はじめに
質の高い「楽しさ」と目標達成が両立する瞬間
「楽しさ」と「目標達成」は、本当に両立するものなのか。
部活動や課外活動、学業においても「楽しみながら努力する」ことが推奨されがちですが、楽しさが必ずしも必要というわけではないのかもしれません。
この記事では、「楽しさ」の本質とその追求が目標達成にどう影響するかを掘り下げて考えます。
また、実際の部活動や日常生活における具体例を通じて、どうすれば生徒が充実感と達成感を得られるのかを追求していきます。
最後まで読めば、あなたも「楽しさ」への新たな視点を得ることでしょう。
質の高い「楽しさ」とは?
質の高い「楽しさ」とは、単なる笑顔や楽しい気分だけでなく、目標に向かって努力した先に感じる達成感や充実感を指します。
本当の意味での「楽しさ」は、目の前の困難を乗り越え、成長した自分を実感できる瞬間に存在します。
目標を達成するために必要な「楽しさ」は、「充実感」や「成長を感じること」であり、そのプロセスは厳しいものになるかもしれません。
目標達成と「楽しさ」は本当に両立できるか?
部活動や勉強のように、目標達成のために真剣に取り組む場では、「楽しさ」は一見不必要と感じられるかもしれません。
しかし、その「楽しさ」を「達成感」と捉えた時、目標達成への大きなモチベーションに変わります。
部活動を例に取ると、技術が向上したり、記録を更新できた時の喜びは、目標達成に不可欠な「楽しさ」です。
一方で、「笑顔のある練習=楽しい練習」を求めているクラスが本当に目標達成を考えているのか疑問視する声もあります。
練習が楽しいかどうかで取り組みが変わってしまうのは、目標への思いが不十分だからです。
「最優秀賞をとりたい」「成長したい」という強い意志があるなら、厳しい練習であろうと全力で取り組むはず。
つまり、達成したい目標が明確であれば、「楽しさ」ではなく「目標達成」が優先されるべきなのです。
本当の「楽しさ」を追求するために必要な心構え
充実感や達成感を「楽しさ」として感じられるためには、まず「本気で目標に向かう」ことが不可欠です。
例えば、長距離走の練習は多くの人にとって苦しいものですが、体力向上や自己記録の更新といった目標があるからこそ、やりがいを感じられます。
楽しい練習ばかりを求めていると、こうした成長を実感する機会を逃してしまうのです。
また、厳しい練習の中で得られる「自分が強くなっていく」という充実感こそが、質の高い「楽しさ」を生むものであると理解することが重要です。
目標達成を視野に入れて努力することで、「楽しさ」は自ずと後からついてくるのです。
学級通信
『楽しんでやれ』と言われるんですけど、僕はその意味がよくわからない。
『楽しむ』というのは、決して笑顔で野球をやるということではなくて、充実感を持ってやることなんだと僕なりに解釈してやってきましたけれど、それにたどり着くまでには『楽しんでやる』というような表現はとてもできなかったですねイチロー思考 児玉光雄著
正直、目標達成を目指すのであれば、「楽しさ」は不必要です。
「楽しさ」=「達成感」っていうのであれば、「楽しさ」は必要だと思います。
『達成感』こそが質の高い「楽しさ」だと私は考えています。
そして、「達成感を感じられる楽しさ」と「目標達成」は両立できると考えています。
例えば、部活動です。
技術が上達し喜ぶということは目標達成には必要です。
しかし、練習中に笑顔のある部活が優勝できることはまずありません。
何度も言いますが、「楽しさ」と「目標達成」は両立できません。
また、あなたたちの日記を読んで気になったのが、楽しい練習をしないとみんなが歌わないから、楽しい練習をする必要があると書いてきた人がいます。
私からすれば、「最優秀賞への思い」が弱いだけです。
本気で最優秀賞を取りたい。
成長したいという思いがあれば、楽しい練習だろうが、楽しくない練習だろうが、必死になって練習します。
楽しい練習ではないと練習しないというのは、ただ単に合唱コンクールへの思いがないだけです。
