
はじめに
7月に入り、合唱コンクールの指揮者・伴奏者を決める時期になりましたね。
「やりたい人はいますか」と呼びかけたのに、教室はしーんと沈黙。
結局じゃんけんや押し付け合いのような形になってしまい、モヤモヤした経験はありませんか。
決め方でつまずくと、その後の練習も「やらされ感」から始まってしまいます。
こんにちは。中学校教員14年目のヒートキープです。
私は合唱コンクールを「1年間でいちばん成長できる行事」として、毎年いちばん大切にしてきました。
その出発点になるのが、指揮者・伴奏者の決め方です。
この記事では、もめずに決まって、しかもクラスが本気になっていく決め方の手順を、3つに整理してお伝えします。
どれも特別な話術はいらず、明日の学活からそのまま使えることばかりです。
ぜひ最後まで読んでいってくださいね。
クリックできる目次
もめない決め方 3つの手順
合唱コンクールの指揮者・伴奏者決めは、順番を変えるだけで、まったく違う時間になります。
手順は3つです。
1つ目は、決める前に「目的」を語ること。
2つ目は、思いを語る立候補にすること。
3つ目は、決まった後を大切にすること。
人選の前と後に、先生のひと手間を足すイメージです。
この3つがそろうと、決め方そのものが学級づくりの時間に変わり、練習が始まる前から、クラスに本気の土台ができていきますよ。
- 手順1:決める前に「目的」を語る:金賞は目標、成長が目的。決める前にクラス全体で共有する。
- 手順2:思いを語る立候補にする:仕事の中身を先に見せ、やりたい理由をひとこと語ってもらう。
- 手順3:決まった後を大切にする:選ばれなかった子の勇気を価値づけ、全員を支える側にする。
ポイント1:決める前に「目的」を語る
最初の手順は、人を決めることではなく、目的を語ることです。
「なぜやるのか」が共有されたクラスでは、立候補は自然に生まれます。
目的を語るポイントを紹介します
なぜ「誰がやるか」から始めるとつまずくのか
指揮者・伴奏者決めがうまくいかないクラスの多くは、いきなり「やりたい人はいますか」と人選から入っています。
子どもの側から見ると、何のために引き受けるのかが分からないまま、大変そうな役だけが目の前に置かれている状態です。
これでは手を挙げるほど損に見えてしまい、沈黙が生まれるのは自然なことなんです。
子どもが冷めているのでも、クラスの雰囲気が悪いのでもありません。
順番の問題です。
決める前に「この行事は何のためにあるのか」を語る。
それだけで、同じ問いかけへの反応が変わっていきますよ。
金賞は目標、成長が目的という考え方
私が合唱コンクールの前に必ず語ってきたのは、「行事は、あなたたちを成長させるためにある」ということです。
金賞や最優秀賞は目標であって、目的ではありません。
目的は、仲間と本気でぶつかり合いながら成長することです。
この2つを分けて伝えると、指揮者や伴奏者の役割の意味が変わります。
賞を取るための係ではなく、みんなの成長を先頭で引っ張る役になるんです。
もちろん、目標を疎かにしていいわけではありません。
本気で金賞を目指すからこそ、その過程で成長が生まれる。
この構造ごと、子どもに語ってあげてください。
目的・理想・行動の順で語る理由
語る中身は、目的・理想・行動の3つを、この順番で伝えるのがおすすめです。
まず、なぜこの行事があるのかという目的。
次に、どんな姿で本番を終えたいかという理想。
最後に、その理想に近づくために明日から何ができるかという行動です。
抽象的な話で終わらせず行動まで落とすことで、子どもは「もう今日から始まっている」と実感できます。
長く語る必要はありません。
決める前の5分で十分です。
この5分があるかないかで、立候補の空気も、10月までの練習の質も、驚くほど変わっていきますよ。
- 目的:なぜこの行事があるのか。成長のためにあることを伝える。
- 理想:どんな姿で本番を終えたいかを、子どもの言葉で描かせる。
- 行動:理想に近づくために、明日から何をするかまで落とす。
目的が先、人選が後。
この順番さえ守れば、決める時間はもう学級づくりの時間になっています。
「合唱コンは、あなたたちが成長するためにあります」という一言から始めてみてください。
ポイント2:思いを語る立候補にする
目的が共有できたら、いよいよ立候補です。
立候補は「人を決める作業」ではなく、「思いを聴き合う時間」にできます。
思いを語る立候補のポイントを紹介します
仕事の中身を先に見せる理由
立候補を募る前に、指揮者・伴奏者の仕事の中身を具体的に見せてあげてください。
どんな練習をするのか、どれくらい大変なのか、そしてどんなやりがいがあるのか。
特に伴奏者は夏休みの練習も必要になるので、大変さを隠さず伝えることが誠実さになります。
中身が見えないものに手を挙げるのは、大人でも勇気がいりますよね。
