトと言える
  • 高い電圧で送る理由を、「電流が小さくなり、熱で失う電気が減るから」と書ける

よくある質問

送電と配電は、どうちがうのですか

送電は発電所から変電所へ、遠くまで電気を送ることで、配電は町の近くの変電所から家や工場へ電気を配ることです。
ちがいは、送る距離と電圧にあります。
送電は高い電圧で遠くへ、配電は下げた電圧で町の中へ、と覚えると区別しやすくなります。
テストでは、「送」は遠くへ、「配」は配る、というように、漢字の意味から考えると迷いにくいですよ。
迷ったときは、「どこからどこまで」を先に書き出してみましょう。
たとえば「発電所から変電所まで」なら送電、「変電所から家まで」なら配電、というように区切ると、頭の中で整理できます。

変電所は電気をつくる場所ですか

いいえ、変電所は電気をつくる場所ではありません。
電気をつくるのは発電所で、変電所は電圧を上げ下げする場所です。
中に変圧器があって、電圧を送電に合った高さや、町で使える低さに整えています。
発電所と変電所は名前が似ているので、取りちがえやすいんです。
テスト前には、「つくるのは発電所、変えるのは変電所」と、セットで覚えておきましょう。
穴埋めで「発電所」と「変電所」の二択に迷う問題が出やすいので、ここは落とさないようにしたい所です。

電圧の数字は、どこまで覚えればよいですか

まずは、家庭の100ボルトと、町の近くの約6600ボルトを覚えれば大丈夫です。
教科書によって、送電線の電圧の書き方が少しちがうことがあるので、授業で使っている教科書や配られたプリントの数字を優先してください。
数字よりも大事なのは、「高く送って、町の近くで下げる」という流れと、その理由です。
数字は流れの中に位置づけて覚えると、忘れにくくなりますよ。
数字を聞かれる問題が出ても、「家庭は100ボルト」という一番身近な数字から、順に思い出してみましょう。
あせらなくて大丈夫です。

おわりに

今回は、電気が家に届くまでの道すじを、送電・変電・配電の3つの言葉で整理しました。
電気は、発電所でつくられ、電圧を上げて送り出され、変電所で少しずつ下げられ、電柱の変圧器で100ボルトになって家に届きます。
高い電圧で送るのは、電流を小さくして、熱で失う電気を減らすためでしたね。
コンセントの向こうにある長い道のりを思い浮かべると、電気を大切に使おうという気持ちも生まれてきます。
テスト勉強、応援しています。

発電所から家庭まで、電圧を上げて送り下げて配る道すじのまとめ図

ご視聴ありがとうございました。
この記事の内容を動画でも解説しています。
ぜひご覧ください。

生徒との絆を深め、理想の学級を実現させませんか?