部活でも、長距離を走ることがあるかと思います。
長距離を楽しいと思う人は少ないように感じます。
しかし、目標達成のために走るんです。
目標達成のために厳しい練習でも汗を流すんです。
楽しい練習ばかりを求めていたら、体力や技術がつかないのは誰だってわかります。
楽しい練習しかやれないというのは、目標達成を考えているクラスとしてはお門違いなのです。
それが私の考えです。みなさんは、「楽しさ」というものをどのようにとらえていますか。
私はあなたたちに聞いてみたいです。
生徒の日記
これまであまり深く考えたことはなかったけれど、今回自分なりに「楽しい」について考えてみました。
私が思う「楽しい」は、一つの形だけではないように思います。たとえば、友達と話したり遊んだりして感じる楽しさ。
自分の好きなことをしているときの楽しさ。
部活や勉強で苦手なことが少しずつできるようになっていく喜び。
そして、自分の限界を超えられるかもしれないという挑戦の楽しさ。
こうしたさまざまな「楽しい」があると思います。
「楽しい」と一言で言っても、その意味や感じ方は人それぞれです。今回、合唱コンクールに向けてみんなと一緒に取り組む楽しさについて考えてみました。
私にとっての楽しさは、一つの目標に向かってみんなで力を合わせ、協力しながら頑張ることで生まれるものだと思います。
特に、最優秀賞を目指して努力している過程で自然と湧き上がってくる「楽しい」という気持ちです。ただ、「楽しいが一番」という考え方もあるようで、そこに少し疑問を感じています。
なぜ最優秀賞を取ることを優先しないのか、なぜ目標に向かって全力を尽くす楽しさを感じないのか、私にはその理由がまだよく分かりません。だからこそ、今日の話し合いでは、自分が抱いている疑問を率直に聞いてみたいと思います。
そして、自分の意見もしっかり伝えて、みんなが同じ目標に向かって一緒に頑張れるようにしたいです。最終的には、合唱コンクールの練習を通じて「本当に頑張ったな」「一緒にやれて楽しかったな」と思えるような、そんな充実した合唱コンクールにしたいです。
生徒の日記
「合唱コンクールの楽しさ」という言葉を目にして、私も改めて深く考えさせられました。
私が感じる合唱の楽しさは、「最初はばらばらだった歌声が、たくさん練習を重ねていくことで少しずつそろっていく」過程にあると思います。今の時点では、クラスのみんなの合唱コンクールに対する気持ちはそれぞれ少しずつ違うかもしれません。
でも、共通の目標を掲げ、一人ひとりがその目標に向かって心を合わせ、たくさん練習を重ねて歌い続ければ、きっとみんなの思いはひとつになるはずです。
その瞬間こそが「団結」だと私は思います。もちろん、こうした団結は口で言うほど簡単にはいきません。
実際に形にするのはとても難しいことです。
でも、2年1組のみんななら、きっとそれができると信じています。
信じ合い、支え合って一つの歌を作り上げる力が、私たちにはあるはずです。明日はみんなで話し合う機会があるので、自分の意見を発表するだけでなく、文字通り「話し合う」ことで、合唱コンクールに向けてクラス全体の思いを一つにしていきたいです。
みんなで気持ちを高め合い、最高の合唱を目指せるような、そんな話し合いにできればと思っています。生徒の日記
合唱コンクールの指導については以下の投稿をご覧ください。
おわりに
「楽しさ」と「目標達成」は、真剣に向き合うことで両立可能であり、その「楽しさ」は努力の中で感じる達成感や充実感であると理解できます。
目標を掲げ、それに向かって努力する過程で得られる「楽しさ」は、ただの「楽しい」気持ちとは異なり、心を強くし、成長を実感できる「質の高い楽しさ」となるのです。
あなたは、どのような「楽しさ」を求めていますか?目標達成のために必要な「楽しさ」とは何か、この機会にぜひ考えてみてください。
「楽しさ」という意味のとらえを共有するっていう考えはとても大切ですね。
私の考える質の高い「楽しさ」というのは、イチロー選手の言葉を借りるとわかりやすいと思うので、引用させていただきます。