逆に、仕事の全体像とやりがいがセットで見えると、「それなら挑戦してみたい」という子が現れます。
先に情報を渡すことは、子どもの決断を支える最初の応援なんです。
- 仕事の中身:練習で何をするのか、具体的な場面で伝える。
- 大変さ:夏休みの練習など、負担を隠さず正直に伝える。
- やりがい:クラスの成長を先頭で引っ張る役だと価値づける。
思いを語ることが成長の入り口になる考え方
立候補してくれた子には、「なぜやりたいのか」をひとことで良いので語ってもらいます。
人前で自分の思いを言葉にすることは、それ自体が大きな挑戦であり、成長の入り口です。
聞いているクラスの子たちも、「そんな思いがあったのか」と仲間の新しい一面に出会えます。
この瞬間から、指揮者・伴奏者決めは単なる役決めではなく、学級づくりの時間に変わるんです。
うまく話せなくても構いません。
つたない言葉でも、本気の思いは必ず伝わります。
先生はその勇気を、まず受け止めてあげてくださいね。
安易な多数決に逃げない発想
立候補が複数出たときこそ、学級が成長するチャンスです。
ここで「かわいそうだから」と、すぐにじゃんけんや人気投票に逃げないでください。
私は子どもたちに「譲るという問題ではない。本気で考えて、本気で意見を出すべき場だ」と伝えてきました。
大切なのは、決め方を先にみんなで共有することです。
歌声や演奏の力で選ぶのか、思いも含めて考えるのか。
音楽科の先生に協力してもらうのも良い方法です。
基準が先に共有されていれば、どちらに決まっても納得が生まれ、しこりは残りませんよ。
思いを聴き、決め方を共有して、本気で選ぶ。
この過程を経て決まった指揮者・伴奏者は、クラス全員に「認められた存在」としてスタートできます。
ポイント3:決まった後を大切にする
実は、いちばん差がつくのは決まった後です。
決まった瞬間からの先生のひと言が、10月までの3か月を決めます。
決まった後のポイントを紹介します
選ばれなかった子にこそ光を当てる理由
決まった瞬間こそ、いちばん大切な指導の場面です。
選ばれなかった子は、悔しさを抱えています。
その子の「手を挙げた勇気」に、必ず光を当ててください。
「立候補してくれたこと自体が、このクラスの財産です」と、全体の前で価値づけるんです。
この一言があるかないかで、その子の3か月が変わります。
悔しさを受け止めてもらえた子は、いちばんの応援団に変わっていきます。
逆にここを流してしまうと、悔しさはやがて練習への冷めた態度になって表れます。
決めて終わり、にしないでくださいね。
全員を「支える側」にする発想
指揮者と伴奏者が決まったら、次の一手は「支えるのは全員」という約束づくりです。
3人だけに行事を背負わせないようにします。
パートリーダーを立てて役割を広げたり、「指揮者が話し始めたら3秒で静かになる」といった具体的な支え方をクラスで決めたりします。
リーダーが育つクラスは、実はリーダーを支える仲間が育っているクラスです。
「指揮者を支えるのは、あなたたち全員です」と語り、支える行動を見つけたら帰りの会や通信で価値づける。
この繰り返しが、クラスの団結をつくっていきます。
- 広げる:パートリーダーを立てて、役割を全体に広げる。
- 決める:「話し始めたら3秒で静かに」など支え方を具体化する。
- 価値づける:支える行動を見つけたら、帰りの会や通信で紹介する。
日常の姿が本番の歌声になるという考え方
最後にお伝えしたいのは、「日常がいい加減な学級は、行事を乗り切れない」ということです。
合唱コンクールで発揮される力は、練習期間だけで育つものではありません。
朝のあいさつ、掃除への取り組み、仲間の発言を最後まで聴く姿勢。
そうした毎日の小さな積み重ねが、10月に歌声となって表れます。
だからこそ、指揮者・伴奏者を決めた7月から、「毎日の生活が合唱コンの練習だよ」と語ってあげてください。
日常と行事がつながったとき、行事は1年でいちばん子どもが成長する場になりますよ。
決まった後に光を当て、全員を支える側にして、日常とつなげる。
ここまでできれば、あなたのクラスの合唱コンは、もう始まっています。
おわりに
合唱コンクールの指揮者・伴奏者決めは、単なる役決めではありません。
目的を語り、思いを語ってもらい、決まった後に光を当てる。
この3つの手順を踏むだけで、決める時間そのものが、子どもたちが成長する学級づくりの時間に変わります。
7月のうちに決めておけば、伴奏者は夏休みに練習の時間をとれて、9月のスタートもまったく変わります。
まずは明日、「合唱コンは何のためにあるのか」を語るところから始めてみてください。
あなたのクラスの合唱コンクールが、子どもたちの一生の思い出になりますように。
ご視聴ありがとうございました。
この記事の内容を動画でも解説しています。
ぜひご覧ください。
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